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文子 / 下德

老子曰:天愛其精,地愛其平,人愛其情,天之精,日月星辰、雷霆風雨也,地之平,水火金木土也,人之情,思慮聰明喜怒也,故閉其四關,止五道,即與道淪。神明藏於無形,精氣反於真,目明而不以視,耳聰而不以聽,口當而不以言,心條通而不以思慮,委而不為,知而不矜,直性命之情,而知故不得害。精存於目即其視明,在於耳即其聽聰,留於口即其言當,集於心即其慮通,故閉四關即終身無患,四支九竅,莫死莫生,是謂真人。地之生財,大本不過五行,聖人節五行,即治不荒。

新字:老子曰:天愛其精,地愛其平,人愛其情,天之精,日月星辰、雷霆風雨也,地之平,水火金木土也,人之情,思慮聰明喜怒也,故閉其四関,止五道,即与道淪。神明蔵於無形,精気反於真,目明而不以視,耳聰而不以聴,口当而不以言,心条通而不以思慮,委而不為,知而不矜,直性命之情,而知故不得害。精存於目即其視明,在於耳即其聴聰,留於口即其言当,集於心即其慮通,故閉四関即終身無患,四支九竅,莫死莫生,是謂真人。地之生財,大本不過五行,聖人節五行,即治不荒。

書き下し

老子曰く、天は其の精を愛し、地は其の平を愛し、人は其の情を愛す。天の精とは、日月星辰、雷霆風雨なり。地の平とは、水火金木土なり。人の情とは、思慮聡明喜怒なり。故に其の四関を閉ざし、五道を止むれば、即ち道と淪む。神明は無形に蔵れ、精気は真に反り、目明らかにして以て視ず、耳聡くして以て聴かず、口当たりて以て言わず、心条通して以て思慮せず、委ねて為さず、知りて矜らず、性命の情を直くして、知故害うを得ず。精の目に存すれば即ち其の視明らかに、耳に在れば即ち其の聴聡く、口に留まれば即ち其の言当たり、心に集まれば即ち其の慮通ず。故に四関を閉ざせば即ち終身患い無し。四支九竅、死するなく生ずるなし、是れを真人と謂う。地の財を生ずるは、大本五行に過ぎず。聖人五行を節すれば、即ち治荒れず。

現代語訳

老子は言った。天はその精を愛し、地はその平を愛し、人はその情を愛する。天の精とは、日月星辰、雷霆風雨である。地の平とは、水火金木土である。人の情とは、思慮、聡明、喜怒である。だからその四つの関を閉ざし、五つの通り道を止めれば、道とともに沈む。神明は形のないところに蔵され、精気は真に返り、目は明るくても見ようとせず、耳は聡くても聞こうとせず、口は当を得ていても語ろうとせず、心は通じていても思慮しようとしない。任せてなさず、知っていて誇らず、性命の情をまっすぐにして、知恵や小細工に害されない。精が目にあればその視力は明らかで、耳にあればその聴力は聡く、口に留まればその言葉は当を得、心に集まればその考えは通る。だから四つの関を閉ざせば生涯患いがない。手足と九つの穴が、死ぬことも生まれることもない状態、これを真人という。地が財を生むとき、大本は五行を出ない。聖人が五行を節するなら、治は荒れない。

解説

天は精を、地は平を、人は情を大切にする、と三つを並べ、人の「情」を思慮・聡明・喜怒だと定めています。そのうえで目耳口心の四つの関を閉ざせと説きます。感覚を断てという意味ではなく、「目明らかにして以て視ず」と、能力があっても使い切らないことを指すようです。精が目に宿れば視力が明るく、心に集まれば考えが通ると言うのも、力を一点に集める話に読めます。何でも見て言って考える人より、あえて任せる人の方が長く保つ、という実感に近い話です。

この章句が説くこと

目明らかにして以て視ず其の四関を閉ざし知りて矜らず精気は真に反り節制任せる

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