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智囊 / 通簡・王璋・羅通

璋,河南人,永樂中為左都御史。時有告周府將為不軌者,上欲及其未發討之,以問璋。璋曰:「事未有跡,討之無名。」上曰:「兵貴神速,彼出城,則不可為矣。」璋曰:「以臣之愚,可不煩兵,臣請往任之。」曰:「若用眾幾何?」曰:「但得御史三四人隨行足矣。然須奉敕,以臣巡撫其地,乃可。」遂命學士草敕,即日起行。黎明,直造王府。周王驚愕,莫知所為,延之別室,問所以來者。曰:「人有告王謀叛,臣是以來。」王驚跪。璋曰:「朝廷已命丘大帥將兵十萬,將至,臣以王事未有跡,故來先諭。事將若何?」王舉家環哭不已。璋曰:「哭亦何益,願求所以釋上疑者。」曰:「愚不知所出,唯公教之。」璋曰:「能以王護衛為獻,無事矣。」王從之,乃馳驛以聞。上喜,璋乃出示曰:「護衛軍三日不徙者,處斬。」不數日而散。

新字:璋,河南人,永楽中為左都御史。時有告周府将為不軌者,上欲及其未発討之,以問璋。璋曰:「事未有跡,討之無名。」上曰:「兵貴神速,彼出城,則不可為矣。」璋曰:「以臣之愚,可不煩兵,臣請往任之。」曰:「若用衆幾何?」曰:「但得御史三四人随行足矣。然須奉勅,以臣巡撫其地,乃可。」遂命学士草勅,即日起行。黎明,直造王府。周王驚愕,莫知所為,延之別室,問所以来者。曰:「人有告王謀叛,臣是以来。」王驚跪。璋曰:「朝廷已命丘大帥将兵十万,将至,臣以王事未有跡,故来先諭。事将若何?」王舉家環哭不已。璋曰:「哭亦何益,願求所以釈上疑者。」曰:「愚不知所出,唯公教之。」璋曰:「能以王護衛為献,無事矣。」王従之,乃馳駅以聞。上喜,璋乃出示曰:「護衛軍三日不徙者,処斬。」不数日而散。

書き下し

璋は河南の人にして、永楽中に左都御史と為る。時に周府の将に不軌を為さんとすと告ぐる者有り。上は其の未だ発せざるに及びて之を討たんと欲し、以て璋に問う。璋曰く、「事に未だ跡有らず、之を討たば名無し」と。上曰く、「兵は神速を貴ぶ。彼城を出でば、則ち為すべからず」と。璋曰く、「臣の愚を以てすれば、兵を煩わさずして可なり。臣、往きて之を任ぜんことを請う」と。曰く、「若し衆を用いば幾何ぞ」と。曰く、「但だ御史三四人の随行を得れば足れり。然れども須らく敕を奉じ、臣を以て其の地を巡撫せしむるべし。乃ち可なり」と。遂に学士に命じて敕を草せしめ、即日起行す。黎明、直ちに王府に造る。周王は驚愕し、為す所を知らず、之を別室に延き、来る所以を問う。曰く、「人に王が謀叛すと告ぐる有り。臣是を以て来る」と。王は驚き跪く。璋曰く、「朝廷は已に丘大帥に命じて兵十万を将いしめ、将に至らんとす。臣は王の事に未だ跡有らざるを以て、故に来りて先ず諭す。事将に若何せんとす」と。王は家を挙げて環り哭して已まず。璋曰く、「哭すとも亦た何の益あらん。願わくは上の疑いを釈く所以を求めよ」と。曰く、「愚は出だす所を知らず、唯だ公の之を教えよ」と。璋曰く、「能く王の護衛を以て献ずれば、事無からん」と。王は之に従い、乃ち駅を馳せて以て聞す。上は喜び、璋は乃ち出でて示して曰く、「護衛軍の三日にして徙らざる者は、処斬せん」と。数日ならずして散ず。

現代語訳

王璋は河南の人で、永楽年間に左都御史となった。そのとき、周王の府が謀反を企てていると告げる者がいた。帝は、まだ事が起こらないうちに討とうとして、璋に尋ねた。璋は言った。「事にまだ証拠がありません。討伐すれば名分がありません」。帝は言った。「兵は神速を尊ぶ。彼が城を出れば、手が打てなくなる」。璋は言った。「愚臣の考えでは、兵を煩わさなくても大丈夫です。私が行ってこの件を任されることを願います」。帝は言った。「兵はどれほど要るか」。璋は答えた。「御史を三、四人随行させれば十分です。ただし勅命を奉じ、私にその地の巡撫を命じていただく必要があります」。そこで学士に命じて勅書を起草させ、その日のうちに出発した。夜明けに、まっすぐ王府に至った。周王は驚き、どうしてよいかわからず、別室に招き入れて来た理由を尋ねた。璋は言った。「王が謀反を企てていると告げる者がいます。臣はそのため参りました」。王は驚いてひざまずいた。璋は言った。「朝廷はすでに丘大将に命じて十万の兵を率いさせ、まもなく到着します。臣は、王の事にまだ証拠がないため、先に来て諭すのです。この件、どうなさいますか」。王は一家こぞって周りに集まり、泣きやまなかった。璋は言った。「泣いても何の益もありません。どうか陛下の疑いを解く方法を求められよ」。王は言った。「愚か者の私には思いつくことがありません。ただ公が教えてください」。璋は言った。「王の護衛軍を献上すれば、事なきを得られましょう」。王はこれに従い、駅伝を走らせて報告した。帝は喜び、璋はそこで外に出て告示した。「護衛軍で三日たっても立ち去らない者は、斬罪に処す」。数日もたたず、護衛軍は解散した。

解説

証拠のない謀反の噂に対し、王璋は大軍を動かさず、御史数人だけを連れて王府に入り、周王に自ら護衛軍を献上する道を示しました。朝廷が十万の兵を動かしつつあるという事実を先に伝え、王に選択肢が一つしかないと悟らせる構成です。軍事力で威圧しないまま、相手に武装解除させる交渉術として優れています。現代でも、疑念がある相手に対して正面からの調査や処分に入る前に、相手が自ら疑いを解く行動を取れるよう道を示すと、双方に傷が少なく済みます。

この章句が説くこと

事に未だ跡有らず討たば名無し護衛を以て献ずれば事無からん三日にして徙らざる者は処斬説得危機管理交渉

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