智囊 / 迎刃・劉大夏・張居正
莊浪土帥魯麟為甘肅副將,求大將不得,恃其部落強,徑歸莊浪,以子幼請告。有欲予之大將印者,有欲召還京,予之散地者。劉尚書大夏獨曰:「彼虐,不善用其眾,無能為也。然未有罪。今予之印,非法;召之不至,損威。」乃為疏,獎其先世之忠,而聽其就閒。麟卒怏怏病死。黔國公沐朝弼,犯法當逮。朝議皆難之,謂朝弼綱紀之卒且萬人,不易逮,逮恐激諸夷變。居正擢用其子,而馳單使縛之,卒不敢動;既至,請貸其死,而錮之南京,人以為快。
新字:荘浪土帥魯麟為甘粛副将,求大将不得,恃其部落強,径帰荘浪,以子幼請告。有欲予之大将印者,有欲召還京,予之散地者。劉尚書大夏独曰:「彼虐,不善用其衆,無能為也。然未有罪。今予之印,非法;召之不至,損威。」乃為疏,獎其先世之忠,而聴其就閒。麟卒怏怏病死。黔国公沐朝弼,犯法当逮。朝議皆難之,謂朝弼綱紀之卒且万人,不易逮,逮恐激諸夷変。居正擢用其子,而馳単使縛之,卒不敢動;既至,請貸其死,而錮之南京,人以為快。
書き下し
荘浪の土帥魯麟は甘粛の副将と為り、大将を求むれども得ず、其の部落の強きを恃みて径ちに荘浪に帰り、子の幼きを以て告を請う。之に大将の印を予えんと欲する者有り、召還して京に至らしめ、之に散地を予えんと欲する者有り。劉尚書大夏は独り曰く、「彼は虐にして、其の衆を善く用いず、能く為す無きなり。然れども未だ罪有らず。今、之に印を予うるは法に非ず。召せども至らざれば威を損なう」と。乃ち疏を為り、其の先世の忠を奨め、而して其の就閑を聴す。麟は卒に怏怏として病死す。黔国公沐朝弼は法を犯して当に逮うべし。朝議は皆な之を難とし、朝弼の綱紀の卒は且に万人ならんとし、逮うること易からず、逮えば諸夷の変を激さんことを恐ると謂う。居正は其の子を擢用し、而して単使を馳せて之を縛らしむれば、卒は敢えて動かず。既に至り、其の死を貸さんことを請い、之を南京に錮す。人以て快しと為す。
現代語訳
荘浪の土着の将、魯麟は甘粛の副将となり、大将の位を求めて得られず、部族の強さを頼んで荘浪に帰り、子供が幼いことを理由に休暇を願い出た。大将の印を与えようとする者もいれば、都に召還して閑職を与えようとする者もいた。劉大夏尚書だけは言った。「彼は残虐で、その衆をうまく使えず、何もできないでしょう。しかしまだ罪はありません。いま印を与えるのは法に反します。召しても来なければ威信を損ないます」。そこで上奏文を作り、その祖先の忠義を称え、彼が退いて暮らすのを許した。麟は結局、不満を抱いたまま病死した。黔国公の沐朝弼は法を犯して逮捕されるべき状態であった。朝廷の議論は皆これを難しいとし、朝弼の配下の兵は一万に近く、捕らえるのは容易でなく、捕らえれば諸蛮の変を引き起こすことを恐れた。張居正は、その子を抜擢し、一人の使者を馳せて朝弼を縛らせると、兵は動けなかった。到着すると、死を許すよう願い、南京に幽閉した。人々は痛快に思った。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『智囊』迎刃・于謙永楽の間、降虜は多く河間・東昌等の処に安置せられ、生養し蕃息して、驕悍にして馴れず。方に也先の入寇せし時、皆な将に機に乗じて騒動し、幾んど変乱に至らんとす。是に至りて兵を発して湖・貴及び広東・西の諸処の寇盗を征す。于粛愍は、其の名号有る者を遣わさんことを奏し、厚く賞犒を与え、軍に随いて征進せしむ。事平らぐに、遂に奏して彼に留む。是に於いて数十年の積患は、一旦にして潜消す。
