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智囊 / 億中・羅隱

浙帥錢鏐時,宣州叛卒五千餘人送款,錢氏納之,以為腹心。時羅隱在幕下,屢諫,以為敵國之人,不可輕信。浙帥不聽。杭州新治,城堞樓櫓甚盛。浙帥攜僚客觀之,隱指卻敵,陽不曉曰:「設此何用?」浙帥曰:「君豈不知備敵耶?」隱謬曰:「若是,何不向裡設之?」蓋指宣卒也。後指揮使徐綰等挾宣卒為亂,幾於覆國。〔馮述評〕邇年遼陽、登州之變,皆降卒為祟,守土者不可不慎此一著。

新字:浙帥銭鏐時,宣州叛卒五千余人送款,銭氏納之,以為腹心。時羅隠在幕下,屡諫,以為敵国之人,不可軽信。浙帥不聴。杭州新治,城堞楼櫓甚盛。浙帥攜僚客観之,隠指却敵,陽不暁曰:「設此何用?」浙帥曰:「君豈不知備敵耶?」隠謬曰:「若是,何不向裡設之?」蓋指宣卒也。後指揮使徐綰等挟宣卒為乱,幾於覆国。〔馮述評〕邇年遼陽、登州之変,皆降卒為祟,守土者不可不慎此一著。

書き下し

浙帥の銭鏐の時、宣州の叛卒五千餘人、款を送る。銭氏は之を納れ、以て腹心と為す。時に羅隠は幕下に在り、屢ば諫め、以為らく、敵国の人は、軽々しく信ずべからずと。浙帥聴かず。杭州の新たに治まるや、城堞・楼櫓は甚だ盛んなり。浙帥は僚客を携えて之を観る。隠は卻敵を指し、陽って曉らざるが如くして曰く、「此れを設くるは何の用ぞ」と。浙帥曰く、「君は豈に敵に備うるを知らざるか」と。隠は謬りて曰く、「若し是ならば、何ぞ裡に向けて之を設けざる」と。蓋し宣卒を指すなり。後に指揮使の徐綰ら、宣卒を挟みて乱を為し、幾んど国を覆さんとす。〔馮述評〕邇年の遼陽・登州の変は、皆な降卒の祟りを為せり。土を守る者は、此の一着に慎まざるべからず。

現代語訳

浙帥の銭鏐の時、宣州の反乱兵五千余人が降伏を申し出た。銭氏はこれを受け入れ、腹心とした。当時、羅隠は幕下にいて、たびたび諫め、敵国の人を軽々しく信じてはならないと言った。浙帥は聞き入れなかった。杭州が新しく整備され、城壁や楼閣が大いに立派であった。浙帥は幕僚や客人を連れて見に行った。羅隠は敵を防ぐ設備を指して、わざと分からないふりをして言った。「これを設けて何の役に立つのですか」。浙帥は言った。「君は敵に備えることを知らないのか」。羅隠はとぼけて言った。「それなら、どうして内側に向けて設けないのですか」。降伏した宣州の兵を指したのである。のちに指揮使の徐綰らが宣州の兵を巻き込んで反乱を起こし、国が覆りかけた。〔馮夢龍の評〕近年の遼陽や登州の変は、みな降伏した兵の祟りによるものである。土地を守る者は、この一点に慎重でなければならない。

解説

羅隠は、直接の諫めが通らなかったため、冗談めかした問いで降伏兵を警戒すべきだと訴えました。それでも銭鏐は聞き入れず、のちに反乱が起こりました。ここには、受け入れた新参者への信頼の置き方と、警告の伝え方の両面があります。管理職が組織に新しい人材や買収先の人員を受け入れる際は、歓迎の姿勢と同時に、権限の配分や監視の仕組みを整える必要があります。また、諫言が通らない時は、相手の自尊心を損なわない言い回しも一案として示されています。馮夢龍は、近年の降兵の乱を例に挙げ、警戒を促しています。

この章句が説くこと

降卒城堞を指す何ぞ裡に向けて設けざる羅隠新規受け入れ危機管理

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