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文子 / 道德

平王問文子曰:吾聞子得道於老聃,今賢人雖有道,而遭淫亂之世,以一人之權,而欲化久亂之民,其庸能乎?文子曰:夫道德者,匡衰以為正,振亂以為治,化淫敗以為樸,淳德復生,天下安寧,要在一人。人主者,民之師也,上者,下之儀也,上美之則下食之,上有道德則下有仁義,下有仁義則無淫亂之世矣。積德成王,積怨成亡,積石成山,積水成海,不積而能成者,未之有也。積道德者,天與之,地助之,鬼神輔之,鳳皇藉其庭,麒麟遊其郊,蛟龍宿其沼。故以道邪天下,天下之德也,無道治天下,天下之賊也。以一人與天下為讎,雖欲長久,不可得也,堯舜以是昌,桀紂以是亡。平王曰:寡人聞命矣。

新字:平王問文子曰:吾聞子得道於老聃,今賢人雖有道,而遭淫乱之世,以一人之権,而欲化久乱之民,其庸能乎?文子曰:夫道徳者,匡衰以為正,振乱以為治,化淫敗以為樸,淳徳復生,天下安寧,要在一人。人主者,民之師也,上者,下之儀也,上美之則下食之,上有道徳則下有仁義,下有仁義則無淫乱之世矣。積徳成王,積怨成亡,積石成山,積水成海,不積而能成者,未之有也。積道徳者,天与之,地助之,鬼神輔之,鳳皇藉其庭,麒麟遊其郊,蛟竜宿其沼。故以道邪天下,天下之徳也,無道治天下,天下之賊也。以一人与天下為讎,雖欲長久,不可得也,堯舜以是昌,桀紂以是亡。平王曰:寡人聞命矣。

書き下し

平王、文子に問いて曰く、吾れ聞く、子は道を老聃に得たりと。今、賢人道有りと雖も、淫乱の世に遭い、一人の権を以て、久しく乱れたる民を化せんと欲す。其れ庸ぞ能くせんや。文子曰く、夫れ道徳とは、衰えたるを匡して以て正と為し、乱れたるを振いて以て治と為し、淫敗を化して以て樸と為し、淳徳復た生じ、天下安寧なり。要は一人に在り。人主は民の師なり。上は下の儀なり。上、之を美とすれば下は之を食らい、上、道徳有れば下は仁義有り、下に仁義有れば淫乱の世無し。徳を積みて王と成り、怨みを積みて亡と成る。石を積みて山と成り、水を積みて海と成る。積まずして能く成る者は、未だ之れ有らざるなり。道徳を積む者は、天之に与え、地之を助け、鬼神之を輔け、鳳皇其の庭に藉き、麒麟其の郊に遊び、蛟龍其の沼に宿る。故に道を以て天下を邪すは、天下の徳なり。無道にして天下を治むるは、天下の賊なり。一人を以て天下と讎と為らば、長久ならんと欲すと雖も、得る可からず。堯舜は是を以て昌え、桀紂は是を以て亡ぶ。平王曰く、寡人、命を聞けり。

現代語訳

平王が文子に問うた。私は、あなたが老聃から道を得たと聞いている。いま賢人に道があっても、淫乱の世に遭い、一人の権力で、長く乱れた民を教化しようとする。それは本当にできるのか。文子は答えた。道徳とは、衰えたものを匡して正しくし、乱れたものを振るって治め、淫らに敗れたものを化して素朴にし、純粋な徳を再び生み、天下を安らかにするものです。要は一人にあります。君主は民の師であり、上は下の手本です。上が良しとすれば下はそれを食らい、上に道徳があれば下に仁義があり、下に仁義があれば淫乱の世はなくなります。徳を積めば王となり、怨みを積めば亡びます。石を積めば山となり、水を積めば海となります。積まずに成し遂げる者は、これまでいません。道徳を積む者は、天が与え、地が助け、鬼神が補い、鳳凰がその庭に降り、麒麟がその郊外に遊び、蛟龍がその沼に宿ります。だから道によって天下を正すのは天下の徳であり、無道で天下を治めるのは天下の賊です。一人で天下と仇になって、長く続こうと思っても、それはできません。堯舜はこれによって栄え、桀紂はこれによって亡びました。平王は言った。私は教えを聞いた。

解説

一人の力で乱れた世を変えられるのか、という王の疑いに、文子が積み重ねを説いて答える段です。「徳を積みて王と成り、怨みを積みて亡と成る。石を積みて山と成り、水を積みて海と成る」。変える力は大きな一手ではなく、上に立つ者の日々の態度が下に伝わる連鎖にある、という考えです。「上、之を美とすれば下は之を食らう」とあるように、上の好みが下の行動を決めます。組織の風土を変えたい経営者にとって、まず自分を変えるしかない、という厳しい結論です。なお平王が誰を指すかは、原文からははっきりしません。

この章句が説くこと

人主は民の師なり徳を積みて王と成り石を積みて山と成り道徳有れば下は仁義有り累積徳

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