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文武訓 / 武訓上

一忠臣義士の、身を捨てて君をいさめ節に死し、取るまじき財祿を捨て、朋友の過を切切に正す。かやうに忠直にして柔弱ならざるを、士氣といひ又氣節といふ。是君子のことなり。一朝のいかりに、人とあらそひて其身を亡ぼすは士氣にあらず、客氣といひ浮氣ともいふ。是小人のことなり。

新字:一忠臣義士の、身を捨てて君をいさめ節に死し、取るまじき財禄を捨て、朋友の過を切切に正す。かやうに忠直にして柔弱ならざるを、士気といひ又気節といふ。是君子のことなり。一朝のいかりに、人とあらそひて其身を亡ぼすは士気にあらず、客気といひ浮気ともいふ。是小人のことなり。

書き下し

一忠臣義士の、身を捨てて君をいさめ節に死し、取るまじき財禄を捨て、朋友の過を切切に正す。かやうに忠直にして柔弱ならざるを、士気といひ又気節といふ。是君子のことなり。一朝のいかりに、人とあらそひて其身を亡ぼすは士気にあらず、客気といひ浮気ともいふ。是小人のことなり。

現代語訳

忠臣や義士が、身を捨てて主君を諫め、節に死に、受け取るべきでない財や禄を捨て、友の過ちを懇切に正す。このように忠実でまっすぐで、柔弱でないのを、士気といい、また気節といいます。これは君子のことです。一時の怒りに人と争って、その身を滅ぼすのは士気ではなく、客気といい、浮気ともいいます。これは小人のことです。

解説

同じ「気の強さ」でも、士気(気節)と客気(うわ気)はまったく違うと益軒は区別します。士気は、命がけで主君を諫め、不当な財を受け取らず、友の過ちを正すような、正しさに根ざした強さです。客気は、一時の怒りで人と争い身を滅ぼす、上すべりの強さです。仕事でも、筋を通して言うべきことを言う強さと、感情に任せて突っかかる強さは、見た目は似ていても中身が違います。自分の強気がどちらから出ているか、見つめ直すきっかけになります。

この章句が説くこと

士気気節客気君子小人

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