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智囊 / 雄略・藍姊

紹興中,京東王寓新淦之濤泥寺,嘗宴客。中夕散,主人醉臥,俄而群盜入,執諸子及群婢縛之,群婢呼曰:「司庫鑰者藍姐也。」藍即應曰:「有,毋驚主人。」付匙鑰,秉席上燭指引之,金銀酒器首飾盡數取去。主人醒,方知,明發訴於縣。藍姐密謂主人曰:「易捕也,群盜皆衣白。妾秉燭時,盡以燭淚污其背,當密令捕者以是驗。」後果皆獲,事見《賢奕編》。

新字:紹興中,京東王寓新淦之濤泥寺,嘗宴客。中夕散,主人酔臥,俄而群盗入,執諸子及群婢縛之,群婢呼曰:「司庫鑰者藍姐也。」藍即応曰:「有,毋驚主人。」付匙鑰,秉席上燭指引之,金銀酒器首飾尽数取去。主人醒,方知,明発訴於県。藍姐密謂主人曰:「易捕也,群盗皆衣白。妾秉燭時,尽以燭涙汚其背,当密令捕者以是験。」後果皆獲,事見《賢奕編》。

書き下し

紹興中、京東の王寓、新淦の濤泥寺に寓し、嘗て客を宴す。中夕に散じ、主人は酔いて臥す。俄にして群盗入り、諸子及び群婢を執えて之を縛る。群婢呼びて曰く、「庫の鑰を司る者は藍姐なり」と。藍は即ち応じて曰く、「有り。主人を驚かす毋かれ」と。匙鑰を付し、席上の燭を秉りて之を指引し、金銀の酒器首飾、数を尽くして取り去る。主人醒めて、方に知り、明け発ちて県に訴う。藍姐は密かに主人に謂いて曰く、「捕うること易し。群盗は皆白を衣る。妾は燭を秉りし時に、尽く燭の涙を以て其の背を汚せり。当に密かに捕者をして是を以て験せしむべし」と。後に果たして皆獲らる。事は《賢奕編》に見ゆ。

現代語訳

紹興年間、京東の王という者が新淦の濤泥寺に身を寄せていて、あるとき客を招いて宴会を開いた。夜半に散会し、主人は酔って寝た。しばらくして群盗が押し入り、子どもたちや女中たちを捕らえて縛った。女中たちは叫んだ。「倉庫の鍵を預かっているのは藍姐です」。藍はすぐに応じて言った。「あります。主人を驚かせないでください」。鍵を差し出し、宴席のろうそくを手に取って賊を案内し、金銀の酒器や首飾りは、すべて取り尽くされた。主人は目が覚めてようやく事態を知り、夜明けに県に訴えた。藍姐はひそかに主人に言った。「捕まえるのは簡単です。賊はみな白い衣を着ていました。私がろうそくを持っていたとき、蝋の涙で、みなの背中を汚しておきました。ひそかに捕吏に、それを目印にして確かめさせてください」。後にはたして全員が捕らえられた。この事は《賢奕編》に見える。

解説

藍姐は、強盗に襲われた混乱の中で、ただ従うふりをして鍵を渡し、案内役を買って出ながら、ろうそくの蝋を賊の背に垂らして目印をつけました。賊の目の前で、自分の役割を利用して証拠を仕込んだ点が見事です。抵抗すれば危険が増す場面で、協力的に見える行動の裏に後の反撃の準備を隠す発想です。現代の危機対応でも、被害そのものを止められない時に、後の追及や回復に備えて記録や証拠を残しておくことの大切さを示します。目の前の被害を最小にしながら、次の一手の布石を打つ視点は、管理職にも必要です。

この章句が説くこと

藍姐燭涙衣白証拠を残す目印危機管理

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