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智囊 / 詭道・達奚武・廚人濮・何無忌・王世充・王守仁

李密與王世充戰。世充先索得一人貌類密者,縛而匿之,戰方酣,使牽以過陣前,噪曰:「已獲李密矣!」士皆呼萬歲,密軍亂,遂潰。王文成與寧王戰,尚銳。值風不便,我兵少挫。急令斬取先卻者頭,知府伍文定等立於銃炮之間,方奮督各兵殊死抵戰。賊兵忽見一大牌,書「寧王已擒,我軍毋得縱殺。」一時驚擾,遂大潰。次日,賊兵既窮促,宸濠思欲潛遁,見一漁船隱在蘆葦之中,宸濠大聲叫渡,漁船移棹請渡,竟送中軍,諸將尚未知也,其神運每如此。

新字:李密与王世充戦。世充先索得一人貌類密者,縛而匿之,戦方酣,使牽以過陣前,噪曰:「已獲李密矣!」士皆呼万歳,密軍乱,遂潰。王文成与寧王戦,尚鋭。値風不便,我兵少挫。急令斬取先却者頭,知府伍文定等立於銃炮之間,方奮督各兵殊死抵戦。賊兵忽見一大牌,書「寧王已擒,我軍毋得縦殺。」一時驚擾,遂大潰。次日,賊兵既窮促,宸濠思欲潜遁,見一漁船隠在蘆葦之中,宸濠大声叫渡,漁船移棹請渡,竟送中軍,諸将尚未知也,其神運毎如此。

書き下し

李密、王世充と戦う。世充、先に密に貌の類たる一人を索め得て、縛りて之を匿し、戦い方に酣なるとき、牽きて陣前を過ぎしめ、噪して曰く、「已に李密を獲たり」と。士皆な万歳を呼び、密の軍乱れ、遂に潰ゆ。王文成、寧王と戦うに、尚お鋭し。風の便ならざるに値い、我が兵少しく挫く。急に令して先に却く者の頭を斬り取らしめ、知府伍文定ら、銃炮の間に立ち、方に各兵を奮い督して死に殊に抵戦す。賊兵、忽ち一大牌に、「寧王已に擒にせられたり。我が軍、縦しいままに殺すこと毋かれ」と書くを見る。一時に驚き擾ぎ、大いに潰ゆ。次の日、賊兵既に窮促し、宸濠、潜かに遁れんことを思い、一漁船の蘆葦の中に隠れ在るを見、宸濠、大声にて渡を叫べば、漁船、棹を移して請い渡し、竟に中軍に送る。諸将は尚お未だ知らざるなり。其の神運、每に此くの如し。

現代語訳

李密が王世充と戦った。世充はあらかじめ李密に顔つきが似た男を探し出して縛って隠しておき、戦いの最中に、その男を引いて陣の前を通らせ、叫ばせた。「李密を捕らえたぞ。」兵はみな万歳を叫び、李密の軍は乱れて、ついに崩れた。王守仁(王文成)が寧王と戦ったとき、敵の勢いはまだ鋭かった。風向きが悪く、わが軍は少し挫けた。守仁は急いで、先に退いた者の首を斬らせた。知府の伍文定らは、銃や大砲の飛び交う間に立ち、各兵を励まして死力を尽くして戦わせた。賊兵は突然、大きな札に「寧王はすでに捕らえられた。わが軍は勝手に殺してはならない」と書かれているのを見た。たちまち驚き騒ぎ、大いに崩れた。翌日、賊兵が追い詰められ、宸濠(寧王)はひそかに逃げようと考えた。一艘の漁船が蘆の中に隠れているのを見つけ、宸濠が大声で渡してくれと叫ぶと、漁船は棹を寄せて乗せ、そのまま王守仁の本陣に送り届けた。諸将はまだそれを知らなかった。守仁の神がかった運びは、いつもこのようであった。

解説

同じ噂の戦術が、攻めにも守りにも使われた例です。王世充は李密に似た男を引き回して大将を討ったと叫び、敵の士気を折りました。王守仁は、劣勢の中でまず退く者を斬って規律を立て直し、さらに敵の大将が捕らえられたという札を掲げて、敵に動揺を広げています。翌日に宸濠が漁船に乗ったところが実は王守仁の手配だったという後段は、仕掛けが一段先まで用意されていたことを示します。管理職が学べるのは、危機のとき、第一に規律を立て直し、第二に相手の動揺を誘う次の手を準備しておくことです。ただし虚報は信用を損なうので、使う場面は限られます。

この章句が説くこと

已獲李密矣寧王已擒斬取先却者頭宸濠危機管理統率

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