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智囊 / 威克・楊守禮

嘉靖間,直隸安州值地震大變,州人乘亂搶殺,目無官法。上司聞風畏避,莫知所出。楊少保南澗公家食已二十餘年矣,先期出示,曉以朝廷法律。越二日,亂如故,公乃升牛皮帳,用家丁,率地方知事者擊斬首亂四人,懸其頭於城四門,亂遂定。〔李彥和云:〕「公雖抱雄略,倘死生利害之念一萌於中,則不在其位而欲便宜行事,浩然之氣不索然餒乎?此豪傑大作用,難與拘儒道也。」

新字:嘉靖間,直隸安州値地震大変,州人乗乱搶殺,目無官法。上司聞風畏避,莫知所出。楊少保南澗公家食已二十余年矣,先期出示,暁以朝廷法律。越二日,乱如故,公乃升牛皮帳,用家丁,率地方知事者撃斬首乱四人,懸其頭於城四門,乱遂定。〔李彦和云:〕「公雖抱雄略,倘死生利害之念一萌於中,則不在其位而欲便宜行事,浩然之気不索然餒乎?此豪傑大作用,難与拘儒道也。」

書き下し

嘉靖の間、直隷の安州、地震の大変に値う。州の人は乱に乗じて搶殺し、目に官法無し。上司は風を聞いて畏れ避け、出ずる所を知る莫し。楊少保南澗公は家食して已に二十余年なり。期に先んじて示を出し、暁すに朝廷の法律を以てす。二日を越えて、乱は故の如し。公乃ち牛皮帳に升り、家丁を用い、地方の事を知る者を率い、首乱の四人を撃斬し、其の頭を城の四門に懸く。乱は遂に定まる。〔李彦和云う、〕「公は雄略を抱くと雖も、倘し死生利害の念、一たび中に萌せば、則ち其の位に在らずして便宜に事を行わんと欲するも、浩然の気は索然として餒えざらんや。此れ豪傑の大作用にして、拘儒と道い難し」と。

現代語訳

嘉靖年間、直隷の安州で大地震が起きた。州の人々は混乱に乗じて略奪や殺傷を行い、役所の法を気にもかけなかった。上役たちは噂を聞いておびえて避け、どうしてよいか分からなかった。少保の楊守礼(南澗公)は、官を退いて家にいること二十年を過ぎていた。期日より先に告示を出し、朝廷の法律を説き聞かせた。二日たっても、乱は変わらなかった。そこで公は牛皮の幕に上がり、家の者を使い、地方の事情に通じた者を率いて、首謀者の四人を撃ち斬り、その首を城の四つの門に掛けた。乱はこうして収まった。〔李彦和は言う〕「公は雄大な謀略を抱いていたが、もし生死や利害の考えが一度でも心中に萌せば、その位にないのに便宜で事を行おうとしても、浩然の気はしぼんで衰えてしまうだろう。これは豪傑の大きな働きであり、融通のきかない学者には語りにくい」。

解説

楊守礼は官職を退いて二十年を過ぎていましたが、地震後の混乱を見て、まず告示で法を説き、二日経って収まらないと見るや、首謀者を処断して乱を収めました。上役たちが誰も動けない中で、責任と権限の外にいる人物が、自分の利害を計算せず行動したことが功を奏しました。李彦和は、そこに浩然の気を見ています。現代でも、危機に立ち会った時、役職に関係なく責任を引き受ける覚悟が組織を動かすことがあります。ただし、公的な権限のない者が刑を科すことは現代では許されません。

この章句が説くこと

首乱を斬る告示浩然の気危機対応責任地震

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