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智囊 / 敏悟・河水乾・成天子

宋王有疾,夜夢河水乾,憂形於色。以為君者,龍也;河無水,龍失其居。不祥。值宰輔問疾,以此詢之。或曰:「河無水,乃『可』字;陛下之疾當可矣。」帝欣然,未幾疾愈。北齊文宣將受禪,夢人以筆點額。王曇哲賀曰:「『王』上加點,乃『主』字,位當進矣。」隋文帝未貴時,嘗夜泊江中,夢無左手,覺甚惡之。及登岸,詣一草庵,中有一老僧,道極高,具以夢告之。僧起賀曰:「無左手者,獨拳也,當為天子。」後帝興,建此庵為吉祥寺。唐太宗與劉文靜首謀之夜,高祖夢墮牀下,見遍身為蟲蛆所食,甚惡之。詢於安樂寺智滿禪師,師曰:「公得天下矣!牀下者,陛下也;群蛆食者,所謂群生共仰一人活耳。」高祖嘉其言。

新字:宋王有疾,夜夢河水乾,憂形於色。以為君者,竜也;河無水,竜失其居。不祥。値宰輔問疾,以此詢之。或曰:「河無水,乃『可』字;陛下之疾当可矣。」帝欣然,未幾疾愈。北斉文宣将受禅,夢人以筆点額。王曇哲賀曰:「『王』上加点,乃『主』字,位当進矣。」隋文帝未貴時,嘗夜泊江中,夢無左手,覚甚悪之。及登岸,詣一草庵,中有一老僧,道極高,具以夢告之。僧起賀曰:「無左手者,独拳也,当為天子。」後帝興,建此庵為吉祥寺。唐太宗与劉文静首謀之夜,高祖夢堕牀下,見遍身為虫蛆所食,甚悪之。詢於安楽寺智満禅師,師曰:「公得天下矣!牀下者,陛下也;群蛆食者,所謂群生共仰一人活耳。」高祖嘉其言。

書き下し

宋王、疾有り。夜、河水の乾くを夢み、憂い色に形る。以為えらく、君は龍なり。河に水無ければ、龍、其の居を失う。不祥なりと。宰輔の疾を問うに値り、此を以て之に詢う。或いは曰く、「河に水無きは、乃ち「可」の字なり。陛下の疾、当に可なるべし」と。帝、欣然とし、未だ幾ばくならずして疾愈ゆ。北斉の文宣、将に禅りを受けんとす。夢に人、筆を以て額に点ず。王曇哲、賀して曰く、「「王」の上に点を加うれば、乃ち「主」の字なり。位、当に進むべし」と。隋の文帝、未だ貴からざる時、嘗て夜に江中に泊し、左手無きを夢み、覚めて甚だ之を悪む。岸に登るに及び、一草庵に詣る。中に一老僧有り、道、極めて高し。具さに夢を以て之に告ぐ。僧、起ちて賀して曰く、「左手無き者は、独拳なり。当に天子と為るべし」と。後に帝興り、此の庵を建てて吉祥寺と為す。唐の太宗、劉文静と首謀するの夜、高祖、牀下に堕ち、遍身蟲蛆の食う所と為るを見るを夢む。甚だ之を悪む。安楽寺の智満禅師に詢うに、師曰く、「公、天下を得ん。牀下は、陛下なり。群蛆の食うは、所謂る群生共に一人を仰ぎて活くるのみ」と。高祖、其の言を嘉す。

現代語訳

宋王が病気になった。夜に黄河の水が干上がる夢を見て、憂いが顔に出た。君主は龍であり、河に水がなければ龍は住処を失う、不吉だと考えた。宰相が見舞いに来たので、この夢のことを尋ねた。ある人が言った。「河に水がないのは『可』の字です。陛下の病は、よくなるでしょう」。王は喜び、まもなく病が治った。北斉の文宣帝が禅譲を受けようとしたとき、夢で誰かに筆で額に点を打たれた。王曇哲は祝って言った。「『王』の上に点を加えれば『主』の字です。位が上がるでしょう」。隋の文帝がまだ身分の低かったとき、夜に川の中に舟を泊め、左手が無くなる夢を見て、目覚めてたいそう嫌な思いをした。岸に上がって一つの草庵を訪ねると、中に道の高い老僧がいた。夢を詳しく話すと、僧は立ち上がって祝った。「左手のない者は『独拳(ひとつこぶし)』、天下を握る天子となるでしょう」。後に帝が興ると、この庵を建て直して吉祥寺とした。唐の太宗が劉文静と謀議を始めた夜、高祖は寝台の下に落ち、全身を蛆虫に食われる夢を見て嫌がった。安楽寺の智満禅師に尋ねると、師は言った。「あなたは天下を得るでしょう。寝台の下とは『陛下』のことです。群れの蛆が食うのは、多くの生き物がみな一人を仰いで生きていくということです」。高祖はその言葉をほめた。

解説

悪夢を見て気落ちした権力者に、側近や僧が言葉遊びと比喩で別の意味を与え、気持ちを立て直させた話が並びます。「河無水」を「可」に、「王に点」を「主」に、「寝台の下」を「陛下」に読むのは、どれも後世に語られた逸話で、事実かどうかは確かでない部分があります。注目すべきは、凶を凶のままにせず、相手が受け入れやすい物語に変えて返す点です。不安の中にいる人は、正論の分析よりも、気持ちを支える一言を必要とすることがあります。部下や経営者を励ます立場では、慰めと事実の誠実さを両立させる言葉選びが問われます。

この章句が説くこと

河に水無し可の字王に点独拳陛下再解釈

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