武士訓 / 卷五・第4段
心は一身に流行して。しばらくもとゞまらざるを要とす。とゞこほるところを。なづけて死物といふ。俗に居つくといふはこれなり。心は身にしたがひ。身に武具をしたがはしむべし。武具に身をしたがはしむることなかれ。
書き下し
心は一身に流行して。しばらくもとゞまらざるを要とす。とゞこほるところを。なづけて死物といふ。俗に居つくといふはこれなり。心は身にしたがひ。身に武具をしたがはしむべし。武具に身をしたがはしむることなかれ。
現代語訳
心は一身に流れめぐって、しばらくも止まらないことが肝要である。滞る所を、名づけて死物という。俗に「居つく」というのがこれである。心は身に従い、身に武具を従わせよ。武具に身を従わせてはならない。
解説
心を流れるものとして捉え、止まることを戒める段です。心が一所に滞った状態を「死物」と呼び、俗に言う「居つく」がこれだと説明します。続けて、心は身に従い、武具は身に従わせよ、武具に身を従わせるなと言います。道具や手段に振り回されるな、という戒めとして読めます。仕事でも、ツールや手順に使われてしまい、目的を見失う場面は少なくありません。一つの考えや過去の成功体験に心が居ついてしまうと、変化に対応できなくなります。手段を従えるのは自分だと確かめる習慣が、柔軟さを保ちます。
この章句が説くこと
居つく死物流動手段柔軟武士訓
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