智囊 / 詭道・韓信
又曰:「楚、漢決勝於垓下。信將三十萬,自當之;孔將軍居左,費將軍居右,高帝在其後,絳侯,柴武在高帝後。信先合不利,孔將軍、費將軍縱楚兵不利,信復乘之,大敗楚師。信時威震天下,籍所憚者獨信耳。信以三十萬人不利而卻,真卻也,然後不疑,故信與二將得以乘其隙。信兵雖卻,而二將維其左右,高帝軍其後,絳侯,柴武又在其後,異乎背水之危。此所以待項籍也。用破趙之跡,則殲矣。此皆信之奇策。班固為《漢書》,乃削此一事,蓋固不察所以得籍者,正在此一戰耳。
新字:又曰:「楚、漢決勝於垓下。信将三十万,自当之;孔将軍居左,費将軍居右,高帝在其後,絳侯,柴武在高帝後。信先合不利,孔将軍、費将軍縦楚兵不利,信復乗之,大敗楚師。信時威震天下,籍所憚者独信耳。信以三十万人不利而却,真却也,然後不疑,故信与二将得以乗其隙。信兵雖却,而二将維其左右,高帝軍其後,絳侯,柴武又在其後,異乎背水之危。此所以待項籍也。用破趙之跡,則殲矣。此皆信之奇策。班固為《漢書》,乃削此一事,蓋固不察所以得籍者,正在此一戦耳。
書き下し
又曰く、「楚・漢、垓下に勝を決す。信、三十万を将い、自らこれに当たる。孔将軍は左に居り、費将軍は右に居り、高帝は其の後に在り、絳侯・柴武は高帝の後に在り。信、先に合して利あらず。孔将軍・費将軍、楚兵を縦つも利あらず。信、復たこれに乗じ、大いに楚師を敗る。信は時に威は天下を震わし、籍の憚る所は独り信のみ。信、三十万人を以て利あらずして却く。真に却くなり。然る後に疑わず。故に信と二将は其の隙に乗ずるを得たり。信の兵は却くと雖も、二将は其の左右を維ぎ、高帝は其の後に軍し、絳侯・柴武は又其の後に在り。背水の危うきに異なれり。此れ籍を待つ所以なり。破趙の跡を用いれば、則ち殲されん。此れ皆信の奇策なり。班固、『漢書』を為るに、乃ち此の一事を削る。蓋し固は、籍を得たる所以の者の、正に此の一戦に在るを察せざるのみ。
現代語訳
沈括はまた言う。「楚と漢が垓下で決戦した。韓信は三十万を率いて、自らその正面に当たった。孔将軍は左に、費将軍は右に位置し、高帝はその後ろにあり、絳侯と柴武は高帝のさらに後ろにあった。韓信が先に交戦して不利になった。孔将軍と費将軍が楚の兵を攻めたが、これも不利だった。韓信は再びここに乗じ、大いに楚軍を破った。韓信はその時、威名が天下を震わせており、項籍(項羽)が恐れた相手は韓信だけであった。韓信が三十万人で不利になって退いたのは、本当に退いたのである。そうして初めて項羽は疑わなかった。だから韓信と二将はその隙に乗じることができた。韓信の兵は退いたが、二将がその左右を支え、高帝は後ろに軍を置き、絳侯と柴武はさらにその後ろにいた。これは背水の危うさとは異なる。これが項籍に対処した方法である。趙を破った跡をそのまま使ったなら、全滅したであろう。これはどれも韓信の奇策である。班固は『漢書』を作る際に、この一事を削った。思うに班固は、項籍を得た理由がまさにこの一戦にあったことを察しなかったのである。
解説
この章句が説くこと
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『養生訓』巻第七・用薬一世俗には、振薬とて、薬を袋に入れて、熱湯につけて、箸にてはさみ、しきりに振動し、薬汁を出して服す。是は、自然に薬汁出づるにあらず、しきりにふり出す故、薬湯にごり、薬力滞りやすし。補薬は、常の煎法の如く、煎じ熟すべし。泡薬に宜しからず。凡、煎薬を入るる袋は、あらき布はあしし。薬末もりて、薬汁にごれば滞りやすし。もろこしの書にて、泡薬の事いまだ見ずといへども、今の時宜によりて用ふるも可なり。古法にあらずしても、時宜によくかなはば用ふべし。
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