-
『智囊』威克・呂公弼・張詠公弼は夷簡の子。其の成都を治むるに、治は寛を尚び、人は其の威断少なきを嫌う。適たま営卒の法を犯す有り、杖に当たるに、扞ぎて受けず、曰く、「寧ろ剣を以て死せん」と。公弼曰く、「杖は国法なり、剣は自ら請う者なり」と。為に杖して後に之を斬る。軍府は粛然たり。張詠、崇陽に在りし時、一吏の庫中より出ずる有り、其の鬢旁を視れば下に一銭有り、之を詰めれば、乃ち庫中の銭なり。詠命じて之を杖す。吏勃然として曰く、「一銭何ぞ道うに足らん、乃ち我を杖するか。爾は能く我を杖するとも、我を斬ること能わざるなり」と。詠は筆判して云う、「一日に一銭、千日に千銭。縄も木を断ち、水滴も石を穿つ」と。自ら剣を仗りて階を下り、其の首を斬る。府に申して自ら劾す。崇陽の人は今に至るまで之を伝う。詠、益州に知たりし時、嘗て小吏の詠に忤う有り、詠は其の頸に械す。吏恚りて曰く、「枷は即ち易く、脱するは即ち難し」と。詠曰く、「脱するも亦た何ぞ難からん」と。即ち枷に就きて之を斬る。吏は倶に悚懼す。〔馮評〕若し此等の胆決無くんば、強横の小人、何の至らざる所あらん。賊に耕牛を殺して逃亡する者有り、公自首を許す。其の母を拘して、十日出でず、之を釈す。再び其の妻を拘せば、一宿して来たる。公断じて曰く、「母を拘すること十夜、妻を留むること一宿。門に倚りて望むは何ぞ疏く、結髪の情は何ぞ厚きや」と。市に就きて之を斬る。是に於いて自首する者継ぎて至り、並びに遣わして業に帰らしむ。
-
『智囊』遠猶・崔群・劉大夏憲宗、崔群の讜直を嘉し、学士に命ず、今より奏事は必ず群の連署を取り、然る後に之を進めよと。群曰く、「翰林の挙動は、皆故事と為る。必ず是くの如くせば、後来万一阿媚の人有りて之が長と為らば、則ち下位の直言は自りて進む無からん」と。遂に詔を奉ぜず。上、文華殿に御し、劉大夏を召して諭して曰く、「事に不可なる有れば、毎に卿を召して商榷せんと欲するも、又卿の部内の事に非ざるを以て止む。今後当に行うべく当に罷むべき者有らば、卿は揭帖を以て密かに進むべし」と。大夏対えて曰く、「敢えてせず」と。上曰く、「何ぞや」と。大夏曰く、「先朝の李孜省は鑑戒と為すべし」と。上曰く、「卿の国事を論ずる、豈に孜省の私を営み物を害する者に比せんや」と。大夏曰く、「臣下は揭帖を以て進め、朝廷は揭帖を以て行う、是れ亦前代の斜封・墨勅の類なり。陛下の行う所は、当に遠くは帝王に法り、近くは祖宗に法り、公是公非、衆と之を共にすべし。外は之を府部に付し、内は之を閣臣に咨いて可なり。如し揭帖を用い、因循すること日久しくば、視て常規と為さん。万一匪人要職に冒居せば、亦此を以て之を行わん。害勝げて言うべけんや。此れ甚だ後世の法と為す所以に非ず、臣敢えて順に効わず」と。上之を善しと称すること久し。〔馮述評〕老成の遠慮は、大率此くの如し。中に寸私無く、権勢を貪らざるに由るが故なり。
-
