智囊 / 得情・袁滋
李汧公勉鎮鳳翔,有屬邑耕夫得馬蹄金一甕,送於縣宰,宰慮公藏之守不嚴,置於私室。信宿視之,皆土塊耳,甕金出土之際,鄉社悉來觀驗,遽有變更,莫不駭異,以聞於府。宰不能自明,遂以易金誣服。雖詞款具存,莫窮隱用之所,以案上聞。汧公覽之甚怒。俄有筵宴,語及斯事,咸共驚異,時袁相國滋在幕中,俯首無所答。汧公詰之,袁曰:「某疑此事有枉耳。」汧公曰:「當有所見,非判官莫探情偽。」袁曰:「諾。」俾移獄府中,閱甕間,得二百五十餘塊,遂於列肆索金深瀉與塊相等,始稱其半,已及三百斤,詢其負擔人力,乃二農夫以竹擔舁至縣,計其金數非二人所擔可舉,明其在路時金已化為土矣,於是群情大豁,宰獲清雪。
新字:李汧公勉鎮鳳翔,有属邑耕夫得馬蹄金一甕,送於県宰,宰慮公蔵之守不厳,置於私室。信宿視之,皆土塊耳,甕金出土之際,郷社悉来観験,遽有変更,莫不駭異,以聞於府。宰不能自明,遂以易金誣服。雖詞款具存,莫窮隠用之所,以案上聞。汧公覧之甚怒。俄有筵宴,語及斯事,咸共驚異,時袁相国滋在幕中,俯首無所答。汧公詰之,袁曰:「某疑此事有枉耳。」汧公曰:「当有所見,非判官莫探情偽。」袁曰:「諾。」俾移獄府中,閲甕間,得二百五十余塊,遂於列肆索金深瀉与塊相等,始称其半,已及三百斤,詢其負担人力,乃二農夫以竹担舁至県,計其金数非二人所担可舉,明其在路時金已化為土矣,於是群情大豁,宰獲清雪。
書き下し
李汧公勉、鳳翔に鎮す。属邑の耕夫、馬蹄金一甕を得、県宰に送る。宰は公の蔵の守り厳ならざるを慮り、私室に置く。信宿して之を視るに、皆な土塊なるのみ。甕金の出土の際、郷社悉く来たりて観験し、遽に変更有れば、駭異せざる莫く、以て府に聞す。宰は自ら明らかにする能わず、遂に金を易えしを以て誣服す。詞款具に存すと雖も、隠用の所を窮むる莫し。案を以て上聞す。汧公覧て甚だ怒る。俄に筵宴有り、語は斯の事に及び、咸な共に驚異す。時に袁相国滋は幕中に在り、俯首して答うる無し。汧公之を詰す。袁曰く、「某、此の事に枉有るを疑うのみ」と。汧公曰く、「当に見る所有るべし。判官に非ざれば、情偽を探る莫し」と。袁曰く、「諾」と。獄を府中に移さしめ、甕間を閲するに、二百五十余塊を得たり。遂に列肆に金を索め、深く瀉して塊と相等しからしむるに、始めて其の半ばを称す。已に三百斤に及ぶ。其の負担の人力を詢うに、乃ち二農夫の竹を以て舁ぎて県に至れるなり。其の金数を計るに、二人の担いて挙ぐべき所に非ず。其の路に在りし時、金は已に化して土と為れるを明らかにす。是に於いて群情大いに豁し、宰は清雪を獲たり。
現代語訳
李汧公勉が鳳翔を鎮守していたとき、管下の邑の農夫が、馬蹄形の黄金の入った甕を掘り当て、県令に届けた。県令は、公の蔵の守りが厳重でないのを心配して、自分の私室に置いた。二晩たって見てみると、すべて土の塊であった。甕の金が出土したとき、村の人々がみな来て確認したのに、急にこのような変化が起きたので、みな驚き怪しみ、府に報告した。県令は自ら潔白を示すことができず、金をすり替えたとして偽りの自白をした。供述書はそろっていたが、金の使い道は突き止められなかった。この件を上に報告した。李汧公は読んで大いに怒った。まもなく宴席があり、話題がこの事件に及び、みな驚き怪しんだ。そのとき袁相国滋は幕僚にいて、うつむいて何も言わなかった。李汧公が問いただした。袁は言った。「私はこの件に冤罪があるのではないかと疑っております」と。李汧公は言った。「何か見立てがあるのだろう。判官でなければ、真偽を探ることはできない」と。袁は「承知しました」と言った。事件を府の中に移させ、甕のあたりを調べると、土塊が二百五十余個あった。そこで市場で金を探し、深く流し込んでこの塊と同じ大きさにすると、ようやくその半分の重さになった。それでもすでに三百斤に達していた。運搬した人力を尋ねると、二人の農夫が竹で担いで県まで来たのだと言う。その金の量を計算すると、二人で担ぎ上げられる量ではなかった。つまり、道の途中ですでに金は土に変わっていたことが明らかになった。こうして人々の疑念は大いに晴れ、県令は冤罪を晴らされた。
解説
この章句が説くこと
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