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智囊 / 通簡・喬宇

塚宰喬公宇,正德己卯參理留都兵務。時逆濠聲言南下,兵已至安慶。而公日領一老儒與一醫士,所至遊宴,實以觀形勢之險要,而外若不以為意者,人以為矯情鎮物。有費禕,謝安之風。〔馮述評〕即矯情鎮物,亦自難得,胸中若無經緯,如何矯得來?方宸濠反報至,喬公令盡拘城內江西人,訊之,果得濠所遣諜卒數十人。上駐軍南都,公首俘獻之。即此已見公一斑矣。

新字:塚宰喬公宇,正徳己卯参理留都兵務。時逆濠声言南下,兵已至安慶。而公日領一老儒与一医士,所至遊宴,実以観形勢之険要,而外若不以為意者,人以為矯情鎮物。有費禕,謝安之風。〔馮述評〕即矯情鎮物,亦自難得,胸中若無経緯,如何矯得来?方宸濠反報至,喬公令尽拘城内江西人,訊之,果得濠所遣諜卒数十人。上駐軍南都,公首俘献之。即此已見公一斑矣。

書き下し

冢宰喬公宇は、正徳己卯に留都の兵務に参理す。時に逆濠は南下すと声言し、兵は已に安慶に至る。而るに公は日々一老儒と一医士を領して、至る所遊宴し、実は以て形勢の険要を観、而して外は意と為さざるが若し。人は以て情を矯めて物を鎮むと為す。費禕、謝安の風有り。〔馮述評〕即ち情を矯め物を鎮むるも、亦た自ら得難し。胸中に若し経緯無ければ、如何ぞ矯め得んや。方に宸濠の反報至るや、喬公は令して城内の江西人を尽く拘え、之を訊するに、果たして濠の遣わす所の諜卒数十人を得たり。上は南都に駐軍し、公は首めて之を俘えて献ず。即ち此れに公の一斑を見るべし。

現代語訳

吏部尚書の喬宇公は、正徳己卯の年に南京の軍務に参与していた。そのとき、逆賊の寧王朱宸濠が南下すると言いふらし、兵はすでに安慶に至っていた。それなのに公は毎日、一人の老儒者と一人の医者を連れて、行く先々で宴遊し、実はそれによって地形の険要を観察しながら、表向きは気にしていないかのようであった。人々は、感情を抑えて動揺を鎮めているのだと思った。費禕や謝安の風格がある。〔馮夢龍の評〕たとえ感情を抑えて動揺を鎮めるにしても、それは難しいことである。胸中に経緯(計画)がなければ、どうして抑えられようか。宸濠の反乱の報が届くや、喬公は命令して城内の江西人をすべて捕らえさせ、尋問したところ、果たして宸濠が遣わした間者数十人を得た。帝が南京に駐軍すると、公は真っ先に彼らを捕虜として献上した。ここに公の一端を見ることができる。

解説

反乱軍が迫る南京で、喬宇は老儒者と医者を連れて遊び歩き、人々に落ち着いた姿を見せながら、実は地形の要害を調べていました。表の余裕と裏の周到さを併せ持つ姿が、費禕や謝安の風格にたとえられます。馮夢龍は、動揺を鎮めて見せるにも、胸中に計画がなければ演じ切れないと指摘しています。反乱の報が届くと即座に江西人を一斉に拘束し、間者数十人を捕らえた手際も、その準備の賜物です。現代でも、緊急時に動じない上司の姿は、裏の準備があって初めて部下を安心させます。

この章句が説くこと

矯情鎮物費禕謝安の風胸中に経緯危機管理冷静

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