智囊 / 得情・程顥
程顥為戶縣主簿,民有借其兄宅以居者,發地中藏錢,兄之子訴曰:「父所藏也。」令曰:「此無證佐,何以決之?」顥曰:「此易辯爾。」問兄之子曰:「汝父藏錢幾何時矣?」曰:「四十年矣。」「彼借宅居幾何時矣?」曰:「二十年矣。」即遣吏取錢十千視之,謂借宅者曰:「今官所鑄錢,不五六年即遍天下,此錢皆爾未藏前數十年所鑄,何也?」其人遂服。
新字:程顥為戸県主簿,民有借其兄宅以居者,発地中蔵銭,兄之子訴曰:「父所蔵也。」令曰:「此無証佐,何以決之?」顥曰:「此易弁爾。」問兄之子曰:「汝父蔵銭幾何時矣?」曰:「四十年矣。」「彼借宅居幾何時矣?」曰:「二十年矣。」即遣吏取銭十千視之,謂借宅者曰:「今官所鋳銭,不五六年即遍天下,此銭皆爾未蔵前数十年所鋳,何也?」其人遂服。
書き下し
程顥、戸県の主簿と為る。民に其の兄の宅を借りて以て居る者有り。地中に蔵銭を発く。兄の子訴えて曰く、「父の蔵せる所なり」と。令曰く、「此れ証佐無し。何を以て之を決せん」と。顥曰く、「此れ弁じ易きのみ」と。兄の子に問いて曰く、「汝の父の銭を蔵せしは幾何の時ぞ」と。曰く、「四十年なり」と。「彼の宅を借りて居るは幾何の時ぞ」と。曰く、「二十年なり」と。即ち吏を遣わして銭十千を取り、之を視る。借宅者に謂いて曰く、「今、官の鋳る所の銭は、五六年ならずして即ち天下に遍し。此の銭は皆な爾が未だ蔵せざる前の数十年に鋳る所なり。何ぞや」と。其の人遂に服す。
現代語訳
程顥が戸県の主簿であったとき、兄の家を借りて住んでいる者がおり、地中から蔵されていた銭を掘り出した。兄の息子が訴えて言った。「父が蔵したものです」と。県令は言った。「これには証人がいない。どう決めればよいのか」と。程顥は言った。「これは見分けやすいことです」と。兄の息子に尋ねた。「あなたの父がこの銭を蔵したのはどれほど前か」と。答えた。「四十年前です」と。借家人にも尋ねた。「あなたがこの家を借りて住んで、どれほどか」と。答えた。「二十年です」と。すぐに役人を遣わして銭を十千取り寄せて調べた。借家人に言った。「いま官が鋳造する銭は、五、六年で天下に行き渡る。この銭はすべて、あなたが家に住む二十年前よりもさらに数十年前に鋳られたものだ。これはどういうことか」と。その人は罪を認めた。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『智囊』得情・程顥富民張氏の子有り。其の父死し、老父有りて曰く、「我は汝の父なり。来たりて汝の居に就かん」と。張驚き疑い、県に弁を請う。程顥、之を詰す。老父、懐を探りて策を取りて以て進む。記に曰く、「某年某月日、某人、子を三翁の家に抱く」と。顥、張及び其の父の年の幾何なるかを問い、老父に謂いて曰く、「是の子の生まるるとき、其の父は年才かに四十なり。已に之を三翁と謂わんや」と。老父驚き服す。
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『智囊』得情・裴子雲・趙和咸通の初め、楚州淮陰県の東鄰の民、荘券を以て西鄰に質し、千緡を貸し得たり。約して来年に子銭を加えて贖い取らんとす。期に及び、先に八百緡を納め、約して明日に償い足して方に券を取らんとす。両姓は素より通家にして、且つ信宿を隔つるのみ。必ず他無しと謂い、因りて納緡の籍を徴せず。明日、餘鏹を齎して至るに、西鄰は諱みて認めず。県に訴うるも、県は証無きを以て之を直とせず。復た州に訴うるも亦た然り。東鄰は憤りに勝えず、天水の趙和が江陰を令し、片言にして獄を折くと聞き、乃ち江を越えて南して訴う。趙の宰は県官の卑しく、且つ境内に非ざるを以て、固く之を却く。東鄰は冤を称して已まず。趙曰く、「且く吾が舎に止まれ」と。之を思うこと宿を経て、曰く、「之を得たり」と。捕賊の乾者数輩を召し、牒を齎して淮堧口に至り、言う、「截江の大盗を獲得せり。供するに同悪の某有りと称す。請う、械送し来たれ」と。唐の法は、唯だ刀を持して江を截る者は、鄰州も庇護せず。果たして西鄰の人を擒え至る。然れども自ら農家なるを恃み、実に他の跡無く、応対は頗る懼れず。趙は脅すに厳刑を以てす。囚は始めて泣きて叩くこと已まず。趙乃ち曰く、「盗む所は幸いに金宝錦彩多し。農家の物に非ず。汝宜しく舎中の所有を籍して之を弁ずべし」と。囚の意稍や解け、且つ東鄰の越訟を虞らず。遂に詳しく銭穀金帛の数を開き、並びに自りて来たる所を疏す。而して東鄰の贖契八百緡は在り。趙閲し、笑いて曰く、「若し果たして江寇に非ずんば、何為れぞ東鄰の八百緡を諱むや」と。遂に訴鄰を出して面質す。是に於いて慚懼して罪に服し、押して本土に回し、契を吐かしめて而る後に之を罰す。
