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智囊 / 遠猶・姚崇

姚崇為靈武道大總管。張柬之等謀誅二張,崇適自屯所還,遂參密議,以功封梁縣侯。武後遷上陽宮,中宗率百官問起居。五公相慶,崇獨流涕。柬之等曰:「今豈流涕時耶?恐公禍由此始。」崇曰:「比與討逆,不足為功。然事天後久,違舊主而泣,人臣終節也。由此獲罪,甘心焉。」後五王被害,而崇獨免。〔馮述評〕武後遷,五公相慶,崇獨流涕。董卓誅,百姓歌舞,邕獨驚歎。事同而禍福相反者,武君而卓臣,崇公而邕私也。然驚歎者,平日感恩之真心;流涕者,一時免禍之權術。崇逆知三思猶在,後將噬臍,而無如五王之不聽何也。吁,崇真智矣哉!

新字:姚崇為霊武道大総管。張柬之等謀誅二張,崇適自屯所還,遂参密議,以功封梁県侯。武後遷上陽宮,中宗率百官問起居。五公相慶,崇独流涕。柬之等曰:「今豈流涕時耶?恐公禍由此始。」崇曰:「比与討逆,不足為功。然事天後久,違旧主而泣,人臣終節也。由此獲罪,甘心焉。」後五王被害,而崇独免。〔馮述評〕武後遷,五公相慶,崇独流涕。董卓誅,百姓歌舞,邕独驚嘆。事同而禍福相反者,武君而卓臣,崇公而邕私也。然驚嘆者,平日感恩之真心;流涕者,一時免禍之権術。崇逆知三思猶在,後将噬臍,而無如五王之不聴何也。吁,崇真智矣哉!

書き下し

姚崇、霊武道大総管と為る。張柬之ら二張を誅せんことを謀り、崇適ま屯所より還り、遂に密議に参じ、功を以て梁県侯に封ぜらる。武后上陽宮に遷るや、中宗百官を率いて起居を問う。五公相い慶ぶも、崇独り涕を流す。柬之ら曰く、「今豈に涕を流す時ならんや。恐らくは公の禍は此れ由り始まらん」と。崇曰く、「比ごろ討逆に与るは、功と為すに足らず。然れども天后に事うること久しくして、旧主に違いて泣くは、人臣の終節なり。此れ由り罪を獲るも、甘心す」と。後五王害に被るも、崇独り免る。〔馮述評〕武后遷り、五公相い慶ぶも、崇独り涕を流す。董卓誅せられ、百姓歌舞するも、邕独り驚歎す。事同じくして禍福相い反するは、武は君にして卓は臣、崇は公にして邕は私なればなり。然れども驚歎は、平日の恩に感ずる真心なり。流涕は、一時の禍を免るる権術なり。崇は三思の猶お在り、後に将に噬臍せんことを逆え知るも、五王の聴かざるを如何ともする無きなり。吁、崇は真に智なるかな。

現代語訳

姚崇は霊武道大総管であった。張柬之らが二張(張易之・張昌宗)を誅殺する計画を立てたとき、姚崇はちょうど駐屯地から戻ってきて、密議に加わり、その功績で梁県侯に封じられた。武后が上陽宮に移されたとき、中宗は百官を率いて機嫌をうかがいに行った。五人の功臣は互いに祝ったが、姚崇だけが涙を流した。張柬之らは言った。「今は涙を流す時ではない。恐らくあなたの禍はここから始まるだろう」。姚崇は言った。「このたび反逆者の討伐に加わったことは、手柄とするに足りません。ただ、長く武后に仕えてきて、旧主と別れて泣くのは、臣下としての最後の節度です。これで罪を得ても、甘んじて受けます」。後に五王は殺されたが、姚崇だけが免れた。〔馮夢龍の評〕武后が移され五公が祝ったとき、姚崇だけが泣いた。董卓が誅殺され民が歌い踊ったとき、蔡邕だけが驚き嘆いた。同じ状況なのに禍福が逆になったのは、武后は君主で董卓は臣下であり、姚崇は公の立場で蔡邕は私的だったからである。しかし、蔡邕の嘆きは平素の恩に感じた真心であり、姚崇の涙はその場の災いを免れるための権謀だった。姚崇は武三思が生き残り、後で後悔することを予見していたが、五王が聞き入れないのをどうすることもできなかった。ああ、姚崇は本当に賢い。

解説

姚崇は、クーデターの成功に沸く場で一人だけ旧主への礼を忘れず涙を流しました。これは人としての筋を守る行いでもあり、同時に、敵対勢力が残る中で反感を買わないための保険にもなりました。馮夢龍は、蔡邕の嘆きが真心であったのに対し、姚崇の涙は一時の権術だと見ています。真の動機は別にして、結果的に姚崇だけが生き残りました。現代の管理職も、組織の交代劇や派閥争いの勝利の場で、敗者への敬意を失わない姿勢が、自分の信用と安全を守ることがあります。勝って驕らない配慮が長期の生存に効く例です。

この章句が説くこと

流涕終節五王武三思権術禍福

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