文武訓 / 武訓下
しかれば、武將も、古の記錄を多く讀んで、ふるきことを知るべし。文盲にては古のことを知らず、鑑とすべきやうなし。われひとりの才智をたのみては、必ずあやまり多し。よき道を知らざれば、才勇ありて善を好む人も、まことの理にあたらずしてあやまり多し。
新字:しかれば、武将も、古の記録を多く読んで、ふるきことを知るべし。文盲にては古のことを知らず、鑑とすべきやうなし。われひとりの才智をたのみては、必ずあやまり多し。よき道を知らざれば、才勇ありて善を好む人も、まことの理にあたらずしてあやまり多し。
書き下し
しかれば、武将も、古の記録を多く読んで、ふるきことを知るべし。文盲にては古のことを知らず、鑑とすべきやうなし。われひとりの才智をたのみては、必ずあやまり多し。よき道を知らざれば、才勇ありて善を好む人も、まことの理にあたらずしてあやまり多し。
現代語訳
ですから武将も、昔の記録を多く読んで、古い事を知るべきです。文字が読めなくては昔のことを知らず、手本とするすべがありません。自分一人の才知を頼みにしていては、必ず誤りが多い。よい道を知らなければ、才能と勇気があって善を好む人でも、本当の理にかなわずに誤りが多いのです。
解説
前の条の結論として、武将にも読書が欠かせないと説きます。「鑑」とは鏡のことで、過去の出来事を映して今を正す手本を指します。司馬光の『資治通鑑』の書名もこの意味です。益軒は、才知や勇気があり善を好む人でも、よい道を知らなければ誤ると言います。現代でも、経験と勘だけに頼る経営者より、歴史や他社の事例に学ぶ人のほうが大きな失敗を避けられます。自分一人の知恵には限りがあると知ることが、学びの出発点なのです。
この章句が説くこと
読書歴史学問鑑武将
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