智囊 / 通簡・韓裒
周文帝時,韓裒為北雍州刺史。州多盜,裒至,密訪之,并州中豪右也。裒陽不知,並加禮遇,謂曰:「刺史書生,安知督盜。所賴卿等共分其憂耳。」乃悉召桀黠少年,盡署主帥,與分地界,盜發不獲,即以故縱論。於是諸被署者皆惶懼首伏,曰:「前盜實某某。」具列姓名。裒因取名簿藏之,榜州門曰:「凡盜,可急來首;盡今月不首者,顯戳之,籍其妻子,以賞前首者。」於是旬月間盜悉出首。裒取簿質對,不爽,並原其罪,許自新,由是群盜屏息。
新字:周文帝時,韓裒為北雍州刺史。州多盗,裒至,密訪之,并州中豪右也。裒陽不知,並加礼遇,謂曰:「刺史書生,安知督盗。所頼卿等共分其憂耳。」乃悉召桀黠少年,尽署主帥,与分地界,盗発不獲,即以故縦論。於是諸被署者皆惶懼首伏,曰:「前盗実某某。」具列姓名。裒因取名簿蔵之,榜州門曰:「凡盗,可急来首;尽今月不首者,顕戳之,籍其妻子,以賞前首者。」於是旬月間盗悉出首。裒取簿質対,不爽,並原其罪,許自新,由是群盗屏息。
書き下し
周の文帝の時、韓裒は北雍州刺史と為る。州に盗多し。裒は至りて、密かに之を訪うに、并びに州中の豪右なり。裒は陽に知らず、並びに礼遇を加え、謂いて曰く、「刺史は書生なり、安んぞ盗を督するを知らん。賴む所は卿らと共に其の憂いを分かつのみ」と。乃ち悉く桀黠の少年を召し、尽く主帥に署し、与に地界を分かち、盗発して獲ざれば、即ち故縦を以て論ず。是に於いて諸々の署せられし者は皆な惶懼して首伏し、曰く、「前の盗は実に某某なり」と。具に姓名を列す。裒は因りて名簿を取りて之を蔵し、州門に榜して曰く、「凡そ盗は、急ぎ来りて首せよ。今月を尽くして首せざる者は、顕かに戮し、其の妻子を籍し、以て前に首せし者に賞せん」と。是に於いて旬月の間に盗悉く出で首す。裒は簿を取りて質対するに、爽わず、並びに其の罪を原し、自ら新たにするを許す。是に由りて群盗は息を屏む。
現代語訳
北周の文帝の時代、韓裒は北雍州の刺史となった。州には盗賊が多かった。裒は着任すると、ひそかに調べさせたところ、盗賊はみな州内の有力者たちであった。裒は知らないふりをして、みなを丁重に遇し、こう言った。「私は書生で、盗賊を取り締まる方法など知らない。頼りにするのは、諸君とともにこの憂いを分かち合うことだけだ」。そこで荒くれの利発な若者たちをすべて呼び、みな主帥に任命し、担当区域を割り当て、盗賊が出て捕えられなければ、故意に見逃したものとして処断すると言った。こうなると、任命された者たちはみな恐れおののいて罪を認め、「これまでの盗みは実は誰々です」と、姓名を詳しく並べ上げた。裒はその名簿を取って蔵い、州の門に掲示した。「およそ盗賊は、急いで自首せよ。今月が終わるまでに自首しない者は、公然と処刑し、妻子を没収し、それを先に自首した者への褒美とする」。すると十日あまりの間に盗賊はことごとく自首してきた。裒は名簿を取り出して照合すると、少しも違いがなく、全員の罪を許して、改めて出直すことを認めた。こうして盗賊たちは息をひそめた。
解説
この章句が説くこと
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説苑・說叢士、道に橫たわりて偃し、四支掩わざるは、士の過に非ず、土を有つ者の羞なり。邦君將に昌えんとすれば、天其の道を遺す。大夫將に昌えんとすれば、天其の士を遺す。庶人將に昌えんとすれば、必ず良子有り。
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『春秋左氏伝』僖公三十三年 一眚を以て大徳を掩わず夏、四月、辛巳、秦の師を殽に敗り、百里孟明視・西乞術・白乙丙を獲て以って歸る。遂に墨して以って文公を葬る。晉是に於いて始めて墨す。文嬴三帥を請ひて曰く、「彼實に吾が二君を構ふ。寡君若し得て之を食らふとも、厭かじ。君何ぞ辱くも討たん。歸りて秦に戮に就かしめ、以って寡君の志を逞(たくま)しうせしめば、若何」と。公之を許す。先軫朝して、秦の囚を問ふ。公曰く、「夫人之を請ふ、吾之を舍せり」と。先軫怒りて曰く、「武夫力めて諸を原に拘へ、婦人暫くにして諸を國に免ず。軍實を墮(こぼ)ちて寇讎を長ず。亡ぶること日無からん」と。顧みずして唾す。公陽處父をして之を追はしむ。諸を河に及べば、則ち舟中に在り。