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智囊 / 見大・范仲淹

范文正公用士,多取氣節而略細故,如孫威敏、滕達道,皆所素重。其為帥日,辟置僚幕客,多取謫籍未牽復人。或疑之。公曰:「人有才能而無過,朝廷自應用之。若其實有可用之材,不幸陷於吏議,不因事起之,遂為廢人矣。」故公所舉多得士。〔馮述評〕天下無廢人,所以朝廷無廢事,非大識見人不及此。

新字:范文正公用士,多取気節而略細故,如孫威敏、滕達道,皆所素重。其為帥日,辟置僚幕客,多取謫籍未牽復人。或疑之。公曰:「人有才能而無過,朝廷自応用之。若其実有可用之材,不幸陥於吏議,不因事起之,遂為廃人矣。」故公所舉多得士。〔馮述評〕天下無廃人,所以朝廷無廃事,非大識見人不及此。

書き下し

范文正公の士を用うるや、多く気節を取りて細故を略す。孫威敏・滕達道の如きは、皆な素より重んずる所なり。其の帥たりし日、僚幕の客を辟置するに、多く謫籍の未だ牽復せざる人を取る。或ひと之を疑う。公曰く、人に才能有りて過ち無くんば、朝廷は自ら応に之を用うべし。若し其の実に用うべきの材有りて、不幸にして吏議に陥らば、事に因りて之を起こさずんば、遂に廃人と為らん、と。故に公の挙ぐる所は多く士を得たり。〔馮述評〕天下に廃人無し。所以に朝廷に廃事無し。大識見の人に非ざれば此に及ばず。

現代語訳

范仲淹は士を用いるのに、多く気骨と節操を重んじて、細かい過失は問わなかった。孫威敏や滕達道などは、どちらも以前から重んじていた人物である。彼が軍の長官であったとき、幕僚の客を招き置く際、多くは左遷の記録があってまだ復権していない人を採った。ある人がそれを疑った。范公は言った。才能があって過ちのない人なら、朝廷が自ずと登用するはずだ。もし本当に用いるべき人材でありながら、不運にも役所の議論に陥った者を、機会を作って起こさなければ、そのまま廃人になってしまう、と。だから公が推挙した人は多く優れた士だった。〔馮の評〕天下に廃人はいない。だから朝廷にも廃れる事はない。大きな見識のある人でなければここまで及ばない。

解説

過ちで左遷された人を、あえて幕僚に迎えた范仲淹の人材観です。才能があって過失のない人は他の誰かが登用するので、自分は不遇な人を拾い上げ、使える場所に戻すという考え方でした。評価が高い人材ほど競争になり、埋もれた人材には機会が少ないという現実を見ています。現代の組織でも、過去の失敗やブランクを理由に敬遠される人の中に、実力を持つ人がいます。経歴の傷だけで判断せず、現在の能力と気節を見る姿勢が、採用や配置で差を生みます。馮夢龍は、廃人をなくせば廃事もなくなると評します。ただし慎重に見極める目が前提です。

この章句が説くこと

取気節而略細故謫籍未牽復不因事起之遂為廃人人材登用再挑戦見識

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