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文武訓 / 文訓下之末

一史書は、朱子の綱目を、しばらく見て熟玩すべし。古今をつらぬき義理に通じて、其益多きこと、六經四書に次げり。古にひろく通ずるのみならず、かねて義理に通ずる益あり。一白樂天、詩を作りて心をくるしむるものをそしりて、詩魔のためにくるしめらるゝといへり。その言むべなり。しかれども、樂天も亦此病をまぬかれず。凡詩を作る人は、此おもんばかりあるべし。わが身にいたりては迷ひやすし。

新字:一史書は、朱子の綱目を、しばらく見て熟玩すべし。古今をつらぬき義理に通じて、其益多きこと、六経四書に次げり。古にひろく通ずるのみならず、かねて義理に通ずる益あり。一白楽天、詩を作りて心をくるしむるものをそしりて、詩魔のためにくるしめらるゝといへり。その言むべなり。しかれども、楽天も亦此病をまぬかれず。凡詩を作る人は、此おもんばかりあるべし。わが身にいたりては迷ひやすし。

書き下し

一史書は、朱子の綱目を、しばらく見て熟玩すべし。古今をつらぬき義理に通じて、其益多きこと、六経四書に次げり。古にひろく通ずるのみならず、かねて義理に通ずる益あり。一白楽天、詩を作りて心をくるしむるものをそしりて、詩魔のためにくるしめらるるといへり。その言むべなり。しかれども、楽天も亦此病をまぬかれず。凡詩を作る人は、此おもんばかりあるべし。わが身にいたりては迷ひやすし。

現代語訳

史書は、朱子の『綱目』(『資治通鑑綱目』)をしばらく見て熟読玩味すべきです。古今を貫き、義理に通じて、その益が多いことは、六経・四書に次ぎます。昔のことに広く通じるだけでなく、あわせて義理に通じる益があります。白楽天は、詩を作って心を苦しめる者をそしって、「詩魔のために苦しめられる」と言いました。その言葉はもっともです。けれども、楽天もまたこの病を免れませんでした。およそ詩を作る人は、この配慮をすべきです。自分自身のこととなると迷いやすいのです。

解説

前半は史書の中でも朱子の『資治通鑑綱目』を推し、歴史を知るだけでなく善悪の道理も学べるので、経書に次ぐ価値があると言います。後半は、白居易が詩作に取りつかれることを「詩魔」と呼んで戒めながら、自分もそれを免れなかったという話です。人の欠点はよく見えても、自分のこととなると迷うものだという結びは、誰にも思い当たるでしょう。趣味や仕事にのめり込みすぎていないか、ときどき自分を外から眺めてみることが大切です。

この章句が説くこと

歴史綱目詩自省学問

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