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智囊 / 剖疑・張晉

大司農張晉為刑部時,民有與父異居而富者,父夜穿垣,將入取貲,子以為盜也,目間其入,撲殺之。取燭視屍,則父也。吏議子殺父,不宜縱;而實拒盜,不知其為父,又不宜誅。久不能決。晉奮筆曰:「殺賊可恕,不孝當誅。子有餘財,而使父貧為盜,不孝明矣。」竟殺之。

新字:大司農張晋為刑部時,民有与父異居而富者,父夜穿垣,将入取貲,子以為盗也,目間其入,撲殺之。取燭視屍,則父也。吏議子殺父,不宜縦;而実拒盗,不知其為父,又不宜誅。久不能決。晋奮筆曰:「殺賊可恕,不孝当誅。子有余財,而使父貧為盗,不孝明矣。」竟殺之。

書き下し

大司農張晋、刑部たりし時、民に父と居を異にして富む者有り。父、夜に垣を穿ち、将に入りて貲を取らんとす。子、以て盗と為し、目に其の入るを間いて撲殺す。燭を取りて屍を視るに、則ち父なり。吏、議するに、子の父を殺すは宜しく縦すべからず。而るに実は盗を拒ぎ、其の父たるを知らず。又た宜しく誅すべからず。久しく決する能わず。晋、筆を奮いて曰く、「賊を殺すは恕すべし。不孝は当に誅すべし。子に余財有りて、父をして貧しくして盗を為さしむ。不孝、明らかなり」と。竟に之を殺す。

現代語訳

大司農の張晋が刑部にいたとき、父と別居して富んでいる民がいた。父が夜に垣根に穴を開け、入って財物を取ろうとした。子は盗人だと思い、目で入ってくるのを見計らって撃ち殺した。灯りを取って屍を見ると、それは父であった。役人たちは、子が父を殺したのは見逃すべきでないが、実は盗人を防いだのであり、父だと知らなかったのだから、誅殺すべきでもない、と議論した。長いあいだ決められなかった。張晋は筆を取って言った。「盗人を殺したのは許してよい。不孝は誅するべきである。子に余財があるのに、父を貧しくして盗みをさせた。不孝は明らかである」。ついに子を処刑した。

解説

法の適用が割れる難事件で、張晋は殺人の事実ではなく、父を窮乏に追いやった不孝という責任の根を問いました。結論は厳しく、現代の感覚では行き過ぎと感じられる面があります。裁きの根拠が当時の孝の規範にあることに注意が必要です。ただ、目の前の事件だけでなく、そこに至った構造的な原因に目を向ける視点は、組織のトラブルにも通じます。管理職が問題を処理するときは、直接の当事者を裁くだけでなく、その背後にある放置された問題を見て、はじめて再発が防げます。この話はその厳しさの面を鮮烈に示します。

この章句が説くこと

穿垣撲殺不孝余財責任裁定

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