韓非子 / 外儲説右下第三十五
賞罰共則禁令不行。何以明之?明之以造父、於期。
書き下し
賞罰共にすれば則ち禁令行われず。何を以て之を明らかにせん。之を明らかにするに造父・於期を以てす。
現代語訳
賞罰の権限を君臣が共有すれば、禁令は行われなくなる。何によってそれを明らかにするか。造父と王子於期の例によって明らかにする。
解説
外儲説の綱領にあたる一句である。主張を述べ、次にそれを何で証明するかを予告する。この形式自体が興味深い。結論だけを述べるのでも、事例だけを並べるのでもなく、主張と証拠の対応を先に宣言している。賞罰共則禁令不行という主張は単純だが、実務では守りにくい。人事権や評価権を複数の立場で分け持つのは、公平さのためにはむしろ良いことに見えるからだ。だが韓非子は、分ければ命令が通らなくなると言う。誰の言うことを聞けばよいかが分からなくなるからである。組織で指示系統が二重になると、現場は必ずどちらか都合のよいほうを選ぶ。評価する人と指示する人が別なら、指示は軽くなる。分掌と一元化のどちらを取るかは、公平さと実行力のどちらを取るかという選択でもある。
この章句が説くこと
賞罰権限委譲権限指揮命令系統ワンマン・ワンボス一元化
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