智囊 / 剖疑・孔道輔・戚賢
孔道輔知寧州,道士繕真武像,有蛇穿其前,數出近人,人以為神。州將欲視驗上聞,公率其屬往拜之,而蛇果出,公即舉笏擊殺之。州將以下皆大驚,已而又皆大服。由是知名天下。戚賢初授歸安縣。縣有「蕭總管」,此淫祠也。豪右欲詛有司,輒先賽廟,廟壯麗特甚。一日過之,值賽期,入廟中,列賽者階下,諭之曰:「天久不雨,若能禱神得雨則善。不爾,廟且毀,罪不赦也。」舁木偶道橋上,竟不雨,遂沉木偶,如言。又數日,舟行,忽木偶自水躍入舟中,侍人失色走,曰:「蕭總管來,蕭總管來!」賢笑曰:「是未之焚也!」命繫之,顧岸傍有社祠,別遣黠隸易服入祠,戒之曰:「伺水中人出,械以來。」已而果然,蓋策諸賽者心,且賄沒人為之也。
新字:孔道輔知寧州,道士繕真武像,有蛇穿其前,数出近人,人以為神。州将欲視験上聞,公率其属往拝之,而蛇果出,公即舉笏撃殺之。州将以下皆大驚,已而又皆大服。由是知名天下。戚賢初授帰安県。県有「蕭総管」,此淫祠也。豪右欲詛有司,輒先賽廟,廟壮麗特甚。一日過之,値賽期,入廟中,列賽者階下,諭之曰:「天久不雨,若能祷神得雨則善。不爾,廟且毀,罪不赦也。」舁木偶道橋上,竟不雨,遂沈木偶,如言。又数日,舟行,忽木偶自水躍入舟中,侍人失色走,曰:「蕭総管来,蕭総管来!」賢笑曰:「是未之焚也!」命繋之,顧岸傍有社祠,別遣黠隸易服入祠,戒之曰:「伺水中人出,械以来。」已而果然,蓋策諸賽者心,且賄没人為之也。
書き下し
孔道輔、寧州に知たり。道士、真武像を繕うに、蛇の其の前を穿つ有り、数ば出でて人に近づく。人、以て神と為す。州将、験を視て上聞せんと欲す。公、其の属を率いて往きて之を拝むに、蛇、果たして出ず。公、即ち笏を挙げて擊ちて之を殺す。州将以下、皆な大いに驚き、已にして又た皆な大いに服す。是れに由りて名を天下に知らる。戚賢、初めて帰安県を授かる。県に「蕭総管」有り、此れ淫祠なり。豪右、有司を詛わんと欲すれば、輒ち先ず廟に賽し、廟の壮麗なること特に甚し。一日、之に過ぎるに、賽の期に値う。廟中に入り、賽する者を階下に列せしめ、之に諭して曰く、「天、久しく雨ふらず。若、能く神に禱りて雨を得ば則ち善し。爾らずんば、廟は且に毀たれんとし、罪、赦されざるなり」と。木偶を橋上に舁ぎ、竟に雨ふらず。遂に木偶を沈むること言の如し。又た数日にして、舟行するに、忽ち木偶、自ら水より舟中に躍り入る。侍人、色を失いて走り、曰く、「蕭総管来たる、蕭総管来たる」と。賢、笑いて曰く、「是れ未だ之を焚かざるなり」と。命じて之を繋がしめ、岸傍に社祠有るを顧みて、別に黠隸を遣わして衣を易えて祠に入らしめ、之を戒めて曰く、「水中の人の出ずるを伺い、械して以て来れ」と。已にして果たして然り。蓋し諸の賽する者の心を策り、且つ没人に賄して之を為さしむるなり。
現代語訳
孔道輔が寧州の知事であったとき、道士が真武像を修繕していると、蛇がその前に這い出してきて、たびたび現れて人に近づいた。人々はそれを神だと考えた。州の将は、その霊験を確かめて上に報告しようとした。公は部下を率いて拝みに行くと、蛇が果たして出てきた。公はただちに笏を振り上げて打ち殺した。州将以下はみな大いに驚き、やがてみな深く感服した。これによって名を天下に知られた。戚賢は、初めて帰安県の令を授かった。県に「蕭総管」という祠があり、これは邪な祠であった。豪族が役人を呪おうとすれば、まずこの廟に賽を捧げ、廟はことのほか壮麗であった。ある日通りかかると、ちょうど賽の日であった。廟に入り、賽を捧げる者を階の下に並ばせて諭した。「天は長いこと雨を降らせていない。おまえたちが神に祈って雨を得られるなら良い。そうでなければ廟は取り壊され、罪は許されない」。木像を橋の上に担ぎ出したが、結局雨は降らなかった。そこで木像を川に沈めた。それから数日後、舟で行くと、突然木像が水中から舟の中に飛び込んできた。従者は顔色を失って走り、「蕭総管が来た、蕭総管が来た」と叫んだ。賢は笑って言った。「まだ焼いていなかったからだ」。木像を縛らせ、岸辺に社の祠があるのを見て、別に機転の利く下僕を、衣を替えさせて祠に入らせ、言い含めた。「水中から人が出てくるのを待って、縛って連れて来い」。やがて、そのとおりになった。思うに、賽を捧げていた者たちの心を見抜き、さらに潜水夫に賄賂を贈ってこれをさせたのである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『宋名臣言行録』前集巻九・孔道輔公、寧州に在り。道士、真武の像を治む。蛇の其の前を穿ちて數々出でて人に近づく有り。人、以て神と爲す。州將、驗を視て以て聞せんと欲す。故に其の屬を率いて徃きて之を拜す。而して蛇果たして出づ。公、即ち笏を舉げて蛇を擊ちて之を殺す。州將より以下、皆な大いに驚く。巳にして又た皆な大いに服す。是に由りて名を知らる。
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