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智囊 / 應卒・顏常道・侯叔獻

顏常道曰:「年河水圍濮州,城竇失戒,夜發聲如雷,須臾巷水沒骭。士有獻衣絮之法,其要,取綿絮胎,縛作團,大小不一,使善泅卒沿城捫漏穴便塞之,水勢即弭,眾工隨興,城堞無虞。熙寧中,睢陽界中發汴堤淤田。汴水暴至,堤防頗壞陷,人力不可制。時都水丞侯叔獻蒞役相視,其上數十里有一古城,急發汴堤注水入古城中,下流遂涸,使人亟治堤陷。次日,古城中水盈,汴流復行,而堤陷已完矣,徐塞古城所決,內外之水,平而不流,瞬息可塞,眾皆伏其機敏。

新字:顔常道曰:「年河水囲濮州,城竇失戒,夜発声如雷,須臾巷水没骭。士有献衣絮之法,其要,取綿絮胎,縛作団,大小不一,使善泅卒沿城捫漏穴便塞之,水勢即弭,衆工随興,城堞無虞。熙寧中,睢陽界中発汴堤淤田。汴水暴至,堤防頗壊陥,人力不可制。時都水丞侯叔献莅役相視,其上数十里有一古城,急発汴堤注水入古城中,下流遂涸,使人亟治堤陥。次日,古城中水盈,汴流復行,而堤陥已完矣,徐塞古城所決,内外之水,平而不流,瞬息可塞,衆皆伏其機敏。

書き下し

顔常道曰く、「年、河水濮州を囲み、城竇戒を失い、夜に声を発すること雷の如し。須臾にして巷の水、骭を没す。士に衣絮の法を献ずる有り。その要は、綿絮の胎を取り、縛りて団と作し、大小不一にして、善く泅ぐ卒をして城に沿いて漏穴を捫いて便ち塞がしむ。水勢即ち弭み、衆工随い興り、城堞虞い無し」と。熙寧中、睢陽の界中、汴堤を発きて淤田す。汴水暴かに至り、堤防頗る壊陥し、人力制すべからず。時に都水丞侯叔献、役に蒞みて相視る。その上数十里に一古城有り、急ぎ汴堤を発きて水を古城中に注がしむ。下流遂に涸れ、人をして亟かに堤陥を治めしむ。次日、古城中の水盈ち、汴流復た行くも、堤陥すでに完し。徐ろに古城の決する所を塞ぎ、内外の水平らかにして流れず、瞬息にして塞ぐべし。衆みな其の機敏に伏す。

現代語訳

顔常道は言う。「ある年、黄河の水が濮州を囲み、城の下水口の備えが破れて、夜に雷のような音を立てた。たちまち町の通りの水はすねまで達した。ある者が綿を使う方法を献じた。その要点は、綿の詰め物を取り、縛って団子状にし、大きさを変えて、泳ぎのうまい兵に城壁に沿って漏れる穴を探らせ、すぐにふさがせるというものだった。水の勢いはすぐに収まり、多くの職人が続いて作業し、城壁は無事だった。」熙寧年間、睢陽の領内で、汴河の堤を切って泥を田に引き入れていた。そこへ汴河の水が急に押し寄せ、堤防はかなり崩れて、人の力では止められなかった。そのとき都水丞の侯叔献が現場に来て見て回った。上流数十里のところに古い城があり、急いで汴河の堤を切って水をその古城の中に注ぎ入れさせた。下流の水が涸れたので、人を急がせて堤の崩れを直させた。翌日、古城の中の水があふれ、汴河の流れが再び戻ったが、堤の崩れはすでに直っていた。ゆっくりと古城の決壊した所をふさぐと、内外の水位が等しくなり流れが止まって、あっという間にふさげた。みなその機転に感服した。

解説

水害という二つの危機に、力で止めようとせず、水の性質に合わせて対処した事例です。城では綿のかたまりを漏れ穴に詰める軽い手段で流入を止めました。侯叔献は堤を修理する間、水を別の古城に逃がして流量を減らし、直った後に内外の水位を等しくしてふさいでいます。ここでの考え方は、問題に真正面からぶつかるのではなく、負荷を一時的に別の場所へ逃がす迂回路を設けることです。企業でも急な需要や障害に対し、緩衝となる余力を持ち、影響を逃がしながら根本を直す発想が有効です。

この章句が説くこと

衣絮法漏穴古城注水侯叔献緩衝危機管理

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