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智囊 / 詰奸・王愷・李亨

王愷為平原令,有麥商夜經村寺被劫,陳牒於縣。愷故匿其事,陰令販豆者,和少熟豆其中,夜過寺門,復劫去,令捕兵易服,就寺僧貨豆,中有熟者,遂收捕,不待訊而服,自是群盜屏跡。李亨為鄞令,民有業圃者,茄初熟,鄰人竊而鬻於市,民追奪之,兩訴於縣。亨命傾其茄於庭,笑謂鄰人曰:「汝真盜矣,果為汝茄,肯於初熟時並摘其小者耶?」遂伏罪。

新字:王愷為平原令,有麦商夜経村寺被劫,陳牒於県。愷故匿其事,陰令販豆者,和少熟豆其中,夜過寺門,復劫去,令捕兵易服,就寺僧貨豆,中有熟者,遂収捕,不待訊而服,自是群盗屏跡。李亨為鄞令,民有業圃者,茄初熟,鄰人窃而鬻於市,民追奪之,両訴於県。亨命傾其茄於庭,笑謂鄰人曰:「汝真盗矣,果為汝茄,肯於初熟時並摘其小者耶?」遂伏罪。

書き下し

王愷、平原の令と為る。麦商の夜に村寺を経て劫わるる有り、牒を県に陳ぶ。愷は故らに其の事を匿し、陰かに豆を販ぐ者をして、少しく熟豆を其の中に和え、夜に寺門を過ぎしむ。復た劫い去られ、捕兵をして服を易えしめ、寺僧に就きて豆を貨らしむるに、中に熟したる者有り。遂に収捕すれば、訊を待たずして服す。是より群盗は跡を屏む。李亨、鄞の令と為る。民に圃を業とする者有り、茄初めて熟す。隣人窃みて市に鬻ぐ。民追いて之を奪い、両つながら県に訴う。亨は命じて其の茄を庭に傾けしめ、笑いて隣人に謂いて曰く、「汝は真に盗なり。果たして汝の茄ならば、肯て初めて熟する時に並びに其の小なる者をも摘まんや」と。遂に罪に伏す。

現代語訳

王愷が平原の県令になったときのことです。麦の商人が夜に村の寺を通りかかって強盗に遭い、訴状を県に出しました。王愷はわざとその事件を伏せておき、ひそかに豆を売る商人に、少しだけ煮豆を混ぜた豆を持たせて、夜に寺の門を通らせました。するとまた襲われて奪われました。そこで捕り手に着替えさせ、寺の僧に豆を売りに行かせたところ、その中に煮豆が混ざっていました。そこで一斉に逮捕すると、取り調べを待たずに白状しました。これ以来、盗賊たちは姿を消しました。また李亨が鄞の県令になったとき、畑を営む民の茄子が実り始めたところ、隣人が盗んで市場で売りました。持ち主が追いかけて取り返し、二人とも県に訴え出ました。李亨は茄子を庭にあけさせ、隣人に笑いながら言いました。「お前は本当の盗人だな。もしお前の茄子なら、初めて実った時にわざわざ小さいものまで摘むだろうか」。隣人はとうとう罪を認めました。

解説

二つの話で共通するのは、犯人にしか分からない細部を逆に利用する手際です。煮豆という目印を仕込めば、盗品が犯人の手に渡ったかどうかが一目で分かります。茄子の大きさをよく見れば、持ち主ならしない摘み方が盗みの痕跡として残ります。前者は罠で証拠を作り、後者は現物に表れた不自然さを見抜く、という違いはありますが、どちらも口先の言い分より事実を信頼する姿勢が見て取れます。管理職は、双方の主張が食い違うとき、声の大きさではなく物や記録に残った痕跡から判断する習慣を持ちたいものです。小さな不自然を見落とさない目が、公正な裁定の土台になります。

この章句が説くこと

熟豆小者並摘囮捜査物証不自然の発見公正な裁定

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