智囊 / 剖疑・杜杲
六安縣人有嬖其妾者)治命與二子均分。二子謂妾無分法。杜杲書其牘曰:「《傳》云:『子從父命。』《律》曰:『違父教令』,是父之言為令也。父令子違,不可以訓。然妾守志則可,或去或終,當歸二子。』部使者季衍覽之,擊節曰:「九州三十三縣令之最也!」
新字:六安県人有嬖其妾者)治命与二子均分。二子謂妾無分法。杜杲書其牘曰:「《伝》云:『子従父命。』《律》曰:『違父教令』,是父之言為令也。父令子違,不可以訓。然妾守志則可,或去或終,当帰二子。』部使者季衍覧之,撃節曰:「九州三十三県令之最也!」
書き下し
六安県の人に、其の妾を嬖する者有り。治命して二子と均分せしむ。二子、妾に分法無しと謂う。杜杲、其の牘に書して曰く、「『伝』に云う、『子は父の命に従う』と。『律』に曰く、『父の教令に違う』と。是れ父の言を令と為すなり。父の令に子の違うは、以て訓とすべからず。然れども妾、志を守らば則ち可なり。或いは去り或いは終わるも、当に二子に帰すべし」と。部使者季衍、覧て節を擊ちて曰く、「九州三十三県令の最なり」と。
現代語訳
六安県の人で、自分の妾を寵愛していた者がいた。臨終の遺命で、妾にも二人の子と同じ取り分を与えるよう命じた。二人の子は、妾には財産を分ける法がないと主張した。杜杲はその訴状に書いて言った。「『伝』に『子は父の命に従う』とあります。『律』には『父の教えと命令に違うこと』を罪とあります。これは父の言葉を命令としているのです。父の命令に子が背くのは、教訓とすることができません。ただし、妾が志を守って暮らすなら、それでよいでしょう。妾が去るか、あるいは亡くなったときは、その分は二人の子に帰属すべきです」。部使者の季衍はこれを読んで、膝を打って言った。「九州三十三県の令の中で最高だ」。なお原文には引用符号の乱れがあり、文の切れ目は確かでない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『智囊』得情・何武・張詠漢の沛郡に富翁有り。家資は二十余万、子の才は年三歳にして、其の母を失う。女有りて人に適ぐも、甚だ賢からず。翁の病困するや、遺書を為り、悉く財を以て女に属し、但だ一剣を遺して云う、「児の年十五にして、以て付し還せ」と。其の後、又た剣を与えず。児は郡に詣りて陳訴す。太守何武、女及び婿を録し、其の手書を省み、顧みて掾吏に謂いて曰く、「此の人は女の性は強梁にして、婿は復た貪鄙なるに因り、其の児を残害せんことを畏る。又た小児の此の財を得るも全く護る能わざるを計り、故に且く女に与え、実は之を守るのみ。夫れ剣とは、決断する所以なり。年十五と限るは、其の子の智力の以て自ら居るに足るを度り、又た此の女の必ず復た其の剣を還さざるを度り、当に州県に関して申転を得べしとなり。其の思慮の深遠なること是の如きかな」と。悉く奪いて財を児に与う。曰く、「敝女悪婿は、温飽十年、亦た已に幸いなり」と。論者大いに服す。張詠、杭州に知たり。杭に富民有り、病みて将に死せんとす。其の子は三歳。富民は其の婿に命じて家貲を主らしめ、而して遺すに書を以て曰く、「他日財を分かつに、十の三を以て子に、七を婿に与えよ」と。其の後、子は之を官に訟う。婿は父の書を持ちて府に詣る。詠、之を閲し、酒を以て地に酬いて曰く、「汝の婦翁は智人なり。時に子幼し、故に子を以て汝に属す。然らずんば、子は汝の手に死せん」と。乃ち命じて三分して其の財を婿に与え、子には七を与う。
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『宋名臣言行録』前集巻三・張詠公杭に在り。富民の病みて將に死せんとする有り。子方に三歳なり。乃ち其の婿に命じて其の貲を主らしめ、婿に與うるに遺書を以てして曰く、他日、財を分かたんと欲せば、即ち十の三を以て子に與え、七を婿に與えよと。子の時に長立し、果たして財を以て訟えを為す。婿其の書を持して府に詣り、元約の如くせんことを請う。公之を閲し、酒を以て地に酹ぎて曰く、汝の婦翁は智人なり。時に子幼きを以ての故に、此を以て汝に屬す。然らずんば、子は汝の手に死せんと。乃ち命じて其の財、三を以て婿に與え、子には七を與う。皆な泣謝して去る。公の明斷に服す。
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『智囊』得情・張齊賢戚里に財を分かつこと均しからずして、更ごも相訟う者有り。斉賢曰く、「是れ台府の能く決する所に非ず。臣、請う、自ら之を治めん」と。斉賢は相府に坐し、訟者を召して問いて曰く、「汝は彼が財を分かつこと多く、汝の分かつこと少なしと謂うに非ずや」と。曰く、「然り」と。款を具え、乃ち両吏を召し、甲の家を乙の舎に入れ、乙の家を甲の舎に入れしむ。貨財は動かすを得ず、分書は則ち交易す。明日奏聞す。上曰く、「朕は固より君に非ざれば定むる能わざるを知れり」と。
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『智囊』剖疑・蔡京・曹克明蔡京、洛に在り。某氏の両家に嫁ぎ、各おの子有る者有り。後に二子、皆な顕達し、争いて其の母を迎養せんとし、訟と成る。執政、決する能わず、持して以て京に白す。京曰く、「何ぞ難からん。第だ母の欲する所を問えば足る」と。遂に一言にして定まる。曹克明は智略有り、真宗の朝に累功あり、融、桂等十州の都巡検に官たり。既に至るに、蛮酋、薬一器を献じて曰く、「此の薬は凡そ箭に中たる者に傅くれば、創、立ちどころに愈ゆ」と。克明曰く、「何を以て之を験せん」と。曰く、「請う、鶏犬に試みん」と。克明曰く、「当に人に試むべし」と。箭を取りて酋の股に刺し、薬を傅くれば、酋、立ちどころに死す。群酋、慚懼して去る。
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『智囊』得情・某巡官富民の張老なる者有り。妻は一女を生み、子無し。某甲を家に贅す。久しくして、妾に子を生み、一飛と名づく。育てて四歳にして張老卒す。張の病む時、婿に謂いて曰く、「妾の子は任ずるに足らず。吾が財は当に汝が夫婦に畀うべし。爾は但だ彼の母子を養い、溝壑に死せざらしめば、即ち汝の陰徳なり」と。是に於いて券を出して書す、「張一非は吾が子に非ず。家財は尽く吾が婿に与う。外人は争奪するを得ず」と。婿は乃ち張の業を据有して疑わず。後に妾の子壮にして、官に告げて分かつことを求む。婿は券を以て官に呈す。遂に置いて問わず。他日、奉使者至り、妾の子復た訴う。婿は仍お前の如く赴き証す。奉使者は乃ち其の句読を更めて曰く、「張一非、吾が子なり。家財は尽く与う、吾が婿は外人、争奪するを得ず」と。曰く、「爾の父翁は明らかに『吾が婿は外人』と謂えり。爾は尚お敢えて其の業を有せんや。詭りて『飛』を『非』と書けるは、彼の幼きが爾の害を為すを慮ればなり」と。是に於いて断じて妾の子に給う。人は快と称す。
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