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智囊 / 識斷・周瑜・寇準・陳康伯

契丹寇澶州,邊書告急,一夕五至,中外震駭。寇準不發,飲笑自如。真宗聞之,召准問計,准曰:「陛下欲了此,不過五日。願駕幸澶州。」帝難之,欲還內,准請毋還而行,乃召群臣議之。王欽若請幸金陵;陳堯叟,閬州人,請幸成都。准曰:「陛下神武,將臣協和,若大駕親征,敵當自遁,奈何棄廟社稷遠幸楚、蜀?所在人心崩潰,敵乘勢深入,天下可復保耶?」帝乃決策幸澶州,准曰:「陛下若入宮,臣不得到,又不得見,則大事去矣。請毋還內。」駕遂發,六軍、有司追而及之。臨河未渡,是夕內人相泣。上遣人目間准,方飲酒鼾睡。明日又有言金陵之謀者,上意動。准固請渡河,議數日不決。准出見高烈武王瓊,謂之曰:「子為上將,視國危不一言耶?」瓊謝之,乃復入,請召問從官,至皆默然,上欲南下。准曰:「是棄中原也!」又欲斷橋因河而守,准曰:「是棄河北也!」上搖首曰:「儒者不知兵。」

新字:契丹寇澶州,辺書告急,一夕五至,中外震駭。寇準不発,飲笑自如。真宗聞之,召准問計,准曰:「陛下欲了此,不過五日。願駕幸澶州。」帝難之,欲還内,准請毋還而行,乃召群臣議之。王欽若請幸金陵;陳堯叟,閬州人,請幸成都。准曰:「陛下神武,将臣協和,若大駕親征,敵当自遁,奈何棄廟社稷遠幸楚、蜀?所在人心崩潰,敵乗勢深入,天下可復保耶?」帝乃決策幸澶州,准曰:「陛下若入宮,臣不得到,又不得見,則大事去矣。請毋還内。」駕遂発,六軍、有司追而及之。臨河未渡,是夕内人相泣。上遣人目間准,方飲酒鼾睡。明日又有言金陵之謀者,上意動。准固請渡河,議数日不決。准出見高烈武王瓊,謂之曰:「子為上将,視国危不一言耶?」瓊謝之,乃復入,請召問従官,至皆黙然,上欲南下。准曰:「是棄中原也!」又欲断橋因河而守,准曰:「是棄河北也!」上揺首曰:「儒者不知兵。」

書き下し

契丹、澶州を寇し、辺書の告急は一夕に五たび至り、中外震駭す。寇準は発せず、飲み笑うこと自如たり。真宗は之を聞き、準を召して計を問う。準曰く、「陛下、此れを了わらんと欲せば、五日に過ぎず。願わくは駕して澶州に幸せよ」と。帝は之を難しとし、内に還らんと欲す。準は還る毋くして行かんことを請い、乃ち群臣を召して之を議す。王欽若は金陵に幸せんことを請い、陳堯叟は閬州の人にして、成都に幸せんことを請う。準曰く、「陛下は神武にして、将臣協和す。若し大駕親征せば、敵は当に自ら遁るべし。奈何ぞ廟社稷を棄てて遠く楚、蜀に幸せんや。所在の人心は崩潰し、敵は勢いに乗じて深入せば、天下は復た保つべけんや」と。帝は乃ち策を決して澶州に幸す。準曰く、「陛下若し宮に入らば、臣は到るを得ず、又た見るを得ずんば、則ち大事去らん。請う、内に還る毋かれ」と。駕は遂に発し、六軍、有司は追いて及ぶ。河に臨みて未だ渡らず。是の夕、内人は相い泣く。上は人を遣わして准を目間せしむるに、方に酒を飲みて鼾睡す。明日又た金陵の謀を言う者有り、上の意動く。准は固く河を渡らんことを請い、議すること数日にして決せず。准は出でて高烈武王の瓊に見え、之に謂いて曰く、「子は上将たり。国の危うきを視て一言せざるか」と。瓊は之に謝す。乃ち復た入り、従官を召問せんことを請う。至るも皆な黙然たり。上は南下せんと欲す。准曰く、「是れ中原を棄つるなり」と。又た橋を断ちて河に因りて守らんと欲す。准曰く、「是れ河北を棄つるなり」と。上は首を搖りて曰く、「儒者は兵を知らず」と。

現代語訳

契丹が澶州を侵し、国境からの急報が一晩に五度届き、朝廷の内外が震え上がった。寇準は報告を取り次がず、酒を飲んで笑い、平然としていた。真宗はこれを聞き、寇準を呼んで対策を尋ねた。寇準は言った。「陛下がこの件を終わらせたいなら、五日もかかりません。どうか御駕を出して澶州へお越しください」。帝はこれを難しいと思い、奥へ戻ろうとした。寇準は戻らずに出発するよう求め、そこで群臣を召して審議させた。王欽若は金陵へ行幸するよう勧め、陳堯叟は閬州の人なので、成都へ行幸するよう勧めた。寇準は言った。「陛下は神のように武勇に優れ、将軍や臣下も心を合わせています。もし陛下が自ら親征されれば、敵は自然と逃げるでしょう。どうして宗廟や社稷を捨てて、遠く楚や蜀へ行かれるのですか。行く先々で人心は崩れ、敵は勢いに乗って深く攻め入るでしょう。そうなれば、天下を再び保てるでしょうか」。帝はついに決断して澶州へ行幸することにした。寇準は言った。「陛下がもし宮中に入られてしまえば、私は参上することも、拝謁することもできなくなり、大事は去ってしまいます。どうか奥へお戻りになりませぬよう」。御駕はそのまま出発し、六軍と役人たちが追いついた。黄河に臨んでまだ渡らなかった。その夜、後宮の人々は互いに泣いた。帝は人を遣わして寇準の様子をうかがわせると、ちょうど酒を飲んでいびきをかいて眠っていた。翌日、また金陵へ逃げる策を言う者が現れ、帝の心は揺れた。寇準は強く黄河を渡るよう請い、議論は数日たっても決まらなかった。寇準は退出して高烈武王の高瓊に会い、言った。「あなたは上将である。国の危機を見て一言も言わないのか」。高瓊は謝った。そこで再び入り、従官を召して問いただすよう請うた。従官が来たが皆黙っていた。帝は南へ下ろうとした。寇準は言った。「これは中原を捨てることになります」。帝はまた橋を断って黄河を防衛線にしようと思った。寇準は言った。「これは河北を捨てることになります」。帝は首を振って言った。「儒者は兵事を知らない」。

解説

寇準は危機の時こそ平然として酒を飲み、周囲の動揺を鎮め、帝に親征を決断させました。逃げる案が次々に出る中、逃走が敵を勢いづかせると論じ、退路を断つ方向へ導いたのです。管理職にとって、危機時に最も大切なのは、率先して冷静さを示し、撤退論や先送りの空気に流されない軸を持つことです。また、帝が迷う度に、寇準が具体的な理由を添えて、言葉で再度後押ししている点も参考になります。ただし、この話は途中で終わっており、後半の展開は書かれていない可能性があります。

この章句が説くこと

飲み笑うこと自如澶州親征撤退論決断危機管理

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