左驂を釋き、公命を以って孟明に贈る。孟明稽首して曰く、「君の惠、纍臣を以って鼓に釁(ちぬ)らず、歸りて秦に戮に就かしむ。寡君の以って戮と為さば、死すとも且つ朽ちず。若し君の惠に從ひて之を免さば、三年にして將に君の賜を拜せんとす」と。秦伯素服して郊次し、師に鄉(むか)ひて哭して曰く、「孤蹇叔に違ひ、以って二三子を辱しむ、孤の罪なり。孟明を替へざるは、孤の過ちなり。大夫何の罪かあらん。且つ吾一眚(いっせい)を以って大德を掩はず」と。狄齊を侵す、晉の喪に因るなり。公邾を伐ち、訾婁(しろう)を取り、以って升陘の役に報ゆ。邾人備へを設けず。秋、襄仲復た邾を伐つ。狄晉を伐ち、箕に及ぶ。
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『春秋左氏伝』僖公三十三年 冀缺、相待すること賓の如し八月、戊子、晉侯狄を箕に敗る。郤缺白狄子を獲たり。先軫曰く、匹夫志を君に逞しうして討無し、敢へて自ら討たざらんや、と。冑を免ぎて狄の師に入り、焉に死す。狄人其の元を歸す。面生けるが如し。初め、臼季使して冀を過ぎ、冀缺の耨(くさぎ)るを見る。其の妻之に饁(かれひ)す。敬して、相待すること賓の如し。之と與に歸り、諸を文公に言ひて曰く、「敬は、德の聚なり。能く敬すれば必ず德有り。德は以って民を治む。君請ふ之を用ゐよ。臣之を聞く、門を出づるは賓の如くし、事を承くるは祭の如くするは、仁の則なり、と」。公曰く、「其の父罪有り、可ならんや」と。對へて曰く、「舜の罪するや、鯀を殛し、其の舉ぐるや禹を興す。管敬仲は、桓の賊なり、實に相として以って濟す。康誥に曰く、『父慈ならず、子祗(つつし)まず、兄友ならず、弟共(うやうや)しからざるも、相及ばず』と。《詩》に曰く、『葑を采り菲を采る、下體を以ってすること無かれ』と。君節を取りて可なり」と。文公以って下軍の大夫と為す。箕より反り、襄公三命を以って先且居に命じて中軍に將たらしめ、再命を以って先茅の縣を以って胥臣を賞せしめて曰く、「郤缺を舉げしは、子の功なり」と。一命を以って郤缺に命じて卿と為し、復た之に冀を與ふ。亦た未だ軍行有らず。冬、公齊に如きて朝し、且つ狄の師有るを弔ふ。反りて小寢に薨ず、安きに即けばなり。
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史記 孟嘗君列伝斉王、秦・楚の毀りに惑ひ、以為へらく孟嘗君は名その主より高くして斉国の権を擅にすと。遂に孟嘗君を廃す。諸客孟嘗君の廃せらるるを見て、皆去る。馮驩曰く、「臣に車一乗を借せ、以て秦に入るべき者、必ず君をして国に重くして奉邑益々広からしめん、可なるか」と。孟嘗君乃ち車幣を約してこれを遣る。馮驩乃ち西して秦王に説きて曰く、「天下の游士の軾に馮り靷を結びて西して秦に入る者は、秦を彊くして斉を弱めんと欲せざるは無し。軾に馮り靷を結びて東して斉に入る者は、斉を彊くして秦を弱めんと欲せざるは無し。此れ雄雌の国なり、勢ひ両立して雄たらず、雄たる者は天下を得ん」と。秦王跽きてこれに問ひて曰く、「何を以てせば秦をして雌と為ること無からしめて可ならん」と。馮驩曰く、「王もまた斉の孟嘗君を廃せるを知るか」と。秦王曰く、「これを聞く」と。馮驩曰く、「斉をして天下に重からしむる者は、孟嘗君なり。今、斉王毀りを以てこれを廃す、その心怨み、必ず斉に背かん。斉に背きて秦に入らば、則ち斉国の情、人事の誠、尽くこれを秦に委ね、斉の地得べきなり、豈に直だに雄たるのみならんや。君、急ぎ使ひをして幣を載せて陰かに孟嘗君を迎へしめよ、時を失ふべからざるなり。如し斉覚悟する有りて、また孟嘗君を用ひば、則ち雌雄の在る所未だ知るべからざるなり」と。秦王大いに悦び、乃ち車十乗・黄金百鎰を遣りて以て孟嘗君を迎へしむ。馮驩辞して以て先に行き、斉に至り、斉王に説きて曰く、「天下の游士の軾に馮り靷を結びて東して斉に入る者は、斉を彊くして秦を弱めんと欲せざる者は無し。軾に馮り靷を結びて西して秦に入る者は、秦を彊くして斉を弱めんと欲せざる者は無し。夫れ秦・斉は雄雌の国なり、秦彊ければ則ち斉弱し、此れ勢ひ両雄ならず。
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