文子 / 微明
文子問曰:為國亦有法乎?老子曰:今夫挽車者,前呼邪軤,後亦應之,此挽車勸力之歌也,雖鄭衛胡楚之音,不若此之義也。治國有禮,不在文辯。“法令滋彰,盜賊多有。”
新字:文子問曰:為国亦有法乎?老子曰:今夫挽車者,前呼邪軤,後亦応之,此挽車勧力之歌也,雖鄭衛胡楚之音,不若此之義也。治国有礼,不在文弁。“法令滋彰,盗賊多有。”
書き下し
文子問うて曰く、国を為むるに亦た法有りや。老子曰く、今夫れ車を挽く者は、前に邪軤と呼べば、後も亦た之に応ず。此れ車を挽きて力を勧むるの歌なり。鄭衛胡楚の音と雖も、此の義に若かず。国を治むるに礼有り、文辯に在らず。「法令滋ます彰らかにして、盗賊多く有り」。
現代語訳
文子が問うた。「国を治めるにも法則があるのでしょうか。」老子は言った。「いま車を引く者は、前が『えいや』と声をかければ、後ろもそれに応える。これは車を引いて力を励ます歌である。鄭や衛、胡や楚の音楽があろうとも、この歌の意味にはかなわない。国を治めるには礼があり、それは言葉巧みな弁論にあるのではない。『法令がいよいよ明らかになるほど、盗賊は多くなる』のである。」
解説
国を治める法則を問われて、老子は荷車を引く掛け声を持ち出します。前の「えいや」に後ろが応える、その呼吸こそ治め方の原型だという答えです。「鄭衛胡楚の音と雖も、此の義に若かず」と、名高い音楽よりも勝るとまで言います。組織でも、規程や研修資料が整うほど現場が冷える例は珍しくありません。決め事を増やす前に、声をかければ応じる関係が現場にあるか。そこを先に見る視点を示した段です。
この章句が説くこと
国を治むるに礼有り車を挽きて力を勧むるの歌なり法令滋ます彰らかにして礼掛け声法令
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