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智囊 / 不戰・高仁厚

明日,仁厚候雙流、穿口降者先歸,使新津降者執旗前驅,且曰:「入邛州境,亦可散歸矣。」羅夫子置九寨於延貢,其眾前夕望新津火光,已待降不眠矣。及新津人至,羅夫子脫身棄寨奔阡能。明日,羅夫子、阡能謀悉眾決戰,計未定,日向暮,延貢降者至,阡能走馬巡塞,欲出兵,眾皆不應,明旦大軍將近,呼噪爭出,執阡能、羅夫子,泣拜馬首。出軍凡六日,五賊皆平。〔評〕只用彼諜一人,而賊已爭降矣;只用降卒數隊,而二十四寨已望風迎款矣,必欲俘馘為功者,何哉?

新字:明日,仁厚候双流、穿口降者先帰,使新津降者執旗前駆,且曰:「入邛州境,亦可散帰矣。」羅夫子置九寨於延貢,其衆前夕望新津火光,已待降不眠矣。及新津人至,羅夫子脱身棄寨奔阡能。明日,羅夫子、阡能謀悉衆決戦,計未定,日向暮,延貢降者至,阡能走馬巡塞,欲出兵,衆皆不応,明旦大軍将近,呼噪争出,執阡能、羅夫子,泣拝馬首。出軍凡六日,五賊皆平。〔評〕只用彼諜一人,而賊已争降矣;只用降卒数隊,而二十四寨已望風迎款矣,必欲俘馘為功者,何哉?

書き下し

明日、仁厚は雙流、穿口の降者を候して先ず帰らしめ、新津の降者をして旗を執りて前駆せしめ、且つ曰く、「邛州の境に入れば、また散じ帰るべし。」と。羅夫子は九寨を延貢に置く。その衆は前夕、新津の火光を望み、已に降るを待ちて眠らず。新津の人至るに及び、羅夫子は身を脱し寨を棄てて阡能に奔る。明日、羅夫子、阡能は謀りて衆を悉くし決戦せんとするも、計未だ定まらず、日向に暮れんとす。延貢の降者至る。阡能は馬を走らせて塞を巡り、兵を出さんと欲するも、衆皆応ぜず。明旦、大軍将に近づかんとし、呼噪して争い出で、阡能、羅夫子を執え、泣きて馬首に拝す。出軍すること凡そ六日にして、五賊皆平らぐ。〔評〕ただ彼の諜一人を用うるのみにして、賊は已に争い降る。ただ降卒数隊を用うるのみにして、二十四寨は已に風を望んで迎え款す。必ず俘馘を以て功と為さんと欲する者は、何ぞや。

現代語訳

翌日、仁厚は雙流と穿口の降者がまず帰るのを見送り、新津の降者には旗を持って先導させ、こう言った。「邛州の境に入ったら、また解散して帰ってよい。」羅夫子は延貢に九つの砦を置いていた。その手下は前の晩に新津の火の光を望み、すでに降ることを待ち構えて眠らなかった。新津の人々が到着すると、羅夫子は身一つで砦を捨て、阡能のもとへ逃げた。翌日、羅夫子と阡能は全軍を挙げて決戦しようと相談したが、策が決まらないうちに日が暮れようとした。そこへ延貢の降者が到着した。阡能は馬を走らせて砦を見回り、兵を出そうとしたが、兵は誰も応じなかった。翌朝、大軍が近づくと、兵たちは叫びながら争って飛び出し、阡能と羅夫子を捕らえて、泣きながら馬の前に拝した。出陣してわずか六日で、五人の賊はみな平定された。〔評〕こちらが使ったのは、あちらの間者一人だけで、賊はもう争って降った。使ったのは降った兵の数隊だけで、二十四の砦はもう風の便りを聞いただけで進んで帰順した。それでも首や耳を取って手柄にしたがる者がいるのは、どういうことか。

解説

高仁厚の戦いは、降った者を先に立てて火の光と噂を届け、敵の砦が戦う前に内側から崩れる流れを作りました。出陣から六日で五賊が平定されたといいます。馮夢龍は、間者一人と降卒数隊だけで二十四の砦が降ったのに、なお首を取って手柄にしたがる者がいると嘆いています。成果を派手な数字で示すより、被害を出さずに目的を達する方が上だという主張です。現代の経営でも、競合を打ち負かす見栄えより、取引先や顧客を巻き込んで自然に流れを作る方が、結果として安く速いことがあります。

この章句が説くこと

風を望んで款す俘馘為功五賊皆平降卒数隊不戦而勝危機管理

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