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智囊 / 應卒・黃炳

嘉熙間,峒丁反吉州。萬安宰黃炳鳩兵守備。一日五更探報:「寇且至!」遣巡尉引兵迎敵,皆曰:「空腹奈何?」炳曰:「第速行,飯且至矣。」炳乃率吏輩攜竹籮木桶,沿市民之門曰:「知縣買飯。」時人家晨炊方熟,皆有熱飯熟水,厚酬其值,負之以行,於是士卒皆飽餐,一戰破寇。由此論功,擢守臨川。

新字:嘉熙間,峒丁反吉州。万安宰黄炳鳩兵守備。一日五更探報:「寇且至!」遣巡尉引兵迎敵,皆曰:「空腹奈何?」炳曰:「第速行,飯且至矣。」炳乃率吏輩攜竹籮木桶,沿市民之門曰:「知県買飯。」時人家晨炊方熟,皆有熱飯熟水,厚酬其値,負之以行,於是士卒皆飽餐,一戦破寇。由此論功,擢守臨川。

書き下し

嘉熙の間、峒丁、吉州に反す。万安の宰黄炳、兵を鳩めて守備す。一日五更、探報す、「寇まさに至らんとす」と。巡尉を遣わし兵を引いて敵を迎えしむるに、みな曰く、「空腹いかんせん」と。炳曰く、「ただ速やかに行け、飯まさに至らん」と。炳すなわち吏輩を率い、竹籮・木桶を携え、市民の門に沿いて曰く、「知県、飯を買う」と。時に人家は晨炊まさに熟し、みな熱飯・熟水有り。厚くその値に酬い、これを負いて以て行く。ここにおいて士卒みな飽餐し、一戦して寇を破る。これに由りて功を論じ、擢んでられて臨川を守る。

現代語訳

嘉熙年間、峒の民兵が吉州で反乱を起こした。万安県の長官黄炳は兵を集めて守りを固めた。ある日の明け方、偵察から「賊がもうすぐ来ます」と報告があった。巡尉を派遣して兵を率いて迎え撃たせようとすると、兵たちはみな「空腹ではどうにもなりません」と言った。黄炳は言った。「とにかく早く出発せよ、飯はすぐ届く。」黄炳はそこで役人たちを率い、竹かごや木桶を持って町の家々の門を回り、「知県が飯を買う」と言った。ちょうど各家で朝の炊事ができあがったところで、どの家にも熱い飯と湯があった。代金を厚く払い、それを背負って運んだので、兵士たちはみな腹いっぱい食べ、一戦で賊を破った。この功績により、抜擢されて臨川の長官になった。

解説

突然の敵襲に、兵が空腹で動けないという現場の課題を、町の朝食を買い上げるという発想で解決した話です。ゼロから炊事を始めれば間に合いませんが、すでに出来上がっている資源を適正価格で調達すれば、一瞬で補給が成り立ちます。ポイントは代金を厚く払ったことで、住民も協力的になり、後に不満を残していません。緊急時こそ、自前で作るより、周囲にすでにあるものを買って動員する発想が有効です。管理職は、手元の資源だけで考えず、地域や取引先の既存の力をどう借りるかを日ごろから描いておくと、危機に強くなります。

この章句が説くこと

知県買飯空腹熱飯熟水厚酬其値資源調達危機管理

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