文子 / 道原
萬物有所生而獨如其根,百事有所出而獨守其門,故能窮無窮,極無極,照物而不眩,響應而不知。
新字:万物有所生而独如其根,百事有所出而独守其門,故能窮無窮,極無極,照物而不眩,響応而不知。
書き下し
万物生ずる所有りて独り其の根の如く、百事出ずる所有りて独り其の門を守る。故に能く無窮を窮め、無極を極め、物を照らして眩まず、響き応じて知らず。
現代語訳
万物には生じるもとがあるが、ただ自分のもとである根を守り、あらゆる事には出る所があるが、ただその門を守る。だから終わりのないものを窮め、果てのないものを極め、物を照らしても目がくらまず、響きに応じて自分では気づかない。
解説
短い一節で、根と門を守ることが、結果として無限を扱える道だと言います。万物には発する源があり、あらゆる事には出る門がある。そこだけを押さえる人が、あらゆる変化に動じません。「物を照らして眩まず」は、明るく見えていながら目がくらまない、つまり見えすぎて惑わされないという状態です。事業の現場でも、枝葉の情報が増えるほど見るべき源は変わりません。顧客が何に困るのか、組織は何のためにあるのか。根を守る人は情報の海で迷わず、結果として広い範囲を扱えます。
この章句が説くこと
独り其の根の如く独り其の門を守る物を照らして眩まず根本守一明
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『管子』內業凡そ道は、根無く莖無く、葉無く榮無し。萬物以て生じ、萬物以て成る、之を命づけて道と曰う。天は正を主り、地は平を主り、人は安静を主る。春秋冬夏は、天の時なり。山陵川谷は、地の枝なり。喜怒取予は、人の謀なり。是の故に聖人は時と變じて化せず、物に從いて移らず。能く正しく能く静かにして、然る後に能く定まる。定心中に在れば、耳目聰明にして、四枝堅固、以て精舍と為す可し。精なる者は、氣の精なる者なり。氣あれば、道乃ち生じ、生ずれば乃ち思い、思えば乃ち知り、知れば乃ち止まる。凡そ心の形、知に過ぐれば生を失う。一物能く化する、之を神と謂う。一事能く變ずる、之を智と謂う。化して氣を易えず、變じて智を易えず。惟だ一を執るの君子のみ能く此れを為すか。一を執りて失わざれば、能く萬物に君たり。君子は物を使いて、物に使われず。一を得るの理、心を治むるは中に在り、言を治むるは口より出で、事を治むるは人に加わる。然らば則ち天下治まる。一言得て天下服し、一言定まりて天下聽く、公の謂いなり。
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文子・道原老子曰く、万物の摠は、皆一孔に閲し、百事の根は、皆一門より出ず。故に聖人は一度軌に循い、其の故を変えず、其の常を易えず、准に放い縄に循い、曲に其の常に因る。夫れ喜怒は道の邪なり。憂悲は徳の失なり。好憎は心の過なり。嗜欲は生の累なり。人大いに怒れば陰を破り、大いに喜べば陽を墜し、薄気は喑を発し、驚怖は狂を為し、憂悲は心を焦がして疾乃ち積を成す。人能く此の五者を除けば、即ち神明に合す。神明とは、其の内を得るなり。其の内を得れば、五蔵寧く、思慮平らかに、耳目聡明に、筋骨勁強にして、疏達して悖らず、堅強にして匱きず、太だ過ぐる所無く、逮ばざる所無し。
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『呻吟語』内篇・談道・一を執る者は萬を得道は一に盡く、二なれば則ち贅なり。道を體する者は一を出でず、二なれば則ち支なり。天に二氣無く、物に二本無く、心に二理無く、世に二權無し。一なれば則ち萬、二なれば則ち萬ならず。道なり、二ならんや。故に一を執る者は萬を得、萬を求むる者は一を失ふ。水は萬川を壅ぐも未だ必ずしも能く塞がず、木は萬葉を滋らすも未だ必ずしも能く榮えず。一を失へばなり。
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文子・自然老子曰く、所謂天子とは、天道有りて以て天下を立つる者なり。天下を立つるの道は、一を執りて以て保と為し、本に反りて無為にし、虚静にして有る無く、忽恍として際無く、遠くして止まる所無し。之を視れども形無く、之を聴けども声無し。是を大道の経と謂う。
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