『智囊』迎刃・留志淑中官畢真は、逆濠の党なり。江西より至り、声勢翕赫として、擁従の牙士五百余人、肆に残賊を行い、人人自ら危ぶむ。留志淑は杭州に知たり、密かに其の測る可からざるの状を得て、台察監司に白して陰かに之を制せんとす。未だ幾ばくならずして、真は果たして市人を構え、一夕其の居に火して、延焼すること二十余家なり。淑は其の衆に因りて乱を為さんことを恐れ、門を閉ざして出でず、止だ諸衙門の人に伝報して火を救う毋からしむ。余日数にして、果たして濠と通ず。真の将に発して濠に応ぜんとするに及び、台察監司は淑を召して計を定む。先ず民兵を提げ、真の門外に伏せしめ、監司は常礼を以て見えて出ず。淑入れば、真怒りて曰く、「知府は我を以て反すと為すか」と。応えて曰く、「府中の役従は太だ多し。是を以て公の心跡は白からず」と。因りて左右に令して出でて監司に報ぜしむ。既に入り、即ち堂上に至り、真の手を執りて、当に自ら白すべきの状を与に語る。衆は共に語りて、籍せざる所の人を遣り、以て衆の疑いを釈く。真は倉卒に已むを得ず、其の衆を呼びて出ださしむ。出ずれば則ち民兵は尽く執えて之を獄に置く。偽って真と入りて府中を視、蔵する所の諸兵器を見て、詰りて曰く、「此れ将に何をか為さんとする」と。真は答うる能わず、乃ち羈留す。奏聞し、誅に伏す。
-
『智囊』迎刃・李賢・王瓊法司奏す、石亨ら既に誅せられ、其の党にして奪門の功を冒して官に升る者数千人、倶に合に査究すべしと。上は李賢を召して曰く、「此の事は人心を驚動するを恐る」と。賢曰く、「朝廷は自首を許して罪を免ぜしむれば、事は方に妥なり」と。是に於いて功を冒す者四千余人、尽く首して改正す。武宗の南巡より還るに、弥留に当たりて、楊石斎は已に江彬を擒えんと計を定む。然れども彬の領する所の辺兵数千人は、彬の爪牙たる者にして、皆な勁卒なり。其の倉卒に変を為さんことを恐れ、計の出ずる所無く、因りて王晋渓に謀る。晋渓曰く、「当に其の扈従南巡の功を録し、通州に至りて賞を聴かしむべし」と。是に於いて辺兵は尽く出で、彬は遂に擒えらる。
-
『智囊』迎刃・沈演万暦年間、女真の虜人阿卜害ら一百七員、進貢して京に到る。内の工孛羅、小廝の哈額、真太の三名を首と為し、通州の駅逓に在りて横肆に需索す。州司以て聞す。時に沈演は礼部の客司に在り、議して謂う、「本は東夷の長にして、恭順なること年有り。若し一概に議して革むれば、恐らくは遠人の向化の心に孤かん。宜しく仍お各向の年例の正額の賞賜を将て、内府の各衙門に行移して関出して給散し、以て天朝の曠蕩の恩を彰らかにすべし。止だ工孛羅ら三名の額賞を革め、遼東巡撫に行文して、辺に在る酋長に執付し、騒擾の故を諭し、治むるに虜法を以てし、本人が認罪輸服するを俟ちて、方めて補給を准すべし」と。沈何山云う、客司は古の典属国なり。郵人は虜に騒がされ、鈐束を望まざる能わざるも、然れども以て其の命を制する無し。初め工孛羅ら告げらるるに、諭して罰服せしむれど、驁として受けず。賞を与えて以て衆を安んじ、三人の賞を革めて以て法を行う。三人の頭目は、能く其の衆を使う者にして、且つ積猾なるも、然れども衆を離れれば亦た嘩する能わず、遂に甘んじて罰服す。此れ亦た騒擾を処するの一法なり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る