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智囊 / 狡黠・南京道士

至日午後,客與道者偕來,祭尊極誠,道者復披髮仗劍作法事良久,使眾皆飽食,俟深夜,耰鋤並舉,發至五尺深,並無所見。天已大明,忽聞門外呵殿之聲,則督府某以通家紅帖來拜,賈人方驚訝,而某衣花繡登堂,固請相見,賈人強出,拜伏於地,某掖起之,因曰:「聞秦皇埋金為足下所發,其富敵國,某特奉賀,方今邊餉告匱,誠以數萬佐國家之急,萬戶侯不足道也,某當為足下奏聞。」賈人觳觫謝無有,某直入內室,見戶外杯盤狼籍,地下開墾縱橫,而客與道士俯伏前謁,言「埋金實有之,但不甚多。」賈人不能白,懼禍,不得已,餽三千金求免,並還定貨之銀,由是氈業遂廢。

新字:至日午後,客与道者偕来,祭尊極誠,道者復披髪仗剣作法事良久,使衆皆飽食,俟深夜,耰鋤並舉,発至五尺深,並無所見。天已大明,忽聞門外呵殿之声,則督府某以通家紅帖来拝,賈人方驚訝,而某衣花繍登堂,固請相見,賈人強出,拝伏於地,某掖起之,因曰:「聞秦皇埋金為足下所発,其富敵国,某特奉賀,方今辺餉告匱,誠以数万佐国家之急,万戸侯不足道也,某当為足下奏聞。」賈人觳觫謝無有,某直入内室,見戸外杯盤狼籍,地下開墾縦横,而客与道士俯伏前謁,言「埋金実有之,但不甚多。」賈人不能白,懼禍,不得已,餽三千金求免,並還定貨之銀,由是氈業遂廃。

書き下し

至日の午後、客と道者と偕に来たり、尊を祭ること極めて誠、道者は復た髪を披き剣を仗りて法事を作すこと良や久しく、衆をして皆飽食せしめ、深夜を俟ちて、耰鋤並び挙げ、発くこと五尺の深さに至るも、並びに見る所無し。天已に大いに明るく、忽ち門外に呵殿の声を聞く、則ち督府の某、通家の紅帖を以て来たり拝するなり、賈人は方に驚き訝るに、某は花繡を衣て堂に登り、固く相見えんことを請う、賈人強いて出で、拝して地に伏す、某は掖げて之を起こし、因りて曰く、「聞く秦皇の埋めし金、足下の発く所と為り、其の富は国に敵すと、某は特に奉賀す、方今辺餉匱を告ぐ、誠に数万を以て国家の急を佐けよ、万戸侯も道うに足らざるなり、某は当に足下の為に奏聞すべし」と。賈人は觳觫して無しと謝するも、某は直ちに内室に入り、戸外の杯盤狼藉、地下の開墾縦横なるを見る、而して客と道士は俯伏して前み謁し、「金を埋めたるは実に之有り、但だ甚だ多からず」と言う。賈人は白くすること能わず、禍を懼れ、已むを得ずして、三千金を餽りて免れんことを求め、並びに定貨の銀を還す、是に由りて氈の業遂に廃る。

現代語訳

冬至の日の午後、客と道士が連れ立ってやって来て、とても丁重に供え物をして祭りを行い、道士はさらに髪を振り乱し剣を手にして長いあいだ儀式を行い、人々に腹いっぱい飲み食いさせた。深夜になるのを待って、鍬や鋤をいっせいに振るい、五尺の深さまで掘ったが、何も出てこなかった。夜がすっかり明けたころ、突然門の外で先払いの声が聞こえた。総督府のある役人が親しい家同士の赤い名刺を持って訪ねて来たのである。商人が驚きいぶかっているうちに、その役人は華やかな刺繍の服を着て座敷に上がり、ぜひ会いたいと強く求めた。商人はやむなく出て行き、地にひれ伏して拝礼した。役人は抱き起こして言った。「秦の始皇帝が埋めた黄金をあなたが掘り当て、その富は国に並ぶと聞いた。私はお祝いを申し上げに来た。いま辺境の軍糧が尽きかけている。どうか数万を差し出して国家の急を救ってほしい。万戸侯の位も取るに足らぬほどの栄誉である。私があなたのために上奏しよう。」商人は震えあがって、そんなものはないと弁明したが、役人はそのまま奥の部屋に入り、戸の外に杯や皿が散らかり、地面があちこち掘り返されているのを見た。すると客と道士がうつ伏せになって進み出て、「金を埋めてあったのは本当ですが、あまり多くはありません」と言った。商人は身の潔白を明かすことができず、災いを恐れて、やむなく三千金を贈って見逃してもらい、あわせて注文した品物の代金の銀も返した。こうして毛氈の商売はとうとう潰れてしまった。

解説

埋蔵金の話で商人の欲をかき立て、役人まで仕立てて脅し取る、周到に仕組まれた詐欺です。この話の怖さは、嘘そのものより、舞台を整える手間の細かさにあります。祭りや儀式で信じ込ませ、掘っても何も出ない失望のあとに権威者が登場して、被害者に弁明の余地を与えません。原文は冒頭が欠けていて、発端の経緯ははっきりしないため、この点は確かでありません。管理職や経営者が学べるのは、うますぎる儲け話や、突然現れる権威ある人物の圧力にこそ、いったん立ち止まって裏を取る習慣が要るということです。相手が複数で役割分担しているときは、全員が仲間だと疑う視点も持ちたいところです。

この章句が説くこと

埋めし金祭尊極誠督府某危機管理詐欺信用

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