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文武訓 / 武訓上

故にわが日の本は、世界の内にてすぐれたる武國といふべし。只、中夏に比するに、文學甚おとれるのみ。一いにしへの良將は、只勇猛計略のみすぐれたるにあらず、文武兼用ひ、寬猛相用ひ、仁愛ありて小過をゆるし、舊惡をわすれ、諫をよく聽き用ひて、おのれにほこらず、財ををしまずして、功を賞す。故に士卒和同して、よく其功をなせり。

新字:故にわが日の本は、世界の内にてすぐれたる武国といふべし。只、中夏に比するに、文学甚おとれるのみ。一いにしへの良将は、只勇猛計略のみすぐれたるにあらず、文武兼用ひ、寛猛相用ひ、仁愛ありて小過をゆるし、旧悪をわすれ、諫をよく聴き用ひて、おのれにほこらず、財ををしまずして、功を賞す。故に士卒和同して、よく其功をなせり。

書き下し

故にわが日の本は、世界の内にてすぐれたる武国といふべし。只、中夏に比するに、文学甚おとれるのみ。一いにしへの良将は、只勇猛計略のみすぐれたるにあらず、文武兼用ひ、寛猛相用ひ、仁愛ありて小過をゆるし、旧悪をわすれ、諫をよく聴き用ひて、おのれにほこらず、財ををしまずして、功を賞す。故に士卒和同して、よく其功をなせり。

現代語訳

それゆえ、わが日本は、世界の中ですぐれた武の国というべきです。ただ中国と比べると、文学がはなはだ劣っているだけです。昔の良将は、ただ勇猛と計略だけが優れていたのではありません。文と武を兼ね用い、寛大さと厳しさを合わせ用い、仁愛があって小さな過ちを許し、古い悪事を忘れ、諫めをよく聞き入れて、自分を誇らず、財を惜しまずに功を賞しました。ゆえに士卒は和合して、よくその功を成したのです。

解説

日本は武の国として優れているが、学問では中国に劣ると認めたうえで、昔の良将の条件を挙げます。文武を兼ね、寛大さと厳しさを使い分け、小さな過ちを許し、昔の悪事を水に流し、諫めを聞き、自分を誇らず、惜しまず褒賞する。だから部下が一つにまとまったと言います。「寛猛相済う」は『春秋左氏伝』に出る政治の要諦です。今のリーダー論で言われる、心理的安全性や公正な評価、傾聴といった要素がすでにそろっているのは驚きです。

この章句が説くこと

良将寛猛仁愛指導者賞罰

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