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智囊 / 委蛇・箕子

紂為長夜之飲而失日,問其左右,盡不知也。使問箕子,箕子謂其徒曰:「為天下主,而一國皆失日,天下其危矣,一國皆不知,而我獨知之,吾其危矣!」辭以醉而不知。〔馮評〕凡無道之世,名為天醉。夫天且醉矣,箕子何必獨醒?觀箕子之智,便覺屈原之愚。

新字:紂為長夜之飲而失日,問其左右,尽不知也。使問箕子,箕子謂其徒曰:「為天下主,而一国皆失日,天下其危矣,一国皆不知,而我独知之,吾其危矣!」辞以酔而不知。〔馮評〕凡無道之世,名為天酔。夫天且酔矣,箕子何必独醒?観箕子之智,便覚屈原之愚。

書き下し

紂、長夜の飲を為して日を失う。其の左右に問うに、尽く知らざるなり。箕子に問わしむ。箕子、其の徒に謂いて曰く、「天下の主と為りて、一国皆日を失う。天下其れ危うからん。一国皆知らずして、我独り之を知る。吾其れ危うからん」と。辞するに酔いて知らざるを以てす。〔馮評〕凡そ無道の世は、名づけて天酔と為す。夫れ天すら且つ酔う。箕子何ぞ必ずしも独り醒めん。箕子の智を観れば、便ち屈原の愚を覚ゆ。

現代語訳

殷の紂王は夜通しの酒宴を開き、日付がわからなくなりました。周囲の者に尋ねましたが、誰も知りませんでした。そこで箕子に尋ねさせました。箕子は弟子たちに言いました。「天下の主となりながら、国中が日付を見失っている。天下は危うい。国中が知らないのに、私だけが知っているなら、私は危ない。」そこで、酔っていて分からないと言って断りました。〔馮評〕およそ道に外れた世は、天が酔っていると名づける。天さえ酔っているのに、箕子がなぜ一人だけ醒めていなければならないのか。箕子の智を見ると、屈原の愚が思い知らされる。

解説

箕子は、国全体が日付を失うほどの異常な状況で、自分だけがそれを知っていることの危険を見抜き、酔ったふりをして身を守りました。無道な上層の下では、正しい認識が必ずしも守られるわけではないという現実的な判断です。馮夢龍は、屈原のように醒めて入水する生き方を、愚かと対比しています。現代でも、不正や異常が常態化した組織で、自分だけが正論を述べて潰れるより、知らないふりをして機会をうかがうという選択肢があります。ただし、これは隠れる術であって、状況を改善する行動へつなげる視点が欠かせません。

この章句が説くこと

長夜の飲箕子酔屈原保身委蛇

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