智囊 / 通簡・曹參・李及
曹參被召,將行,屬其後相:「以齊獄市為寄。」後相曰:「治無大此者乎?」參曰:「獄市所以並容也,今擾之,奸人何所容乎?」參既人相,一遵何約束,唯日夜飲醇酒,無所事事。賓客來者皆欲有言,至,則參輒飲以醇酒;間有言,又飲之,醉而後已,終莫能開說。惠帝怪參不治事,囑其子中大夫窯私以意叩之。窯以休沐歸,諫參。參怒,笞之二百。帝讓參曰:「與窯何治乎?乃者吾使諫君耳。」參免冠謝曰:「陛下自察聖武孰與高帝?」上曰:「朕安敢望先帝?」又曰:「視臣能孰與蕭何?」帝曰:「君似不及也。」參曰:「陛下言是也。高帝與何定天下,法令既明。今陛下垂拱,參等守職,遵而勿失,不亦可乎?」帝曰:「君休矣。」〔馮述評〕不是覆短,適以見長。吏廨鄰相國園。群吏日歡呼飲酒,聲達於外。左右幸相國遊園中,聞而治之。參聞,乃布席取酒,亦歡呼相應。左右乃不復言。〔馮述評〕極繪太平之景,陰消近習之讒。
新字:曹参被召,将行,属其後相:「以斉獄市為寄。」後相曰:「治無大此者乎?」参曰:「獄市所以並容也,今擾之,奸人何所容乎?」参既人相,一遵何約束,唯日夜飲醇酒,無所事事。賓客来者皆欲有言,至,則参輒飲以醇酒;間有言,又飲之,酔而後已,終莫能開説。恵帝怪参不治事,囑其子中大夫窯私以意叩之。窯以休沐帰,諫参。参怒,笞之二百。帝譲参曰:「与窯何治乎?乃者吾使諫君耳。」参免冠謝曰:「陛下自察聖武孰与高帝?」上曰:「朕安敢望先帝?」又曰:「視臣能孰与蕭何?」帝曰:「君似不及也。」参曰:「陛下言是也。高帝与何定天下,法令既明。今陛下垂拱,参等守職,遵而勿失,不亦可乎?」帝曰:「君休矣。」〔馮述評〕不是覆短,適以見長。吏廨鄰相国園。群吏日歓呼飲酒,声達於外。左右幸相国遊園中,聞而治之。参聞,乃布席取酒,亦歓呼相応。左右乃不復言。〔馮述評〕極絵太平之景,陰消近習之讒。
書き下し
曹参、召されて将に行かんとし、其の後相に属す、「斉の獄市を以て寄と為せ」と。後相曰く、「治は此より大なるは無きか」と。参曰く、「獄市は並び容るる所以なり。今之を擾せば、奸人は何くにか容れられん」と。参既に入りて相たり、一に何の約束に遵い、唯だ日夜に醇酒を飲み、事とする所無し。賓客来る者は皆言有らんと欲するも、至れば則ち参は輒ち飲ますに醇酒を以てし、間に言有れば又た之を飲ませ、酔いて後已み、終に開説する能わず。恵帝は参の事を治めざるを怪しみ、其の子の中大夫窋に嘱して、私かに意を以て之を叩かしむ。窋は休沐を以て帰り、参を諫む。参怒り、之を笞うつこと二百。帝は参を譲めて曰く、「窋と何ぞ治めんや。乃者、吾が君を諫めしむる使なり」と。参は冠を免ぎて謝して曰く、「陛下自ら察するに、聖武は高帝に孰与れぞ」と。上曰く、「朕は安んぞ敢えて先帝を望まん」と。又た曰く、「臣の能を視るに、蕭何に孰与れぞ」と。帝曰く、「君は似て及ばず」と。参曰く、「陛下の言は是なり。高帝と何は天下を定め、法令既に明らかなり。今陛下は垂拱し、参らは職を守り、遵いて失う勿からば、亦た可ならずや」と。帝曰く、「君は休め」と。〔馮述評〕是れ短を覆うにあらず、適たま以て長を見す。吏廨は相国の園に隣す。群吏は日に歓呼飲酒し、声は外に達す。左右は相国の園中に遊ぶを幸いとし、聞きて之を治めんことを請う。参は聞き、乃ち席を布き酒を取り、亦た歓呼して相応ず。左右は乃ち復た言わず。〔馮述評〕極めて太平の景を繪き、陰に近習の讒を消す。
現代語訳
曹参は召されて(宰相として)赴こうとするとき、後任の者にこう頼んだ。「斉の牢獄と市場をそのままに任せる」。後任は言った。「政治でこれより大事なものはないのですか」。参は言った。「牢獄と市場は、善悪さまざまな者を受け入れる場所だ。これを乱せば、悪人はどこに身を寄せるのか」。参は入って宰相になると、ひたすら蕭何の定めた規則に従い、昼夜強い酒を飲んでばかりで、何もしなかった。客が来れば皆、意見を言おうとしたが、来ると参はすぐ強い酒を勧め、言おうとすればまた飲ませ、酔わせて終わりにし、ついに言い出せなかった。恵帝は参が政務を執らないのを怪しみ、その子で中大夫の窋に、私的な形でそれとなく聞き出させた。窋は休暇で帰宅し、参に諫言した。参は怒り、窋を二百回むち打った。帝は参を責めた。「窋とどんな関係がある。あれは私がおまえを諫めさせたのだ」。参は冠を脱いで謝罪し、言った。「陛下ご自身で考えて、聖武は高祖と比べていかがですか」。帝は言った。「朕がどうして先帝を望めよう」。また言った。「私の能力は蕭何と比べていかがですか」。帝は言った。「あなたは及ばないようだ」。参は言った。「陛下の仰せのとおりです。高祖と蕭何が天下を定め、法令はすでに明らかです。いま陛下は手をこまねいて統べ、私たちが職を守り、遵って失わないなら、それでよいではありませんか」。帝は言った。「あなたは休まれよ」。〔馮夢龍の評〕短所を覆い隠すのではなく、むしろ長所を見せたのである。役所は相国の庭に隣り合っていた。役人たちは毎日歓声を上げて酒を飲み、声が外に聞こえた。側近は相国が庭に遊びに来たのを幸いとして、役人たちを取り締まるよう請うた。参は聞くと、席を敷いて酒を取り、一緒に歓声を上げて応じた。側近は何も言わなくなった。〔馮夢龍の評〕太平の景を見事に描き、側近の讒言をひそかに消した。
解説
この章句が説くこと
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