智囊 / 狡黠・騙驢婦
有三婦人雇驢騎行,一男子執鞭隨之。忽少婦欲下驢擇便地,呼二婦曰:「緩行俟我。」因倩男子佐之下,即與調謔,若相悅者。已乘驢,曰:「我心痛,不能急行。」男子既不欲強少婦,追二婦又不可得,乃憩道旁。而不知少婦反走久矣,是日三驢皆失。
新字:有三婦人雇驢騎行,一男子執鞭随之。忽少婦欲下驢択便地,呼二婦曰:「緩行俟我。」因倩男子佐之下,即与調謔,若相悦者。已乗驢,曰:「我心痛,不能急行。」男子既不欲強少婦,追二婦又不可得,乃憩道旁。而不知少婦反走久矣,是日三驢皆失。
書き下し
三婦人の驢を雇いて騎し行く有り。一男子鞭を執りて之に随う。忽ち少婦、驢を下りて便地を択ばんと欲し、二婦を呼びて曰く、「緩やかに行きて我を俟て」と。因りて男子を倩いて之を佐けて下らしめ、即ち与に調謔し、相い悦ぶ者の若し。已に驢に乗り、曰く、「我は心痛す。急ぎ行くこと能わず」と。男子既に少婦を強いることを欲せず、二婦を追うも又得べからず。乃ち道傍に憩う。而して少婦の反って走ること久しきを知らず。是の日、三驢皆失う。
現代語訳
三人の婦人が驢馬を雇って乗って行き、一人の男が鞭を持ってついて行った。突然、若い婦人が驢馬を下りて用足しの場所を探したいと言い、ほかの二人を呼んで、「ゆっくり行って、私を待っていて」と言った。そこで男に頼んで下りるのを助けてもらい、すぐに親しげに冗談を言い合い、気が合うかのようなふりをした。やがて驢馬に乗り直して言った。「胸が痛むので、急いで行けません」。男はその若い婦人を無理に急がせたくなく、先の二人を追うこともできない。そこで道端で休んだ。ところが若い婦人が、とうに逆の方向に逃げていたことに気づかなかった。この日、三頭の驢馬はすべて失われた。
解説
この章句が説くこと
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