智囊 / 敏悟・李仙藥
給事陳安平子年滿赴選,與鄉人李仙藥臥,夜夢十一月養蠶。仙藥占曰:「十一月養蠶,冬絲也,君必送東司。」數日果送吏部。饒陽李瞿曇勛官番滿選,夜夢一母豬極大,李仙藥占曰:「母豬,㹠主也,君必得屯主。」數日,果如其言。
新字:給事陳安平子年満赴選,与郷人李仙薬臥,夜夢十一月養蠶。仙薬占曰:「十一月養蠶,冬糸也,君必送東司。」数日果送吏部。饒陽李瞿曇勛官番満選,夜夢一母豬極大,李仙薬占曰:「母豬,㹠主也,君必得屯主。」数日,果如其言。
書き下し
給事の陳安平子、年満ちて選に赴く。郷人の李仙薬と臥す。夜に十一月に蚕を養うを夢む。仙薬占いて曰く、「十一月に蚕を養うは、冬糸なり。君、必ず東司に送られん」と。数日にして果たして吏部に送らる。饒陽の李瞿曇、勲官の番満ちて選ばる。夜に一母猪の極めて大なるを夢む。李仙薬占いて曰く、「母猪は、㹠主なり。君、必ず屯主を得ん」と。数日にして、果たして其の言の如し。
現代語訳
給事の陳安平子は、任期が満ちて新しい職の選考に赴いた。同郷の李仙薬と同じ部屋で寝て、夜に十一月に蚕を飼う夢を見た。仙薬は占って言った。「十一月に蚕を飼うのは『冬の糸』、つまり『冬司(東司)』の音に通じます。あなたは必ず東司に送られるでしょう」。数日して、果たして吏部に送られた。饒陽の李瞿曇は、勲官の勤務期間が満ちて選考を受けた。夜、非常に大きな雌豚の夢を見た。李仙薬が占って言った。「雌豚は『㹠主』の音で、あなたはきっと『屯主』の役を得るでしょう」。数日後、言葉どおりになった。
解説
十一月の蚕を「冬糸」と聞いて役所の「東司」に通じ、雌豚を「㹠主」と聞いて「屯主」に通じる、音の連想で配属先を当てる占い師の話です。説明は駄洒落の域にありますが、同じ占い師が別の人物にも当て続けた点が、世間での評判を作ったのでしょう。ここから読めるのは、判断が実際に当たったかどうか以前に、人は分かりやすい理由づけで語られると納得しやすいということです。管理職が部下や顧客に説明するときも、結論に短く覚えやすい理由を添えると、受け入れられやすくなります。ただし、理由が耳に心地よいだけで中身が空では、後で信頼を失います。
この章句が説くこと
冬糸と東司母猪と屯主李仙薬音の連想人事納得
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