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智囊 / 遠猶・蘇頌

邊帥遣種樸入奏:「得諜言,阿里骨已死,國人未知所立。契丹官趙純忠者,謹信可任。願乘其未定,以勁兵數千,擁純忠入其國,立之。」眾議如其請,蘇頌曰:「事未可知,今越境立君,儻彼拒而不納,得無損威重乎?徐觀其變,俟其定而撫戢之,未晚也。」已而阿里骨果無恙。

新字:辺帥遣種樸入奏:「得諜言,阿里骨已死,国人未知所立。契丹官趙純忠者,謹信可任。願乗其未定,以勁兵数千,擁純忠入其国,立之。」衆議如其請,蘇頌曰:「事未可知,今越境立君,儻彼拒而不納,得無損威重乎?徐観其変,俟其定而撫戢之,未晩也。」已而阿里骨果無恙。

書き下し

辺帥、種樸をして入奏せしむ、「諜の言を得たり、阿里骨已に死し、国人未だ立つる所を知らず。契丹の官に趙純忠なる者あり、謹信にして任ずべし。願わくは其の未だ定まらざるに乗じ、勁兵数千を以て、純忠を擁して其の国に入り、之を立てん」と。衆議其の請の如くせんとす。蘇頌曰く、「事未だ知るべからず。今境を越えて君を立て、儻し彼拒みて納れずんば、威重を損なうこと無きを得んや。徐に其の変を観、其の定まるを俟ちて之を撫戢するも、未だ晩からず」と。已にして阿里骨は果たして恙無し。

現代語訳

辺境の将が種樸を使者として朝廷に報告させた。「間者の知らせでは、阿里骨がすでに死に、国の人々はまだ後継者を定めていません。契丹の官僚に趙純忠という者がいて、慎み深く誠実で任せられる人物です。まだ国が定まらないうちに、精鋭数千を率いて純忠を擁して入国し、彼を君主に立てたいと存じます」。朝議の大勢はこの願いどおりにしようとした。蘇頌は言った。「事の真偽はまだ分かりません。今、国境を越えて君主を立て、もし相手が拒んで受け入れなければ、朝廷の威信を損なうのではありませんか。ゆっくり変化を見て、落ち着いてから手なずけても遅くありません」。その後、阿里骨は果たして無事だった。

解説

敵の指導者が死んだという一報に、周囲は好機とばかり軍を動かそうとしました。蘇頌が見たのは、その情報がまだ間者の話にすぎないという一点です。もし誤報なら、越境して新君を立てる企ては拒まれ、国の威信を傷つけます。結果として阿里骨は生きており、慎重論が正しかったと分かりました。現代の管理職も、競合の失速や市場の急変といった未確認の話に飛びつき、大きな投資を決めたくなる時があります。好機に見える時ほど情報の確度を確かめ、変化を見極めてから動く冷静さが損失を防ぎます。

この章句が説くこと

越境して君を立つ威重を損なう徐に其の変を観る情報の確度慎重判断

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