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智囊 / 知微・陳瓘

陳忠肅公因朝會,見蔡京視日,久而不瞬,每語人曰:「京之精神如此,他日必貴。然矜其稟賦,敢敵太陽,吾恐此人得志,必擅私逞慾,無君自肆矣。」及居諫省,遂攻其惡。時京典辭命,奸惡未彰,眾咸謂公言已甚。京亦因所親以自解。公誦杜詩云:「射人先射馬,擒賊須擒王。」攻之愈力。後京得志,人始追思公言。

新字:陳忠粛公因朝会,見蔡京視日,久而不瞬,毎語人曰:「京之精神如此,他日必貴。然矜其稟賦,敢敵太陽,吾恐此人得志,必擅私逞慾,無君自肆矣。」及居諫省,遂攻其悪。時京典辞命,奸悪未彰,衆咸謂公言已甚。京亦因所親以自解。公誦杜詩云:「射人先射馬,擒賊須擒王。」攻之愈力。後京得志,人始追思公言。

書き下し

陳忠粛公、朝会に因りて、蔡京の日を視ること、久しくして瞬かざるを見、毎に人に語りて曰く、「京の精神かくの如し。他日必ず貴からん。然れども其の稟賦を矜り、敢えて太陽に敵す。吾恐る、此の人志を得れば、必ず私を擅にし欲を逞しくし、君無くして自ら肆にせんことを。」諫省に居るに及び、遂に其の悪を攻む。時に京は辞命を典り、奸悪未だ彰れず、衆咸な公の言已に甚だしと謂う。京も亦た親しき所に因りて以て自ら解く。公、杜詩を誦して云く、「人を射るには先ず馬を射よ、賊を擒えるには須く王を擒えよ」と。之を攻むること愈いよ力む。後に京志を得るに及び、人始めて公の言を追思す。

現代語訳

陳瓘(忠粛公)は、朝会のとき、蔡京が太陽を見つめて長い間まばたきもしないのを見て、いつも人にこう語った。「蔡京の精気はあのように並外れている。将来きっと高い地位に昇るだろう。だが、生まれつきの力を誇って、あえて太陽に張り合っている。もしこの男が志を遂げたなら、必ず私利を専らにして欲望のままに振る舞い、君主をないがしろにして勝手を行うだろうと私は恐れる。」陳瓘が諫官の役所にいるようになると、ついに蔡京の悪を攻撃した。当時、蔡京は詔勅の起草を担当しており、悪事はまだ表に出ていなかったので、人々は皆、陳瓘の言い方は行き過ぎだと言った。蔡京も親しい者を通じて弁解した。陳瓘は杜甫の詩を口ずさんだ。「人を射るなら先に馬を射よ、賊を捕らえるなら頭領を捕らえよ。」そしてますます力を込めて攻撃した。のちに蔡京が志を得ると、人々ははじめて陳瓘の言葉を思い出した。

解説

悪事がまだ表に出ていない人物を、その気質から危ぶんで攻めた陳瓘の話です。周囲は言い過ぎだと見ましたが、後に蔡京が権力を握って国を傾けたとき、先見が正しかったことが分かりました。ここで大事なのは、見抜くことと、行動に移す覚悟は別だという点です。証拠が揃う前に動けば批判されるのは当然で、それでも要の一人を押さえよという杜甫の詩の発想で臨みました。現代の組織でも、不正の芽や権限を私物化する気配に気づいたとき、波風を恐れて見送るか、早期に手を打つかが問われます。判断の根拠を言葉にして示し、味方を得る努力も欠かせません。

この章句が説くこと

久しくして瞬かず擒賊須擒王私を擅にし欲を逞しくす先見危機管理権力の私物化

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