導師導古典を学びたいすべての人に 法人向けワークシート法人向けワークシート

智囊 / 億中・陸遜・孫登

陸遜多沉慮,籌無不中,嘗謂諸葛恪曰:「在吾前者,吾必奉之同升;在吾下者,吾必扶持之。君今氣陵其上,意蔑乎下,恐非安德之基也!」恪不聽,卒見殺。嵇康從孫登游三年,問終不答。康將別,曰:「先生竟無言耶?」登乃曰:「子識火乎?生而有光,而不用其光,果然枉於用光;人生有才,而不用其才,果然枉於用才。故用光在乎得薪,所以保其曜;用才在乎識物,所以全其年。今子才多識寡,難乎免於今之世矣!」康不能用,卒死呂安之難。

新字:陸遜多沈慮,籌無不中,嘗謂諸葛恪曰:「在吾前者,吾必奉之同升;在吾下者,吾必扶持之。君今気陵其上,意蔑乎下,恐非安徳之基也!」恪不聴,卒見殺。嵇康従孫登游三年,問終不答。康将別,曰:「先生竟無言耶?」登乃曰:「子識火乎?生而有光,而不用其光,果然枉於用光;人生有才,而不用其才,果然枉於用才。故用光在乎得薪,所以保其曜;用才在乎識物,所以全其年。今子才多識寡,難乎免於今之世矣!」康不能用,卒死呂安之難。

書き下し

陸遜は沈慮多く、籌は中らざる無し。嘗て諸葛恪に謂いて曰く、「吾が前に在る者は、吾必ず之を奉じて同に升る。吾が下に在る者は、吾必ず之を扶持す。君は今、気は其の上を陵ぎ、意は下を蔑す。恐らくは安徳の基に非ず」と。恪は聴かず、卒に殺さる。嵇康は孫登に従いて遊ぶこと三年、問えども終に答えず。康、将に別れんとして、曰く、「先生は竟に言無きか」と。登乃ち曰く、「子は火を識るか。生じて光有るも、其の光を用いざれば、果たして光を用うるに枉ぐ。人生まれて才有るも、其の才を用いざれば、果たして才を用うるに枉ぐ。故に光を用うるは薪を得るに在り、曜を保つ所以なり。才を用うるは物を識るに在り、年を全うする所以なり。今、子は才多くして識寡し、今の世に免れ難し」と。康は用うる能わず、卒に呂安の難に死す。

現代語訳

陸遜は深い思慮に富み、計略が的中しないことはなかった。かつて諸葛恪に言った。「私より上にいる者を、私は必ず奉じて共に昇る。私より下にいる者は、私は必ず支え守る。君は今、気勢は上の者を凌ぎ、心は下の者を蔑んでいる。恐らく安らかな徳の土台ではない」。恪は聞き入れず、結局殺された。嵇康は孫登に従って遊ぶこと三年、問うても最後まで答えてくれなかった。康が別れようとして言った。「先生は最後まで一言もないのですか」。登はそこで言った。「君は火を知っているか。生まれながらに光はあっても、その光を使わなければ、光を使うことに背くことになる。人は生まれながらに才があっても、才を使わなければ、才を使うことに背く。だから光を使うには薪を得る必要があり、それが輝きを保つ方法だ。才を使うには物事を見分ける必要があり、それが寿命を全うする方法だ。今、君は才が多く見識が少ない。今の世では免れがたい」。康は用いることができず、結局呂安の事件に連座して死んだ。

解説

二つの警告はいずれも、才能が見識を上回る人物の危うさを指摘しています。陸遜は、上を凌ぎ下を蔑む諸葛恪の態度が、人望を失う土台になると見抜きました。孫登は、才があっても世を見分ける識が足りなければ、身を滅ぼすと嵇康に告げています。いずれも、警告を受けても本人が活かせなかった点が共通します。管理職は、優秀な部下ほど、上下への接し方と状況判断の幅を育てることが、本人の将来を守ることにつながります。自分が受けた忠告を、行動に移す難しさも示唆されています。

この章句が説くこと

気は其の上を陵ぐ意は下を蔑す才多くして識寡し光を用うるは薪を得るに在り慎み人望

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る