智囊 / 得情・程顥
有富民張氏子,其父死,有老父曰:「我,汝父也,來就汝居。」張驚疑,請辯於縣,程顥詰之。老父探懷取策以進,記曰:「某年某月日某人抱子於三翁家。」顥問張及其父年幾何,謂老父曰:「是子之生,其父年才四十,已謂之三翁乎?」老父驚服。
新字:有富民張氏子,其父死,有老父曰:「我,汝父也,来就汝居。」張驚疑,請弁於県,程顥詰之。老父探懐取策以進,記曰:「某年某月日某人抱子於三翁家。」顥問張及其父年幾何,謂老父曰:「是子之生,其父年才四十,已謂之三翁乎?」老父驚服。
書き下し
富民張氏の子有り。其の父死し、老父有りて曰く、「我は汝の父なり。来たりて汝の居に就かん」と。張驚き疑い、県に弁を請う。程顥、之を詰す。老父、懐を探りて策を取りて以て進む。記に曰く、「某年某月日、某人、子を三翁の家に抱く」と。顥、張及び其の父の年の幾何なるかを問い、老父に謂いて曰く、「是の子の生まるるとき、其の父は年才かに四十なり。已に之を三翁と謂わんや」と。老父驚き服す。
現代語訳
富裕な張氏の息子がいた。その父が死ぬと、ある老人が現れて言った。「わしはおまえの父親だ。おまえの家に住まわせてもらいに来た」。張は驚き疑って、県に判断を求めた。程顥がこの老人を問いただした。老人は懐を探って一冊の帳面を取り出し差し出した。そこには「某年某月某日、某人が子を三翁の家に抱き入れた」と記されていた。程顥は張とその亡父の年齢をたずね、老人に言った。「この子が生まれたとき、その父はわずか四十歳であった。それなのにもう三翁と呼ぶだろうか」。老人は驚いて服した。
解説
偽の父を名乗る老人は、もっともらしい証拠の帳面まで用意していました。程顥はその書面をそのまま信じず、記された呼び方に注目し、四十歳の人を三翁と呼ぶはずがないという一点の不自然さを突きました。巧みに作られた資料ほど、細部の整合を確かめれば綻びが出ます。契約書や報告書が整って見えても、年齢、日付、呼称といった小さな事実を突き合わせる習慣が、詐欺や誤認を防ぎます。体裁の良さに安心しない目が管理職には欠かせません。
この章句が説くこと
老父三翁策を取りて以て進む整合性書類の吟味詐欺の見抜き方
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