智囊 / 狡黠・黃鐵腳
黃鐵腳,穿窬之雄也。鄰有酒肆,黃往貰,肆吝與,黃戲曰:「必竊若壺,他肆易飲。」是夕肆主挈壺置臥榻前幾上,鐍戶甚固,遂安寢。比曉失壺,視鐍如故,亟從他肆物色,壺果在,問所得。曰:「黃某。」主詣黃問故,黃自言用一小竿竊其中,俾通氣,以豬溺囊係竿端,從霤引竿,納囊於壺,乃噓氣脹囊,舉而升之,故得壺也。
新字:黄鉄脚,穿窬之雄也。鄰有酒肆,黄往貰,肆吝与,黄戯曰:「必窃若壺,他肆易飲。」是夕肆主挈壺置臥榻前幾上,鐍戸甚固,遂安寝。比暁失壺,視鐍如故,亟従他肆物色,壺果在,問所得。曰:「黄某。」主詣黄問故,黄自言用一小竿窃其中,俾通気,以豬溺嚢係竿端,従霤引竿,納嚢於壺,乃噓気脹嚢,舉而升之,故得壺也。
書き下し
黄鉄脚は穿窬の雄なり。鄰に酒肆有り。黄往きて貰る。肆、与うるを吝む。黄戯れて曰く、「必ず若が壺を竊まん。他肆にて飲を易えん」と。是の夕、肆主、壺を挈えて臥榻の前の几上に置き、戸を鐍すること甚だ固くして、遂に安寝す。曉に比んで壺を失う。鐍を視るに故の如し。亟かに他肆より物色するに、壺は果たして在り。得たる所を問う。曰く、「黄某なり」と。主、黄に詣りて故を問う。黄自ら言う、「一小竿を用い、其の中を竊まんとし、通気せしめ、豚の溺囊を以て竿の端に係け、霤より竿を引き、囊を壺に納れ、乃ち気を噓きて囊を脹らせ、挙げて之を升せり。故に壺を得たるなり」と。
現代語訳
黄鉄脚は、盗みの名人である。隣に酒屋があり、黄はそこへ行って掛けで酒を買おうとした。店は渋った。黄は冗談めかして言った。「かならずお前の壺を盗んでみせる。そうしたら他の店で酒に換えよう」。その夜、店主は壺を抱えて寝台の前の机の上に置き、戸のかんぬきをしっかり固めて、安心して眠った。明け方に壺がなくなっていた。かんぬきを見ると、もとのままである。急いで他の酒屋を探して回ると、壺は確かにあった。どこで手に入れたのかと問うと、「黄某です」と答えた。店主は黄を訪ねて、そのわけを尋ねた。黄は自分で話した。「小さな竿を使い、中に差し入れて空気を通し、豚の膀胱の袋を竿の先にくくり付け、軒下の隙間から竿を差し込み、袋を壺の中に入れました。そして息を吹き込んで袋をふくらませ、持ち上げたのです。それで壺が手に入ったのです」。
解説
この章句が説くこと
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