文武訓 / 武訓上
故にわが日の本は、世界の内にてすぐれたる武國といふべし。只、中夏に比するに、文學甚おとれるのみ。一いにしへの良將は、只勇猛計略のみすぐれたるにあらず、文武兼用ひ、寬猛相用ひ、仁愛ありて小過をゆるし、舊惡をわすれ、諫をよく聽き用ひて、おのれにほこらず、財ををしまずして、功を賞す。故に士卒和同して、よく其功をなせり。
新字:故にわが日の本は、世界の内にてすぐれたる武国といふべし。只、中夏に比するに、文学甚おとれるのみ。一いにしへの良将は、只勇猛計略のみすぐれたるにあらず、文武兼用ひ、寛猛相用ひ、仁愛ありて小過をゆるし、旧悪をわすれ、諫をよく聴き用ひて、おのれにほこらず、財ををしまずして、功を賞す。故に士卒和同して、よく其功をなせり。
書き下し
故にわが日の本は、世界の内にてすぐれたる武国といふべし。只、中夏に比するに、文学甚おとれるのみ。一いにしへの良将は、只勇猛計略のみすぐれたるにあらず、文武兼用ひ、寛猛相用ひ、仁愛ありて小過をゆるし、旧悪をわすれ、諫をよく聴き用ひて、おのれにほこらず、財ををしまずして、功を賞す。故に士卒和同して、よく其功をなせり。
現代語訳
それゆえ、わが日本は、世界の中ですぐれた武の国というべきです。ただ中国と比べると、文学がはなはだ劣っているだけです。昔の良将は、ただ勇猛と計略だけが優れていたのではありません。文と武を兼ね用い、寛大さと厳しさを合わせ用い、仁愛があって小さな過ちを許し、古い悪事を忘れ、諫めをよく聞き入れて、自分を誇らず、財を惜しまずに功を賞しました。ゆえに士卒は和合して、よくその功を成したのです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『韓非子』難一第三十六今赫は僅かに驕侮せざるのみにして、襄子之を賞するは、是れ賞を失うなり。明主は賞を無功に加えず、罰を無罪に加えず。
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孫子・行軍篇數々賞する者は、窘するなり。數々罰する者は、困しむなり。先に暴にして後に其の衆を畏るる者は、不精の至りなり。来たりて委謝する者は、休息を欲するなり。
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『韓非子』外儲説右下第三十五夫れ賞は之を勧むる所以にして、毀存す。罰は之を禁ずる所以にして、誉加はる。民中立して由る所を知らず、
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『韓非子』外儲説右下第三十五一。賞罰共にすれば則ち禁令行はれず。何を以て之を明らかにする。之を明らかにするに造父・於期を以てす。
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呂氏春秋・義賞①春氣至れば則ち草木産し、秋氣至れば則ち草木落つ。産と落とは之を使しむるもの或り。自ら然るに非ざるなり。故に之を使しむる者至れば、物為さざる無く、之を使しむる者至らざれば、物為す可き無し。古の人、其の使しむる所以を審らかにす、故に物、用を為さざる莫し。賞罰の柄、此れ上の使しむる所以なり。其の以て加うる所の者義なれば、則ち忠信親愛の道彰わる。久しく彰われて愈々長ずれば、民の之に安んずること性の若し。此を之れ教成ると謂う。教成れば則ち厚賞嚴威有りと雖も禁ずること能わず。故に善く教うる者は、義以て賞罰して教成り、教成りて賞罰禁ずること能わず。賞罰を用いて當らざるも亦た然り。姦偽賊亂貪戻の道興り、久しく興りて息まざれば、民の之を讎うること性の若し。戎夷胡貉巴越の民は、是を以て厚賞嚴罰有りと雖も、禁ずること能わず。郢人の兩版を以て垣するや、吳起之を變じて惡まる。賞罰易れば民安くんぞ樂しまん。氐羌の民、其れ虜となるや、其の係纍を憂えずして、其の死するに焚かれざるを憂うるは、皆、邪に成り、且つ成りて民を賊う。故に賞罰の加うる所は、慎まざる可からず。
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