智囊 / 靈變・漢高祖
楚、漢久相持未決,項羽謂漢王曰:「天下洶洶,徒以我兩人。願與王挑戰決雌雄,毋徒罷天下父子為也。」漢王笑謝曰:「吾寧鬥智,不能鬥力。」項王乃與漢王相與臨廣武間而語,漢王數羽罪十,項王大怒,伏弩射中漢王,漢王傷胸,乃捫足曰:「虜中吾指。」漢王病創臥,張良強起行勞軍,以安士卒,毋令楚乘勝下漢。漢王出行軍,病甚,因馳入成臯。〔評〕小白不僵而僵,漢王傷而不傷。一時之計,俱造百世之業!
新字:楚、漢久相持未決,項羽謂漢王曰:「天下洶洶,徒以我両人。願与王挑戦決雌雄,毋徒罷天下父子為也。」漢王笑謝曰:「吾寧鬥智,不能鬥力。」項王乃与漢王相与臨広武間而語,漢王数羽罪十,項王大怒,伏弩射中漢王,漢王傷胸,乃捫足曰:「虜中吾指。」漢王病創臥,張良強起行労軍,以安士卒,毋令楚乗勝下漢。漢王出行軍,病甚,因馳入成皋。〔評〕小白不僵而僵,漢王傷而不傷。一時之計,倶造百世之業!
書き下し
楚漢久しく相い持して未だ決せず。項羽、漢王に謂いて曰く、「天下洶洶たるは、徒に我が両人を以てなり。願わくは王と挑戦して雌雄を決せん。徒に天下の父子を罷れしむること毋かれ」と。漢王笑いて謝して曰く、「吾は寧ろ智を闘わせん。力を闘わす能わず」と。項王乃ち漢王と相い与に広武の間に臨みて語る。漢王、羽の罪十を数う。項王大いに怒り、伏弩して射て、漢王の胸に中たる。漢王傷つくも、乃ち足を捫りて曰く、「虜、吾が指に中てたり」と。漢王、創を病みて臥す。張良強いて起ちて行きて軍を労い、以て士卒を安んじ、楚をして勝ちに乗じて漢を下さしむる毋からしむ。漢王、出でて軍を行るも、病甚だしく、因りて馳せて成皋に入る。〔評〕小白は僵れずして僵れ、漢王は傷つきて傷つかず。一時の計、俱に百世の業を造る。
現代語訳
楚と漢が長く対峙して決着がつかなかった。項羽は漢王に言った。「天下が騒がしいのは、ただ我ら二人のためだ。どうか王と一騎打ちを挑んで雌雄を決したい。いたずらに天下の父子を疲れさせるな」。漢王は笑って断った。「私は知恵で戦いたい。力では戦えない」。項王は漢王と広武の間で向き合って話した。漢王は項羽の十の罪を数え上げた。項王は大いに怒り、伏せておいた弩で射て、漢王の胸に当たった。漢王は傷ついたが、足をなでて言った。「賊め、私の足の指に当てたな」。漢王は傷のために臥した。張良は無理をして起き、軍を見回って兵士を慰め、安心させ、楚が勝ちに乗じて漢を攻め下すことのないようにした。漢王は出て軍を巡ったが、病が重く、馬を駆って成皋に入った。〔評〕小白は倒れていなくても倒れたふりをし、漢王は傷ついても傷つかなかったふりをした。一時の計略が、ともに百代の事業を築いたのである。
解説
この章句が説くこと
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