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智囊 / 迎刃・吳時來

嘉靖時,倭寇發難,郎、土諸路兵援至。吳總臣計犒逾時,眾大噪。及至松江,撫臣屬推官吳時來除備。時來度水道所由,就福田禪林外立營,令土官以兵至者,各署部伍,舟人導之入,以次受犒,惠均而費不冗,諸營帖然。客兵素獷悍,剽掠即不異寇。時來用贊畫者言,為好語結其寇長,縛治之,迄終事無敢犯者。

新字:嘉靖時,倭寇発難,郎、土諸路兵援至。呉総臣計犒逾時,衆大噪。及至松江,撫臣属推官呉時来除備。時来度水道所由,就福田禅林外立営,令土官以兵至者,各署部伍,舟人導之入,以次受犒,恵均而費不冗,諸営帖然。客兵素獷悍,剽掠即不異寇。時来用賛画者言,為好語結其寇長,縛治之,迄終事無敢犯者。

書き下し

嘉靖の時、倭寇難を発し、郎・土の諸路の兵援け至る。呉総臣は犒を計ること時を逾え、衆は大いに噪ぐ。松江に及ぶや、撫臣は推官呉時来に属して備えを除かしむ。時来は水道の由る所を度り、福田禅林の外に就きて営を立て、土官に令して兵の至る者は、各おの部伍を署し、舟人は之を導きて入れ、次を以て犒を受けしむ。恵は均しくして費は冗ならず、諸営は帖然たり。客兵は素より獷悍にして、剽掠すること寇に異ならず。時来は贊画者の言を用い、好語を為して其の寇長に結び、縛りて之を治め、迄に事を終うるまで敢えて犯す者無し。

現代語訳

嘉靖の時代、倭寇が侵攻し、郎・土(少数民族の土兵)の各方面の援軍が到着した。呉総臣は恩賞の準備に手間取って時機を過ぎ、兵たちは大いに騒いだ。松江に着くと、巡撫は推官の呉時来に命じて受け入れの手配をさせた。時来は水路の経路を見積もり、福田禅林の外に陣営を設け、土官に命じて到着した兵はそれぞれ部隊の名を記させ、船頭が案内して中に入れ、順番に恩賞を受けさせた。恩恵は均等で、費用も無駄がなく、諸営は静かに落ち着いた。援軍はもともと荒々しく、略奪することは敵と変わらなかった。時来は参謀の意見を用い、好意的な言葉で彼らの首領と結んで、頃合いを見て捕らえて処罰し、最後まで事が終わるまで、敢えて犯す者はいなかった。

解説

援軍が荒れた原因は、恩賞の遅れと、受け入れ体制の不備でした。呉時来は、陣営の場所、受け入れの順番、部隊ごとの名簿、水路の案内を先に整え、全員が公平に報酬を受ける流れをつくりました。さらに首領には好意的な言葉で結びつきつつ、規律を乱した者は処罰して、全体の気を引き締めます。荒くれ者を一括して敵視せず、段取りで落ち着かせ、見せしめは最小限にする運営です。現代でも、外部の応援部隊や派遣人材の受け入れで、待遇の透明さと、導線の設計が、現場の混乱を左右します。

この章句が説くこと

計犒逾時立営以次受犒恵均費不冗好語結寇長受け入れ体制

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