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智囊 / 詰奸・耿叔台

某御史巡按蜀中,交代,亡其貲。新直指至,又穴而月去篋焉。成都守耿叔台察胥隸皆更番,獨仍一饔人,亟捕之。直指恚曰:「太守外不能詰盜,乃拘吾臥榻梗治耶?」固以請。比至,詰之曰:「吾視穴痕內出,非爾而誰?」即咋舌伏辜。

新字:某御史巡按蜀中,交代,亡其貲。新直指至,又穴而月去篋焉。成都守耿叔台察胥隸皆更番,独仍一饔人,亟捕之。直指恚曰:「太守外不能詰盗,乃拘吾臥榻梗治耶?」固以請。比至,詰之曰:「吾視穴痕内出,非爾而誰?」即咋舌伏辜。

書き下し

某御史、蜀中を巡按し、交代するとき、其の貲を亡う。新たに直指至り、又穴して月ごとに篋を去らる。成都の守耿叔台、胥隷の皆な更番するに、独り一饔人のみ仍お在るを察し、亟かに之を捕らう。直指恚りて曰く、「太守、外には盗を詰する能わず、乃ち吾が臥榻を拘えて梗治するか」と。固く以て請う。至るに比び、之を詰して曰く、「吾、穴痕を視るに内より出ず。爾に非ずして誰ぞや」と。即ち舌を咋みて辜に伏す。

現代語訳

ある御史が蜀の地方を巡察して、交代する際に、財貨を失った。新しい巡察官が着任すると、また壁に穴を開けて、毎月、箱の財貨が持ち去られた。成都の太守の耿叔台は、下役たちがみな交代しているのに、ただ一人の炊事人だけが残っていることに気づき、急いで彼を捕らえた。巡察官は怒って言った。「太守は、外では盗賊を問い詰められず、私の寝床の近くの者を捕らえて邪魔をするのか」。耿叔台は固く願い出た。連れて来られると、問いただして言った。「私は穴のあとを見たが、内側から開けられている。おまえでなければ誰か」。炊事人はすぐ舌を噛んで罪に服した。

解説

耿叔台は、下役がすべて交代する中で一人だけ残った者に目を付け、さらに穴の痕が内側から開けられているという物的証拠と合わせて犯人を特定しました。上役の怒りを買っても主張を曲げず、願い出て取り調べを実現した点も見事です。不正の場では、状況の変化の中で変わらない要素を探すのが定石になります。管理職も、人事異動やシステム変更をまたいで同じ問題が続くなら、変わらない要素や人に注目し、権威に遠慮せずに確かめを求める姿勢が必要でしょう。

この章句が説くこと

穴痕饔人胥隷変わらない要素直諫上役への進言

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