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『智囊』得情・袁滋李汧公勉、鳳翔に鎮す。属邑の耕夫、馬蹄金一甕を得、県宰に送る。宰は公の蔵の守り厳ならざるを慮り、私室に置く。信宿して之を視るに、皆な土塊なるのみ。甕金の出土の際、郷社悉く来たりて観験し、遽に変更有れば、駭異せざる莫く、以て府に聞す。宰は自ら明らかにする能わず、遂に金を易えしを以て誣服す。詞款具に存すと雖も、隠用の所を窮むる莫し。案を以て上聞す。汧公覧て甚だ怒る。俄に筵宴有り、語は斯の事に及び、咸な共に驚異す。時に袁相国滋は幕中に在り、俯首して答うる無し。汧公之を詰す。袁曰く、「某、此の事に枉有るを疑うのみ」と。汧公曰く、「当に見る所有るべし。判官に非ざれば、情偽を探る莫し」と。袁曰く、「諾」と。獄を府中に移さしめ、甕間を閲するに、二百五十余塊を得たり。遂に列肆に金を索め、深く瀉して塊と相等しからしむるに、始めて其の半ばを称す。已に三百斤に及ぶ。其の負担の人力を詢うに、乃ち二農夫の竹を以て舁ぎて県に至れるなり。其の金数を計るに、二人の担いて挙ぐべき所に非ず。其の路に在りし時、金は已に化して土と為れるを明らかにす。是に於いて群情大いに豁し、宰は清雪を獲たり。
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『智囊』得情・孫寶・李惠・游顯沿孫宝、京兆尹と為る。饊を売る者有り、今の餅なり。都市に於いて一村民と相逢い、擊ちて落とし皆砕く。村民は五十枚を賠するを認め、売る者は三百枚と堅く称して、以て証する無し。公、別に一枚を買いて之を称らしめ、乃ち砕けたる者を都べて秤り、細かに分両を拆かしむれば、売る者乃ち服す。魏の李恵、雍州刺史と為る。薪を負う者、塩を負う者有り、同じく擔を弛めて樹陰に憩う。将に行かんとして、一つの羊皮を争い、各おの背に藉く物と言う。恵曰く、「此れ甚だ弁じ易し」と。乃ち羊皮を席上に置かしめ、杖を以て之を擊てば、塩屑出ず。薪を負う者乃ち罪に服す。江浙省の游平章顕沿は、政を為すこと清明なり。城中の銀店に一つの蒲団を失う者有り、後に隣家に於いて認め得たるも、隣は服せず、争い詈りて置かず。遊、馬を行らせて至り、其の故を問い、歎じて曰く、「一蒲団の直は幾何ぞ、二家の好みを失う。蒲団を杖つこと七十、棄てて可なり」と。杖つに及びて銀星を得たり。遂に其の隣を罪す。
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『智囊』得情・程戡程戡、処州に知たり。民に積仇ある者有り。一日、諸子其の母に謂いて曰く、「母は老いて且つ病む。恐らく更に議するを得ず。請う、母の死を以て仇に報いん」と。乃ち其の母を殺し、仇人の門に置き、而して官に訴う。仇者は自ら明らかにする能わず。戡之を疑うも、僚属は皆な疑うに足る無しと言う。戡曰く、「人を殺して自ら門に置くは、疑うべきに非ずや」と。乃ち親ら劾治し、具に本謀を得たり。
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『智囊』得情・李德裕李徳裕、浙右に鎮す。甘露寺の僧、交代せる常住の什物を訴う。前の主事僧に常住の金若干両を耗用せられたりと。引証する前の数輩は皆な遞相に交領せる文籍分明なり。衆詞は、新たに替を得たる人が隠して之を用いしと指す。且つ云う、「初め上るの時、交領の分両既に明らかなり。交割の日に及んで、其の金を見ず」と。鞫して獄を具え、伏罪昭然たり。未だ破用の所を窮めず。公、其の未だ尽くさざるを疑い、微かに意を以て之を揣るに、僧乃ち冤を訴えて曰く、「積年以来、空しく分両の文書を交せしのみ。其の実は金無きなり。衆は乃ち孤立せるを以て、此に乗じて之を擠さんと欲す」と。公曰く、「此れ知り難からず」と。乃ち兜子数乗を召し、命じて連関の僧人をして事に対せしめ、人を兜子の中に遣り、門は皆な壁に向けて相見えしめず。命じて黄泥を取り、各々下次の金の様を模して交付し、以て証拠に憑らしむ。僧は既に形状を知らず、竟に模成らず。前の数輩は皆な伏罪す。
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