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智囊 / 通簡・徐敬業

高宗時,蠻群聚為寇,討之則不利,乃以徐敬業為刺史。彼州發卒郊迎,敬業盡令還,單騎至府,賊聞新刺史至,皆繕理以待。敬業一無所問,處分他事畢,方曰:「賊皆安在?」曰:「在南岸。」乃從一二佐吏而往,觀者莫不駭愕。賊初持兵覘望,及其船中無所有,乃更閉營藏隱。敬業直入其營內,告云:「國家知汝等為貪吏所苦,非有他惡,可悉歸田,後去者為賊。」唯召其魁首,責以不早降,各杖數十而遣之,境內肅然。其祖英公聞之,壯其膽略,曰:「吾不辦此,然破我家者,必此兒也!」

新字:高宗時,蠻群聚為寇,討之則不利,乃以徐敬業為刺史。彼州発卒郊迎,敬業尽令還,単騎至府,賊聞新刺史至,皆繕理以待。敬業一無所問,処分他事畢,方曰:「賊皆安在?」曰:「在南岸。」乃従一二佐吏而往,観者莫不駭愕。賊初持兵覘望,及其船中無所有,乃更閉営蔵隠。敬業直入其営内,告云:「国家知汝等為貪吏所苦,非有他悪,可悉帰田,後去者為賊。」唯召其魁首,責以不早降,各杖数十而遣之,境内粛然。其祖英公聞之,壮其胆略,曰:「吾不辦此,然破我家者,必此児也!」

書き下し

高宗の時、蛮群聚して寇を為す。之を討てば則ち利あらず、乃ち徐敬業を以て刺史と為す。彼の州は卒を発して郊迎するも、敬業は尽く還らしめ、単騎にて府に至る。賊は新刺史の至るを聞き、皆な繕理して以て待つ。敬業は一も問う無く、他事を処分し畢りて、方に曰く、「賊は皆な安くに在るか」と。曰く、「南岸に在り」と。乃ち一二の佐吏を従えて往く。観る者は駭愕せざるは莫し。賊は初め兵を持ちて覘望するも、其の船中に有る所無きに及び、乃ち更に営を閉ざして隠る。敬業は直ちに其の営内に入り、告げて云う、「国家は汝らが貪吏の苦しむる所と知る。他の悪有るに非ず。悉く田に帰るべし。後れて去る者を賊と為さん」と。唯だ其の魁首を召し、早く降らざるを責め、各々杖すること数十にして之を遣る。境内は粛然たり。其の祖英公は之を聞き、其の胆略を壮とし、曰く、「吾れは此れを辦ぜず。然れども我が家を破る者は、必ず此の児ならん」と。

現代語訳

高宗の時代、蛮族が群れ集まって略奪を働いた。討伐しても思うように勝てず、そこで徐敬業を刺史に任じた。その州では兵を出して郊外まで迎えたが、敬業はすべて帰らせ、馬一頭で府に着いた。賊は新しい刺史が来たと聞いて、みな武装を整えて待ち構えた。敬業は何も尋ねず、他の用事を片づけ終わってから、ようやく「賊はどこにいるのか」と言った。「南岸におります」と答えた。そこで一、二人の補佐官を連れて出かけた。見ていた者でぎょっとしない者はいなかった。賊は最初、武器を持ってうかがっていたが、船の中に何もないのを見て、かえって陣を閉ざして身を隠した。敬業はそのまま賊の陣中に入り、告げた。「朝廷は、お前たちが強欲な役人に苦しめられてきたことを知っている。他に悪事があるわけではない。みな田畑に帰るがよい。遅れて去る者を賊とする」。ただ首謀者だけを呼び出し、早く降伏しなかったことを責め、それぞれ数十回杖で打って帰した。州内は静まった。祖父の英公(李勣)は聞いて、その胆力と知略を称え、「私にはこれはできない。だが我が家を破るのは、きっとこの子だろう」と言った。

解説

徐敬業は兵を連れずに乗り込み、賊の居場所を聞くまでに他の用事を片づけるという、見せ方の演出で相手の出鼻をくじきました。賊が武装して待ち構えるほどの緊張の中で、丸腰で入ることが何より雄弁な宣言になっています。そのうえで、賊の不満の原因は役人の貪欲にあると認め、首謀者だけを罰して終わらせる線引きも見事です。現代でも、対立する相手の前にいかにも構えて出るより、安心させつつ筋は通す態度のほうが話が早く進みます。祖父の言葉は、才が大きいほど危うさも抱えることを示唆しています。

この章句が説くこと

単騎にて府に至る賊は皆な安くに在るか貪吏の苦しむる所胆力交渉人材登用

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