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智囊 / 雄略・齊襄王后

秦王使人獻玉連環於君王后,曰:「齊人多智,能解此環乎?」君王后取椎擊碎之,謝使者曰:「已解之矣。」〔述評〕君王后識法章於傭奴之中,可謂具眼。其椎碎連環,不受秦人戲侮,分明女中藺相如矣。漢惠時,匈奴為書以謔呂後,恥莫大焉,而乃過自貶損,為好語以答之。平、勃皆在,無一君王后之智也,何哉?

新字:秦王使人献玉連環於君王后,曰:「斉人多智,能解此環乎?」君王后取椎撃砕之,謝使者曰:「已解之矣。」〔述評〕君王后識法章於傭奴之中,可謂具眼。其椎砕連環,不受秦人戯侮,分明女中藺相如矣。漢恵時,匈奴為書以謔呂後,恥莫大焉,而乃過自貶損,為好語以答之。平、勃皆在,無一君王后之智也,何哉?

書き下し

秦王は人をして玉の連環を君王后に献じさせ、言った、「斉人は智が多いというが、この環を解けるか。」君王后は椎を取ってこれを撃ち砕き、使者に謝して言った、「已にこれを解きました。」〔述評〕君王后が法章を傭奴の中に識ったのは、具眼と言うべきである。その椎で連環を砕き、秦人の戯侮を受けなかったのは、分明に女中の藺相如である。漢の恵帝のとき、匈奴は書を為して呂后を謔り、恥は大なるものはなかったが、かえって過ぎて自ら貶損し、好語を為してこれに答えた。陳平、周勃が皆いたのに、一人として君王后の智がなかったのは、なぜか。

現代語訳

秦王は使者に玉の連環を君王后(斉の襄王の后)に贈らせ、こう言わせた。「斉の人は智恵が多いと聞くが、この環を解けるか。」君王后は槌を手に取って環を打ち砕き、使者に答えた。「もう解けました。」〔述評〕君王后は、かつて傭人の奴僕の身分に身を隠していた法章(のちの襄王)を見抜いたのだから、見る目があったといってよい。槌で連環を砕いて秦の嘲弄を受け流したのは、まさに女性の中の藺相如である。漢の恵帝のとき、匈奴は書簡で呂太后をからかい、これ以上ない恥辱であった。ところが漢は卑屈に自らを貶め、丁重な言葉で返答した。陳平や周勃がいたのに、君王后ほどの智恵を持つ者が一人もいなかったのは、どうしたことか。

解説

連環は、解けるはずのない難題を出して相手の力量を試す嫌がらせです。君王后は、解くというルールの中で勝負せず、砕くという結果で課題の前提を壊しました。難しい問題を出されたときに、与えられた枠に従って応じるより、本当の目的は何かを見て、屈辱を受けない形で応える発想です。馮夢龍は、同じように侮辱を受けた漢が卑屈に応じたことを対照させ、国の外交における面子と実利の問題を批判しています。交渉で無理な条件を提示されたとき、受けるか決裂するかの二択に収めず、前提そのものを組み替える選択肢を持てるかが問われます。

この章句が説くこと

玉連環椎撃砕之已解之矣機転外交交渉

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