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智囊 / 委蛇・王曾

丁晉公執政,不許同列留身奏事,唯王文正一切委順,未嘗忤其意。一日,文正謂丁曰:「曾無子,欲以弟之子為後,欲面求恩澤,又不敢留身。」丁曰:「如公不妨。」文正因獨對,進文字一卷,具道丁事,丁去數步,大悔之。不數日,丁遂有珠崖之行。〔馮評〕王曾獨委順丁謂,而卒以出謂,蔡京首奉行司馬光,而竟以叛光,一則君子之苦心,一則小人之狡態。

新字:丁晋公執政,不許同列留身奏事,唯王文正一切委順,未嘗忤其意。一日,文正謂丁曰:「曽無子,欲以弟之子為後,欲面求恩沢,又不敢留身。」丁曰:「如公不妨。」文正因独対,進文字一巻,具道丁事,丁去数歩,大悔之。不数日,丁遂有珠崖之行。〔馮評〕王曽独委順丁謂,而卒以出謂,蔡京首奉行司馬光,而竟以叛光,一則君子之苦心,一則小人之狡態。

書き下し

丁晋公、執政し、同列の身を留めて事を奏するを許さず。唯だ王文正のみ一切委順して、未だ嘗て其の意に忤わず。一日、文正、丁に謂いて曰く、「曾、子無し。弟の子を以て後と為さんと欲す。面して恩沢を求めんと欲するも、又た敢えて身を留めず」と。丁曰く、「公の如きは妨げず」と。文正、因りて独対し、文字一巻を進め、具に丁の事を道う。丁、去ること数歩にして、大いに之を悔ゆ。数日ならずして、丁、遂に珠崖の行有り。〔馮評〕王曾、独り丁謂に委順して、卒に以て謂を出す。蔡京、首めに司馬光に奉行して、竟に以て光に叛く。一は則ち君子の苦心、一は則ち小人の狡態。

現代語訳

丁謂が政権を握ると、同僚が一人で残って上奏することを許しませんでした。ただ王曾だけは、すべて従順にして、一度も丁謂の意向に逆らいませんでした。ある日、王曾は丁謂に言いました。「私には子がいません。弟の子を跡継ぎにしたいと思います。陛下にお目にかかって恩恵を願いたいのですが、一人で残って上奏する勇気もありません。」丁謂は言いました。「あなたなら構わない。」王曾はそこで一人で謁見し、文書を一巻差し出して、丁謂の悪事を詳しく述べました。丁謂は数歩立ち去ってから、大いに後悔しました。数日もたたないうちに、丁謂は珠崖に流されました。〔馮評〕王曾は、ただ丁謂に従順であったが、ついに丁謂を追い出した。蔡京は、最初は司馬光に従って事を行ったが、結局は司馬光に背いた。一方は君子の苦心であり、一方は小人のずるい態度である。

解説

王曾は、権力者に逆らわず従う姿勢を長く保ち、相手の油断を誘って単独で上奏する許可を得ました。目的は私的な願いを装った、不正の告発です。ここで重要なのは、従順が油断を作るための手段であり、核心の正義は失っていなかった点です。馮夢龍は、蔡京の裏切りと対比し、同じ従順でも動機で君子と小人が分かれると述べます。現代でも、権限者に対立せず、機会が来るまで信頼を積むという戦略があります。ただし、不正を知りながら黙る行為と紙一重ですから、機が来たときに動く覚悟が欠かせません。

この章句が説くこと

王曽丁謂委順独対油断珠崖

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