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智囊 / 善言・潘京・某布政司吏

晉良吏潘京為州所辟,謁見射策,探得「不孝」字,刺史戲曰:「辟士為不孝耶?」答曰:「今為忠臣,不得為孝子。」相傳某布政請按台酒,坐間,布政以多子為憂。按君只一子,又憂其寡。吏在傍云:「子好不須多。」布政聞之,因謂曰:「我多子,汝又云何?」答曰:「子好不愁多。」二公大稱贊,共汲引之。

新字:晋良吏潘京為州所辟,謁見射策,探得「不孝」字,刺史戯曰:「辟士為不孝耶?」答曰:「今為忠臣,不得為孝子。」相伝某布政請按台酒,坐間,布政以多子為憂。按君只一子,又憂其寡。吏在傍云:「子好不須多。」布政聞之,因謂曰:「我多子,汝又云何?」答曰:「子好不愁多。」二公大称賛,共汲引之。

書き下し

晋の良吏潘京、州の辟す所と為り、謁見して策を射る。探り得たるは「不孝」の字なり。刺史戯れて曰く、「士を辟して不孝と為すか」と。答えて曰く、「今忠臣と為る、孝子と為るを得ず」と。相伝う、某の布政、按台を酒に請う。坐間、布政は子多きを以て憂えと為す。按君は只だ一子、又た其の寡きを憂う。吏傍らに在りて云う、「子好ければ須く多きを須いず」と。布政之を聞き、因りて謂いて曰く、「我は子多し、汝又た云何」と。答えて曰く、「子好ければ多きを愁えず」と。二公大いに称賛し、共に之を汲引す。

現代語訳

晋の良吏の潘京は、州に召し出され、謁見して策問の札を引いた。引き当てたのは「不孝」の字であった。刺史は戯れて言った。「人材を召して不孝とするのか」。潘京は答えた。「今は忠臣となるのですから、孝子にはなれません」。こんな話が伝わっている。ある布政使が按察使を酒宴に招いた。座の間で、布政使は子が多いことを憂えた。按察使は一人しか子がなく、これもまた少ないことを憂えた。そばにいた小吏が言った。「子が良ければ、多くなくてもよいのです」。布政使はこれを聞いて言った。「私は子が多いが、お前はまたどう言うのか」。小吏は答えた。「子が良ければ、多くても心配ありません」。二人の長官は大いに称賛し、共にこの小吏を引き立てた。

解説

抽選の題が「不孝」と出てしまった潘京は、「今は忠臣になるので、孝子にはなれません」と、忠孝並び立たずの古い言葉に重ねて場を笑いに変えました。後半の小吏は、子が多くて悩む長官と、一人しかいなくて悩む監察官の両方を、「子が良ければ多さは要らない」「良ければ多くても愁えない」と、相手に合わせた言葉でなだめ、二人から登用されました。同じ事柄でも立場により不安は逆になるため、相手の事情に合わせて言葉の向きを変える柔軟さが出世を呼んだわけです。接待や会食での一言にも通じる、状況判断の話です。

この章句が説くこと

探得不孝字今為忠臣子好不須多機転場の空気人材登用

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