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智囊 / 制勝・狄青

狄青在涇原,常以寡當眾。密令軍中聞鉦一聲則止,再聲則嚴陣而陽卻,聲止即大呼馳突。士卒皆如教,才遇敵,未接,遽聲鉦,士卒皆止,再聲再卻。虜大笑曰:「孰謂狄天使勇?」鉦聲止,忽前突之,虜兵大亂,相蹂多死。追奔數里,前臨深澗,虜忽壅遏山隅,青遽鳴鉦而止。虜得引去,時將佐悔不追擊,青曰:「奔命之際,忽止而拒我,安知非謀,軍已大勝,殘寇不足貪也。」

新字:狄青在涇原,常以寡当衆。密令軍中聞鉦一声則止,再声則厳陣而陽却,声止即大呼馳突。士卒皆如教,才遇敵,未接,遽声鉦,士卒皆止,再声再却。虜大笑曰:「孰謂狄天使勇?」鉦声止,忽前突之,虜兵大乱,相蹂多死。追奔数里,前臨深澗,虜忽壅遏山隅,青遽鳴鉦而止。虜得引去,時将佐悔不追撃,青曰:「奔命之際,忽止而拒我,安知非謀,軍已大勝,残寇不足貪也。」

書き下し

狄青、涇原に在り、常に寡を以て衆に当たる。密かに軍中に令す、「鉦一声を聞かば則ち止まれ。再声すれば則ち陣を厳にして陽り卻け。声止まば即ち大いに呼びて馳突せよ」と。士卒皆教えの如くす。才かに敵に遇い、未だ接せざるに、遽かに鉦を声らせば、士卒皆止まる。再声すれば再び卻く。虜大いに笑って曰く、「孰か狄天使は勇なりと謂うや」と。鉦声止みて、忽ち前みて之を突けば、虜兵大いに乱れ、相い蹂み多く死す。追奔すること数里、前に深澗に臨む。虜忽ち山隅に壅遏す。青遽かに鉦を鳴らして止む。虜は引き去るを得たり。時に将佐は追撃せざりしを悔ゆ。青曰く、「奔命の際、忽ち止まりて我を拒ぐは、安くんぞ謀に非ざるを知らんや。軍已に大いに勝てり。残寇は貪るに足らず」と。

現代語訳

狄青は涇原にいて、いつも少ない兵で大勢の敵に当たっていました。ひそかに軍中に命じました。「鉦が一度鳴ったら止まれ。二度鳴ったら陣を厳しく整えて、退くふりをしろ。鉦が止んだら、大声を上げて突撃せよ」。兵士たちは皆、教えられたとおりにしました。敵に遭って、まだ接触しないうちに、突然鉦を鳴らすと、兵士は皆止まりました。二度鳴らすとまた退きました。敵は大いに笑って言いました。「誰が狄天使は勇ましいと言ったのか」。鉦の音が止むと、突然前に進んで突くと、敵兵は大いに乱れ、互いに踏みつけ合って多く死にました。数里にわたって追撃し、前に深い谷川が見えてきました。敵は突然、山の隅に固まってふさがりました。狄青は急に鉦を鳴らして止めました。敵は引き揚げることができました。そのとき将や副官は追撃しなかったことを悔やみました。狄青は言いました。「逃げる際に、突然止まって我々を防ぐのは、策ではないと言えるだろうか。我が軍はすでに大勝した。残りの敵を貪るには及ばない」。

解説

狄青は、鉦の合図による単純な規律で兵を動かし、わざと臆病に見せて敵の油断を誘いました。練習していない兵には難しい動きですが、事前に周知し、合図で統一していたので成功しました。さらに、勝ちの絶頂で追撃を止める冷静さが際立ちます。深追いで罠にかかるのを避ける自制心です。現代の仕事でも、好調のときほど欲を抑え、出口を決めておくことが大切です。部下が悔しがっても理由を説明し、全体の利益を優先する姿勢は、管理職の判断の手本となります。

この章句が説くこと

鉦声陽却狄青見切り好調時の自制規律

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